社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
口臭・体臭・加齢臭…嫌われる臭いの原因と対策
人は一人では生きられない。文字通り社会的な動物である人間にとって、ますます大きな問題になっているのが「におい」問題です。
とくに「臭い」の問題は、多様性を極める今日、人間関係において、さらに大きな比重を占めるようになってきました。
口臭・体臭・加齢臭…嫌われる「臭い」は枚挙にいとまがなく、その対策もそれぞれです。今回は嫌われる臭いの原因と対策を取り上げます。
和泉氏は正しい歯磨きの方法として、1)「ブラシの毛が密」で「毛の硬さが普通またはやわらかめ」な正しい歯ブラシを選び、2)「スクラッビング法(歯の表面を磨く)」または「バス法(歯茎や歯周ポケットをケアする)」の正しい磨き方で、3)「毎食後」もしくは「起床時や寝る前」に磨くことを提言しています。
また、舌に付着した汚れである「舌苔(ぜったい)」を取り除くことも口臭予防には効果的といいます。舌苔ケアは1日1回朝の歯磨き後に、市販の舌磨き用の器具を使ってやさしく行ってください。さらには口の中が乾きやすいと口臭が発生しやすくなるため、口が乾燥しやすい人は「3本の指で耳の下を軽くもみほぐして唾液の分泌を促すとよい」と示唆しています。
なお、内臓の病気等によって体の中からわき起こる口臭もありますが、病気が原因となる口臭に対しては、病院での正しい診断と治療が必要になります。他方、摂取物や生活習慣等による口臭もあります。それらについては、以下の対策も参考にしてください。
皮膚ガスは、汗や皮脂と成分が皮膚表面に生息している常在菌によって分解されたり、空気に触れて酸化されたりすることで発生します。つまり、汗や皮脂自体にはにおいがなく、体臭は、汗や皮脂などが成分変化して皮膚ガスとなり発生するのです。
体臭・多汗研究所所長・五味クリニック院長の五味常明氏は、著書『気になる口臭・体臭・加齢臭』で、体臭には「におい物質」で分類すると、1)脂質系、2)タンパク質系、3)糖(炭水化物)系の3種類があり、そのうちのタンパク質系の体臭には「腸肝循環」が関係している場合が多いと解説しています。
腸肝循環とは、腸と肝臓との間で行われているにおい物質などさまざまな物質の循環システムのことで、正常な肝臓はにおい物質を分別して排泄します。しかし肝臓の働きが低下すると分別機能が悪くなり、におい物質を含んだ「臭い血液」が体内をめぐり、体臭を発せさせることになります。他にも腸機能の低下による消化不良等でも、「におい物質」を発生させ、体臭や口臭の原因となります。
また、「におい物質」は体臭や口臭だけでなく、便の悪臭(腐敗臭)としても表れます。病気以外のこれらの要因には、1)咀嚼不足、2)ストレス、3)腸の汚れが挙げられます。五味氏は、よく噛んで、ストレスをためずに、腸内バランスをよくするビフィズス菌や大豆など善玉菌を増やしつつ悪玉菌を減らす食物繊維を多く取る食事を推奨しつつ、体臭対策にはまず腸肝循環の改善が重要なことを示唆しています。
そのうえで、汗腺を清潔に保つためにも、運動や入浴・手足浴などで、サラサラした「よい汗」をかくことの積極的な対策の利点も述べています。
土師氏は加齢臭の特徴として、1)ノネナールは40歳前後から分泌されるようになる。さらに汗や他の体臭が混ざり合い、強いにおいを発するようになる。2)男女の区別なく分泌される。とくに女性は閉経後に顕著に表れる。3)生活習慣が左右するため、食生活やストレスを管理することで加齢臭防止につながると述べています。
学生の頃から自身の臭いに悩み、常にその対策に果敢に取り組んできた編集者である奈良巧氏は、編集者としてのフットワークのよさを生かして、あらゆる国内の「におい」対策メーカーの専門家の知識と、自身の実践に立脚した臭い対策、とくに加齢臭対策の集大成を、著書『におわない人の習慣』にまとめています。
同書のなかで奈良氏は加齢臭対策として、1)体を洗う石けんや頭皮を洗うシャンプーなどを正しく選択し、2)体や頭皮の洗い方を正しく理解し、3)正しい食生活や生活習慣についての知識を持つことの重要性を説きつつ、それらをあらゆる実践を通して解説していますが、まさにその実践は「あらゆる臭い対策の総力戦」といえます。
