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DATE/ 2018.10.28

増える国際結婚…日本人女性が選ぶ国は?

 都会に限らず、地方においても、外国人を見かけない日は少なくなりました。こうした環境に呼応するように、国際的な男女の出会いも増えているのでしょうか。今回は、国際結婚をテーマに探ってみたいと思います。

20年で大きく変化した国際結婚

 厚生労働省による調査によると、夫婦どちらか一方が外国人となる国際結婚の婚姻件数の年次推移は、平成18年まで増加傾向でしたが、意外にもその後は減少傾向にあります。また、全婚姻件数に対して国際結婚の構成割合は、平成25年以降は横ばいで3.3%をキープしている状況です。

 平成7年のデータでは妻が外国人となる国際結婚で、韓国、中国など東アジア系の国際結婚が8割を超えていたところから、20年を経て状況は大きく変化しているのが見て取れます。

 総体として、平成7年と平成27年を比較すると減少傾向にありますが、夫日本人-妻外国人の結婚で5174件から5730件となっている中国籍の妻との婚姻は増加傾向にあり、特筆すべきは、妻日本人-夫外国人の結婚ケースです。52件から167件と増加しているフィリピン国籍、19件から36件と増加しているタイ国籍、213件から235件と増加している英国籍のほか、南米国籍もかなり増加傾向にあることから、従来とは違うフレームで国際結婚に至る日本女性の存在が浮かび上がってきます。

日本女性が結婚したい外国人は?

 外国人の男性とつきあっていたり、結婚している女性から、「もう日本人の男性とは付き合えない……」という声をよく聞きます。よりグローバルな環境において、特に女性は外国人男性にルックスだけではない日本人男性にはない魅力に気づきはじめているといったところでしょうか。

 「もし、日本人が自分1人しか存在しなかった場合で、結婚相手に外国人を選ぶとしたら、どの国の人が良いと思いますか」という問いかけで、アニヴェルセル株式会社が首都圏・関西の20歳~36歳男女1,400名を対象に2015年3月実施したアンケート調査があります。

 女性が結婚相手にえらぶ外国人男性ベスト10は、

1位:イギリス人
2位:アメリカ人
3位:イタリア人
4位:フランス人
5位:スペイン人
6位:日本人
7位:ロシア人
8位:ブラジル人
9位:韓国人
10位:その他

 上位、5国籍に共通するのは、レディ・ファーストの伝統国とでもいいましょうか。紳士であること、優しさ、明るさ、情熱などを特徴としてあげることができます。日本人男性も学び直してほしい特性といってよいでしょう。

よりよい国際結婚のために

 一時の情熱や思い込みだけで結婚することは簡単ですが、結婚はともに人生を歩むという時間にこそ、その価値を見出すことができます。最後に、絶対に乗り越えなければならない課題を整理しておきます。より幸せな国際結婚のためにご一考いただければと思います。

1)言葉や表現

 なんとなくコミュニケーションできていたとしても、細かな感情や複雑な事を完璧に理解し合うことの難しさを理解しましょう。

2)考え方や環境

 倫理観や価値観の齟齬はなかなか折り合いをつけることが難しいです。どちらかの柔軟さがカギとなりそうです。

3)食べ物

 主食の違いから、宗教によって禁じられている食べ物など、お互いの嗜好をふくめて、気持ちのよいメニューやレシピを見出す努力が必要となります。

4)経済感覚

 国による経済格差は大きく、普段の買い物からはじまる金銭感覚など、経済感覚をすり合わせる必要がでてきます。

5)仕事

 家計をささえる仕事をどうするか、日本で暮らす場合、外国で暮らす場合、それぞれ雇用の可否ふくめて検討しなければならないでしょう。

6)宗教

 「考え方や環境」と重なりますが、世界にはさまざまな宗教・宗派があります。どれだけ柔軟に受け入れられるか求められるでしょう。

7)家族・友人

 パートナーの家族や友人が全て好意的であるとは限りません。アウェイな人間関係においても、パートナーを信じてついていけるか、そんな耐久性が必要になるケースも想定しましょう。

<参考サイト>
・厚生労働省:平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/01.pdf
・ANNIVERSAIRE:発表! いまどき女子が結婚したい外国人!男性が1位に選んだのは…!!
http://www.anniversaire.co.jp/brand/pr/soken1/report21.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授