テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.04.03

コンビニでたばこに次ぐリピート率の商品とは?

 おにぎりやサンドイッチなどの食料品の販売のみならず、文房具や洗剤などの日用品のほかにも、書籍・雑誌を取り扱い、コンサートチケットの予約までできる最近のコンビニ。「コンビニエンスストア」の名前の通り、便利で使いやすい、街角の小さな何でも屋さんです。

 たくさんの人が訪れるコンビニですが、実は同じ人が週に2回以上購入する率が最も高いのは「たばこ」だと言われています。これに次いで、近年リピート率がうなぎのぼりの商品があることをご存じですか?

 それはコンビニのコーヒーなのです。

 今回は、コンビニ・コーヒーの魅力についてのお話です。

リピート率を底支えする価格

 コンビニ・コーヒーが人気の背景にはいくつかの理由があると言われています。まず目に止まるのは価格の安さです。大手コンビニチェーンのセブンイレブンであれば、ホットコーヒーのレギュラーサイズが税込100円。同じサイズのものを他のコーヒー専門店で飲もうとすると税込300円以上するところも珍しくありません。

 コーヒー党の人々にとって、毎日のコーヒーは欠かすことのできない相棒のような存在です。プライベートから仕事モードに頭を切り換えるためであったり、集中力を得るためだったり、コーヒーを飲まないと調子が出ないという人も多いはず。そのなかで、一杯100円という価格はお財布にも優しい魅力的な値段と言えるでしょう。コンビニ・コーヒーのリピート率を底支えしているのは、この価格が大きな要因といわれています。

コンビニ各社が展開する独自のコーヒー開発

 ただ安くて早いからよいのであれば、より安価で素早く購入できる缶コーヒーに移行するという方法もあります。しかし、それでもコンビニ・コーヒーが選ばれる理由は、もちろん“味”に満足度を得ているからです。

 コンビニ各社ではそれぞれコーヒーの淹れ方にこだわりを見せています。例えば、セブンイレブンでは2018年3月にコーヒーの刷新を行いました。すでに年間10億杯も売れているのですが、さらにその味に改良を加えたのです。4種類の豆を利用し、3種類の焙煎した“トリプル焙煎法”を採用。入れ方はドリップ方式を使用し、より旨みと深いコクが味わえるコーヒーへと進化しています。

 他社も負けていません。ローソンは、レインフォレスト・アライアンス認証を得ているコーヒー豆だけを使用しています。レインフォレスト・アライアンスとは、社会、経済、環境の3点において、事業者が一定の基準に達していると判断されたことを意味します。これを満たした優良な農場からコーヒー豆を輸入しているのです。淹れ方はエスプレッソ方式です。その他、ファミリーマートやミニストップなど、コンビニ各社では独自にコーヒー開発を行っています。

実は時短にもなるコンビニ・コーヒー

 ですが、安くて美味しいを叶えるにはもう一手間あるはずですよね。

 そこで注目なのはコーヒーの販売方法です。コンビニでコーヒーを購入すると、レジでカップを購入し、それをコーヒーマシンのところへ持っていき、自分で濯ぐという手順を踏むことになります。コーヒー専門店などでは見られない販売方法ですし、はじめてコンビニ・コーヒーに挑戦する方にとってはとまどうところかもしれません。

「なぜわざわざ自分で?」と思われる方もいるかもしれませんが、注文から抽出、受け取りまでの行程を考えると、コンビニ・コーヒーを購入する方がずっと時短になるのです。また、すべてセルフのため、その分価格も安く回転も速いことが魅力となります。

 セルフ・ガソリンスタンドやセルフでトッピングを選ぶうどん専門店など、実はこうした安くて速いセルフ・ビジネススタイルは珍しいものではありません。

コンビニ・コーヒーの更なる進化に注目

 全日本コーヒー協会の調査によると、レギュラー・コーヒーの1週間当たり飲用量は2010年には3.27杯だったものが、2016年は3.89杯と約20%増加に転じています。これは、この6年のあいだに広がったコンビニ・コーヒーの押し上げが大きいと考えられています。

 実際に身近なコンビニ・コーヒーのリピーターの人からは、「安くて美味しい」という評価の声が多く聞こえました。またコーヒーとともに、コンビニ・スイーツを合わせて購入するのが楽しみだという人も。確かに、コンビニ・スイーツも日々改良と開発が進んでいる商品です。一緒に購入すれば、さらに楽しみも広がります。

 淹れ立て、挽き立てのコーヒーから香る、かぐわしい匂いや温かなカップの手触り。これからもコンビニ・コーヒーの進化から目が離せません。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る

今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期

なぜ思春期に注目するのか。この十年来、10歳だった子どもたちのその後を10年追跡する「コホート研究」を行っている長谷川氏。離乳後の子どもが性成熟しておとなになるための準備期間にあたるこの時期が、ヒトという生物のライ...
収録日:2024/11/27
追加日:2025/07/05
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
2

フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」

フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」

米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム

第2次トランプ政権において台頭する米国派経済学。実はこの保護主義的な経済学は、アメリカの成長と繁栄の土台を作っていた。その原点を振り返り解説する今シリーズ。まずはワシントン政権の財務長官でフェデラリストとして、連...
収録日:2025/05/15
追加日:2025/07/08
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

グリーンランドに米国の軍事拠点…北極圏の地政学的意味

地政学入門 ヨーロッパ編(10)グリーンランドと北極海

北極圏に位置する世界最大の島グリーンランド。ここはデンマークの領土なのだが、アメリカの軍事拠点でもあり、アメリカ、カナダとヨーロッパ、ロシアの間という地政学的にも重要な位置にある。また、気候変動によってその軍事...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/07/07
小原雅博
東京大学名誉教授
4

スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」

スターバックスのコンセプトは「サードプレイス」

ストーリーとしての競争戦略(6)事例に見る経営者の戦略

一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ホットペッパーとスターバックスを事例として、コンセプトの重要性を解説する。スターバックスやホットペッパーは、「第3の場所」・「狭域情報」といったコンセプトを的確に...
収録日:2017/05/25
追加日:2017/07/18
楠木建
一橋大学大学院 経営管理研究科 国際企業戦略専攻 特任教授
5

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者