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DATE/ 2020.05.25

最も人にうらやましがられる勤め先はどこ?

 学生時代の友人が勤めている会社がうらやましい、そう思ったことがある人は少なくないと思います。数ある勤め先の中で、最もうらやましがられるのはどこなのか。その名もずばり「隣の芝生(企業)は青い」という調査で明らかになりました。

「安定性」魅力でワンツーフィニッシュ

 与信管理に関するコンサルティング事業などを手掛けるリスクモンスター社が20歳から69歳の男女1000人を対象に実施したアンケートで、「知人や友人の勤め先に対する羨望の有無」を調査したところ、「羨ましいと感じたことがある」(回答率 47.7%)が「羨ましいと感じたことはない」(同 52.3%)という結果だったそうです。

 そうした中で「羨ましいと思う勤め先」のランキングは1位から国家公務員(19.5%)、地方公務員(18.9%)、トヨタ自動車(6.5%)、パナソニック(2.1%)、三菱商事(2.1%)。世界的な民間企業を抑え、国家&地方公務員が合計で30%超、ワンツーフィニッシュという結果になりました。公務員を選んだ理由は「安定しているから」「まず倒産はあり得ない」「定年後でも年金等優遇されている」など安定性を挙げるものが多数。他にも「楽そう」「休みが多い」など“ホワイト”な部分を指摘する声もありました。トヨタ、パナソニック、三菱商事も同じく安定性が理由として挙がった他、世界的な認知度も魅力となっているようです。

「羨ましいと思う勤め先」と丸被りなのは

 実はこのランキング、あるアンケートと内容が丸被りといっていい結果になっています。第5回「お子さん/お孫さんに勤めてほしい企業ランキング」調査で、「お子さんに勤めてほしい企業」「お孫さんに勤めてほしい企業」のトップ3がともに上から国家公務員、地方公務員、トヨタ自動車だったのです。このランキングにおいても上位入りした勤め先の選考理由は「安定している」、「社員を大切にする」、「福利厚生が充実」、「給料がよい」などで、羨ましいと思われている勤め先も、子や孫に勤めてほしいと思う企業も同じような思考回路で選ばれていることがわかりました。

 「楽そう」「休みが多い」という理由で公務員が羨ましいという声もありましたが、実は公務員が9時5時の気楽な仕事というのは今や昔の話。慶應義塾大学大学院の岩本隆特任教授が「一般就労者の約7倍に相当する月平均100時間以上の残業をしている可能性がある」という衝撃的なレポートを発表し、話題にもなりました。

 そう考えると、「安定」「楽」「高給」すべてを満たす勤め先なんてそうそうないのかもしれません。隣の芝生を見て嘆くより、まずは自分の会社で頑張るのが大事、とも言えるかもしれないですね。

<参考サイト>
・リスクモンスター:第2回「隣の芝生(企業)は青い」調査
https://www.riskmonster.co.jp/study/research/pdf/201909.pdf
・岩本隆のホームページ:霞が関の働き方改革に向けて~ICTを活用した長時間労働是正と生産性向上~
https://www.tiwamoto.jp/report/
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