いかがでしたでしょうか。気になる臭いや対策がありましたら、ぜひ今すぐに実践してみてください。あなたのためだけでなく、あなたの周りの笑顔につながるかもしれません。
とくに「臭い」の問題は、多様性を極める今日、人間関係において、さらに大きな比重を占めるようになってきました。
口臭・体臭・加齢臭…嫌われる「臭い」は枚挙にいとまがなく、その対策もそれぞれです。今回は嫌われる臭いの原因と対策を取り上げます。
口臭予防の基本は口中のセルフケア
まずは誰かと話すときなど、一番気になり指摘しにくい「口臭」を取り上げてみましょう。東京医科歯科大学歯学部附属病院・先端歯科診療センターの和泉雄一氏は、『NHKきょうの健康』において、口臭はセルフケアでかなりの対策ができ、その基本は歯磨きだと指摘します。歯磨きの第一の目的は、口臭の原因にもなる、歯に付着した「プラーク(歯垢)」を取り除くことです。和泉氏は正しい歯磨きの方法として、1)「ブラシの毛が密」で「毛の硬さが普通またはやわらかめ」な正しい歯ブラシを選び、2)「スクラッビング法(歯の表面を磨く)」または「バス法(歯茎や歯周ポケットをケアする)」の正しい磨き方で、3)「毎食後」もしくは「起床時や寝る前」に磨くことを提言しています。
また、舌に付着した汚れである「舌苔(ぜったい)」を取り除くことも口臭予防には効果的といいます。舌苔ケアは1日1回朝の歯磨き後に、市販の舌磨き用の器具を使ってやさしく行ってください。さらには口の中が乾きやすいと口臭が発生しやすくなるため、口が乾燥しやすい人は「3本の指で耳の下を軽くもみほぐして唾液の分泌を促すとよい」と示唆しています。
なお、内臓の病気等によって体の中からわき起こる口臭もありますが、病気が原因となる口臭に対しては、病院での正しい診断と治療が必要になります。他方、摂取物や生活習慣等による口臭もあります。それらについては、以下の対策も参考にしてください。
体臭は「腸肝循環」改善と「よい汗」で予防
つぎは誰にでもあり、汗をかく夏場などは特に気になる「体臭」です。ところで、先に「汗をかく夏場」と書きましたが、実は汗や皮脂自体にはにおいはありません。科学雑誌『Newton』の記事では、体臭のもととなるものは皮膚の表面から出てくる「皮膚ガス」と呼ばれる、体内の成分や皮膚表面にある成分のうち揮発性がある成分で、ガスとして体外に出てくることを解説しています。皮膚ガスは、汗や皮脂と成分が皮膚表面に生息している常在菌によって分解されたり、空気に触れて酸化されたりすることで発生します。つまり、汗や皮脂自体にはにおいがなく、体臭は、汗や皮脂などが成分変化して皮膚ガスとなり発生するのです。
体臭・多汗研究所所長・五味クリニック院長の五味常明氏は、著書『気になる口臭・体臭・加齢臭』で、体臭には「におい物質」で分類すると、1)脂質系、2)タンパク質系、3)糖(炭水化物)系の3種類があり、そのうちのタンパク質系の体臭には「腸肝循環」が関係している場合が多いと解説しています。
腸肝循環とは、腸と肝臓との間で行われているにおい物質などさまざまな物質の循環システムのことで、正常な肝臓はにおい物質を分別して排泄します。しかし肝臓の働きが低下すると分別機能が悪くなり、におい物質を含んだ「臭い血液」が体内をめぐり、体臭を発せさせることになります。他にも腸機能の低下による消化不良等でも、「におい物質」を発生させ、体臭や口臭の原因となります。
また、「におい物質」は体臭や口臭だけでなく、便の悪臭(腐敗臭)としても表れます。病気以外のこれらの要因には、1)咀嚼不足、2)ストレス、3)腸の汚れが挙げられます。五味氏は、よく噛んで、ストレスをためずに、腸内バランスをよくするビフィズス菌や大豆など善玉菌を増やしつつ悪玉菌を減らす食物繊維を多く取る食事を推奨しつつ、体臭対策にはまず腸肝循環の改善が重要なことを示唆しています。
そのうえで、汗腺を清潔に保つためにも、運動や入浴・手足浴などで、サラサラした「よい汗」をかくことの積極的な対策の利点も述べています。
加齢臭予防は総力戦で対策!?
