社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
味はそのまま、値段は半分?「代用魚」の正体
回転寿司のニセモノとしてどちらかと言えばネガティブなイメージが強かった代用魚。それが最近では近所のスーパーで見かけるほどに流通・消費が増えてきました。あらためて、代用魚とはどんなお魚なのか。実態が分かってくると、意外と「いいね!」と思えるかもしれません。
とりわけウナギについては、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約の会議で国際取引の規制対象となる可能性があるとも指摘され、「ウナギを食べてはいけないのか」というような議論が活発におこなわれています。また、つい最近も、今年2018年7月にツイッター上に「うなぎ絶滅キャンペーン」というアカウントが突如出現。16,000以上のフォロワーがつき話題となりました。
そこで注目を浴びているのが先ほどのパンガシウス、アナゴやナマズなどウナギの代用魚たち。いわば、代用魚とは漁獲量の減少、地球の生物多様性を助けるスーパーヒーローなのです。
イオンリテールは本記事でも何度か登場しているウナギの代用魚「パンガシウス」、不漁のマダラに代わる「ひたちだら」を販売している。ただし、イオンリテールとしては「代用魚」として販売している認識はないという報道もあります。わざわざ「代用魚」と言わなくても、その魚の味そのものに自信があるということでしょう。消費者からも「安い」「うまい」とどちらも評判は上々です。
ちなみに「ひたちだら」はスペインなどヨーロッパでは高級魚として知られていて、ムニエルなどの調理法で食されています。
愛媛県と愛媛大学は「全身がクロマグロのトロ」と評される高級魚スマの養殖に成功し、スマの養殖ブランド「伊予の媛貴海」を確立しマーケットの拡大を狙っています。スマは高級魚ですので、決して安くはありません。ここにはかつての代用魚の開拓とは異なる戦略が打ち出されています。
「伊予の媛貴海」は、もはや「代用」ではなく市場の「代替」を狙った「代替魚」というべきしょう。これからは、高級魚や希少魚が買えないためにやむなく代用魚を選ぶ場合もあれば、むしろ積極的にその味を求めて代替魚を買うというふうに選択の幅がいろいろ生まれてくるでしょう。
歴史を振り返れば、「天然」に対する「養殖」もかなりネガティブなイメージに包まれてきました。というより、いまだに「養殖」に対する偏見は多く残っていると言えます。天然と養殖と代用魚が同じレイヤーで比較される日もそれほど遠い未来ではないと思いますが、大事なことは名称に惑わされずに、実態を知ることです。食べ物であれば、自分の舌で確かめてみるのが一番早いでしょう。ぜひぜひ試しに、今夜の食卓に代用魚を。
代用魚はスーパーヒーロー?
マグロの代用魚のアカマンボウ、ウナギの代用魚のパンガシウスが代表的な代用魚としてよく知られています。代用魚とは、その名の通り、もともと消費されてきた魚と味が似ていて代用可能な外国産や深海魚など魚介類のこと。漁獲量の減少、それにともなうコストの削減などが代用魚を採用する主な理由です。とりわけウナギについては、ニホンウナギが絶滅危惧種に指定され、ワシントン条約の会議で国際取引の規制対象となる可能性があるとも指摘され、「ウナギを食べてはいけないのか」というような議論が活発におこなわれています。また、つい最近も、今年2018年7月にツイッター上に「うなぎ絶滅キャンペーン」というアカウントが突如出現。16,000以上のフォロワーがつき話題となりました。
そこで注目を浴びているのが先ほどのパンガシウス、アナゴやナマズなどウナギの代用魚たち。いわば、代用魚とは漁獲量の減少、地球の生物多様性を助けるスーパーヒーローなのです。
マダラの代用魚は欧州の高級魚
近大マグロの養殖で有名な近畿大学は「ウナギの味のナマズ」として近大ナマズを養殖しています。近大ナマズの蒲焼はイオンをはじめとする大手スーパーなどで売られています。イオンリテールは本記事でも何度か登場しているウナギの代用魚「パンガシウス」、不漁のマダラに代わる「ひたちだら」を販売している。ただし、イオンリテールとしては「代用魚」として販売している認識はないという報道もあります。わざわざ「代用魚」と言わなくても、その魚の味そのものに自信があるということでしょう。消費者からも「安い」「うまい」とどちらも評判は上々です。
ちなみに「ひたちだら」はスペインなどヨーロッパでは高級魚として知られていて、ムニエルなどの調理法で食されています。
全身がクロマグロのトロ
近畿大学やイオンリテールの例のように、代用魚は「回転寿司のニセモノ」というかつてのネガティブ・イメージから抜け出て、新たなマーケットを生み出すお宝のような存在になりつつあります。代用魚がニーズを呼んでいるポイントは、高級魚や希少な魚の味に似ているという点と安いという点です。愛媛県と愛媛大学は「全身がクロマグロのトロ」と評される高級魚スマの養殖に成功し、スマの養殖ブランド「伊予の媛貴海」を確立しマーケットの拡大を狙っています。スマは高級魚ですので、決して安くはありません。ここにはかつての代用魚の開拓とは異なる戦略が打ち出されています。
「伊予の媛貴海」は、もはや「代用」ではなく市場の「代替」を狙った「代替魚」というべきしょう。これからは、高級魚や希少魚が買えないためにやむなく代用魚を選ぶ場合もあれば、むしろ積極的にその味を求めて代替魚を買うというふうに選択の幅がいろいろ生まれてくるでしょう。
歴史を振り返れば、「天然」に対する「養殖」もかなりネガティブなイメージに包まれてきました。というより、いまだに「養殖」に対する偏見は多く残っていると言えます。天然と養殖と代用魚が同じレイヤーで比較される日もそれほど遠い未来ではないと思いますが、大事なことは名称に惑わされずに、実態を知ることです。食べ物であれば、自分の舌で確かめてみるのが一番早いでしょう。ぜひぜひ試しに、今夜の食卓に代用魚を。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
最終話では、金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅を読み解いていく。鎌田氏は、この2つの曼荼羅は「粒子性」と「波動性」だという。そして空海は、この2つの曼荼羅や『秘蔵宝鑰』の冒頭の詩を通じて「命は光なのだ」ということを明示し...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/27
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23


