社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.03.28

恐ろしい「突然死」…その予防法は?

 2018年2月21日、俳優の大杉漣さんの急逝のニュースが伝えられました。大杉さんの命を奪ったのは急性心不全でした。こうした突然死は決して他人事ではありません。突然死とは何か。なぜ突然死は起こるのか。突然死をテーマに役に立つ知識をお届けします。

仕事中、就寝中、どんなシチュエーションでも起こる

 突然死は病名ではありません。なんらか急性症状があって、その病気から24時間以内に死亡することを突然死と言います。もっとも多いとされている突然死は急性心臓死です。この大半の原因が虚血性心疾患、身近な言葉で言うと、狭心症や心筋梗塞にあたります。

 症状としては、東京都福祉保健局のサイトによると、「胸痛ないし胸部の苦悶感」、「肩から上腕にかけての痛み」、「悪心・嘔吐」、場合によっては「下顎痛」、「歯痛」もあるそうです。高齢者は「腹痛」や「腹部不快感」などもあるそうです。仕事中や就寝中ふくめて、どんなシチュエーションでも起こりえます。

AEDで突然の心停止の半数以上を救える

 もし、目の前の人が虚血性心疾患で倒れたら救助することは可能なのか。どのような救助方法があるのか。まず第一に119番通報します。ただし、119番通報したからといって安心してはいけません。さまざまな事情で、救急車の到着が遅れる可能性が十分にあるからです。そんなときは、救急車にこだわらず、たとえば、タクシーを呼ぶほうがいい場合も考えられます。救助は、あらゆる状況を想定して臨みましょう。

 それから心臓マッサージ。日本AED財団によれば、心臓マッサージを行うことで2倍、またAEDによる電気ショックによって突然の心停止の半数以上の人を救えるのだそうです。

 ちなみに、現状ではAEDの使用率はたったの4.5パーセント。これが改善されれば、突然死はグッと減少するかもしれません。AEDによる救命処置の方法が気になる方はAED財団のホームページをチェックしてみてください。

かならず定期健診を受診する

 最後に救助が必要になる前に日常生活のなかでどんな予防ができるのかをお伝えします。実はそんなに難しいことではありません。健康を維持するためのとても基本的なことばかりです。

 たとえば、かならず定期健診を受診すること、まめに血圧測定をおこなうこと、塩分の摂取を少なくすること、肥満を防ぐこと、禁煙禁酒、過度なストレスを避けること、適度に運動すること、睡眠を十分にとること、など。

 要は日頃からすこし健康に気を遣って生活していればそれが予防になるのですが、簡単そうに見えて、これがなかなかできないんですね。食生活や禁煙禁酒はあまりストイックになりすぎず、適度に行うのが無難です。ストレスになったら逆効果ですから。まずは手始めに、最初に挙げた定期健診や血圧測定をきちんと行って、自分の健康バロメータをしっかり把握するようにしましょう。

<参考サイト>
・東京都福祉保健局:突然死の中で最も多い急性心臓死
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansatsu/kiso/kyushi.html
・AED財団
http://www.aed-zaidan.jp
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか

葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化

浮世絵を中心に日本画においてさまざまな絵画表現の礎を築いた葛飾北斎。『富嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」が特に有名だが、それを描いた70代に至るまでの変遷が実に興味深い。北斎とその娘・応為の作品そして彼らの生涯を深...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/05
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家
2

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために

「腸脳相関」という言葉がある。健康には腸内環境が大切といわれるが、腸で重要な役割をしている物質が脳にも存在することが分かっている。「バランスの良い食事」が健康ひいては睡眠にも大切なのは、このためだ。人生は寝るた...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も

「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も

平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー

18世紀に「国家連合」というアイデアが生まれたのだが、そのアイデアの発端はフランスの聖職者・外交官のサン=ピエールであった。一方、モンテスキューは集団安全保障的な考え方から「小共和国による連合」「連邦国家」の方向...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/15
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
4

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道

「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道

禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ

禅とは己事究明の道であるとして、本当の己は何かを究明していく。インドから伝わった仏教を中国が受容するには仏典漢訳の手続きがあり、経典のことばを尊ぶ傾向が生まれる。経典よりブッダ自身に学ぼうとしたのが禅の芽生えで...
収録日:2024/08/09
追加日:2025/01/20
藤田一照
曹洞宗僧侶