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DATE/ 2018.05.29

【仕事と年収】市役所職員(30歳男性)の場合

 地方公務員である「市役所職員」はどれぐらいの給料を貰っているのか? 今回はそんな疑問におこたえして、現役の「市役所職員」の方にリアルな年収とその仕事について、お話をうかがいました。

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30歳「市役所職員」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】30歳(男性)
【住まい】関東地方
【独身or既婚】独身
【職業】地方公務員(市役所行政職員)

・経歴を教えてください。
 某国立大学を卒業後、新卒で就職しました。8年目です。就職活動の中では民間企業にもいくつか内定をいただくことができましたが、ゆりかごから墓場までと言われるように仕事の幅が広いこと、その市が好きだったこと、当時、結婚を考えていた彼女と離れたくなかったことなど、総合的に考えて決めました。

・年収/月収/賞与を教えてください。


 年収490万円/月収27万円/賞与(年2回)合計110万円

・貯蓄額はおいくらですか?
 100万円

・年間休日は?
 125日
(土日祝、年末年始12/29~1/3、夏季休暇5日)
 有給休暇20日/年
(平均消化日数14日/年)

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

 私は現在、道路用地の買収を担当しています。(管理職ではなく一般職員です。)道路が通る予定の土地の地主さんに対して交渉を行い、土地を買わせていただく仕事です。行政全般に不信感を持っている方も一定数おり、激しく罵倒されることもよくあります。

 交渉といっても、土地や物件の価格は法令等で決められており、変えることはできません。そのため、そのような方に対しては延々と頭を下げることしかできないのが実情です。最終的には、法的に強制取得もできないことはないのですが、適用のハードルは高く、そうそうできるものではありません。

 今はこのような仕事を担当していますが、市役所の仕事は多岐に渡っていて、住民票の発行をはじめ、市民税の徴収、火葬場の運営、地域のお祭りやイベントの企画運営などなど、住民の生活に関係するありとあらゆる仕事があります。そのため、次にどこにいくのかは全くわかりません。

 残業は、月平均で25時間程度、金額にして約5万円です。

この仕事の良い点は?

・転勤がない。勤め先の市内にいられる。
・業務の幅が広いため、様々な仕事を経験できる。
・部署にもよるが、総じて有給休暇が取りやすい。
(年間平均14日程度取得可能、加えて夏季休暇が5日間付与される。)
・女性の登用が進んでいる。
・育児休暇や介護休暇の制度が充実している。
・新卒と中途の分け隔てがない。
成果主義ではない。基本的に助け合いの文化がある。

この仕事の悪い点は?

・村社会となることが多く、人間関係が構築できず、精神疾患を患う人が非常に多い。前の職場は30人程度の部署であったが、4年で8人が精神疾患が原因で事実上の解雇となった。

・民間企業に対して劣等感を感じている人間が多い(特にプロパー職員)。公務員叩きの目線を強く感じており、公務員であることを隠そうとする意識が強い。仕事に熱心でまじめな人ほど気にしている。

・仕事の幅広さはいいところでもあるが、希望は通らないことがほとんど。意図しない仕事をやることになる。企画系の仕事をやっていても次は、税金の取り立てみたいなこともざら。

・40代より若い層は比較的やる気があるが、それ以上の層はいわゆるザ・公務員で働かない人が一定数いる。20代30代は厳しい時代に就職してきており、志が高い人も多いが、50代以上の働かない人の半分ほどしか給料をもらっていないという実情がある。

・ビジネススキルは身につかないため、転職は難しく、役所に依存して生きることとなってしまう。

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 その他にも以下のようなお話を伺いました。

・人間関係が役所の中で閉じている人が多いためか、社内結婚が非常に多い。

・給与について20代のうちは300万円台に抑えられているが、30代以降伸び始める。大体50代で課長になると1,000万円を突破する。

・趣味が充実している人が多い。時間的余裕もあるが、本質的には自分が次に何の仕事をするのかがわからないため、キャリアプランが描きづらく、仕事に生きがいを持つ人が生まれにくい構造であることが原因かもしれない。

 公務員は安定しているのが魅力という声もありますが、村社会的な人間関係の中で民間企業と同じような問題を抱えているところもあるようです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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