加齢臭の原因物質ノネナールは、資生堂主任研究員の土師信一郎氏らの研究チームによって、日本で発見されました。ノネナールは、青臭くて脂臭くツンとくるにおいです。自然界では野菜にあり、ボイルした人参やロウソク、古い本のようなにおいともいわれ、皮脂に含まれる脂肪酸が酸化したり分解されたりすることによって排出されます。土師氏は加齢臭の特徴として、1)ノネナールは40歳前後から分泌されるようになる。さらに汗や他の体臭が混ざり合い、強いにおいを発するようになる。2)男女の区別なく分泌される。とくに女性は閉経後に顕著に表れる。3)生活習慣が左右するため、食生活やストレスを管理することで加齢臭防止につながると述べています。
学生の頃から自身の臭いに悩み、常にその対策に果敢に取り組んできた編集者である奈良巧氏は、編集者としてのフットワークのよさを生かして、あらゆる国内の「におい」対策メーカーの専門家の知識と、自身の実践に立脚した臭い対策、とくに加齢臭対策の集大成を、著書『におわない人の習慣』にまとめています。
同書のなかで奈良氏は加齢臭対策として、1)体を洗う石けんや頭皮を洗うシャンプーなどを正しく選択し、2)体や頭皮の洗い方を正しく理解し、3)正しい食生活や生活習慣についての知識を持つことの重要性を説きつつ、それらをあらゆる実践を通して解説していますが、まさにその実践は「あらゆる臭い対策の総力戦」といえます。
いかがでしたでしょうか。気になる臭いや対策がありましたら、ぜひ今すぐに実践してみてください。あなたのためだけでなく、あなたの周りの笑顔につながるかもしれません。
<参考文献>
・『NHKきょうの健康』(2018年6月号、NHK出版)
・『Newton』(2018年4月号、「体臭」:関根嘉香協力、大島絵理奈執筆、ニュートンプレス)
・『気になる口臭・体臭・加齢臭』(五味常明著、旬報社)
・『匂いのエイジングケア』(五味常明著・土師信一郎指導、実業之日本社)
・『におわない人の習慣』(奈良巧著、草思社)
・『NHKきょうの健康』(2018年6月号、NHK出版)
・『Newton』(2018年4月号、「体臭」:関根嘉香協力、大島絵理奈執筆、ニュートンプレス)
・『気になる口臭・体臭・加齢臭』(五味常明著、旬報社)
・『匂いのエイジングケア』(五味常明著・土師信一郎指導、実業之日本社)
・『におわない人の習慣』(奈良巧著、草思社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
東洋思想を研究する中で、50年間追求してきた命題の解を得たと田口佳史氏は言う。また、その命題を得るきっかけとなったのは松下幸之助との出会いだった。果たしてその命題とは何か、生涯の研究となる東洋思想とどのように結び...
収録日:2024/09/19
追加日:2024/11/21
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
冷戦終焉から30年、激変する世界の行方を追う
ポスト冷戦の終焉と日本政治(1)「偽りの和解」と「対テロ戦争」の時代
これから世界は激動の時代を迎える。その見通しを持ったのは冷戦終焉がしきりに叫ばれていた時だ――中西輝政氏はこう話す。多くの人びとが冷戦終焉後の世界に期待を寄せる中、アメリカやヨーロッパ諸国、またロシアや同じく共産...
収録日:2023/05/24
追加日:2023/06/27
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19