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モスバーガー、サブウェイが苦境に陥った理由
ファストフードと言われると、一番に思い浮かぶのは牛丼でしょうか、ハンバーガーでしょうか。従来からの「速い、安い」に加え、どこで食べても「間違いない」のが、大手チェーン店が展開するファストフード店の大きな魅力。手軽なランチ、出張先の夜食などで強い味方になってくれます。
そんなファストフード業界は、景気や人気の波を大きくかぶる存在であり、何度も再編の波を越えてきています。2018年後半に注目されたのは、創業以来の危機からV字回復を果たしたマクドナルド。そして、一時はマクドナルドを追い越す勢いを見せていた二つの会社の凋落です。路線は違っても「品質と健康」で対抗してきたモスバーガーとサブウェイ。どうして、こうなってしまったのでしょうか。
しかし、モスバーガーの「客離れ」は食中毒だけが原因ではなかったと見る向きもあります。一つは不況下にもかかわらず強気の「値上げ」路線。同社は消費税増税(5%→8%)のタイミングで14年4月に値上げを実施。さらに15年5月にも原材料費や人件費の高騰を理由に値上げに踏み切っています。
主力メニューの「モスバーガー」が340円から370円(いずれも税込み)となり、セットメニューは1000円札1枚で収まらないものもちらほら。メニュー設計から「高い」とまでは言い切れませんが、一瞬「あれっ?」と思わせる値段です。
590円出せば夜マックでは新商品の「倍グランクラブハウス」を注文できます。高級路線と言われるシェイクシャックでさえ、ハンバーガー(シングル)1個の値段は610円です。一方、コンビニのおにぎりは1個あたり108円~198円で、おかずもついたセットが350円程度、牛丼の並盛りは320円~380円ですから、モスバーガーのセットに「値ごろ感」はないといえるでしょう。
もともと同社は「ファストフードではない」ファストカジュアルの方針が売り物。日本人の味覚にもパンにも合う「テリヤキ」ソースを開発したのも、糖質カットの「菜摘(なつみ)」を開発したのもモスでした。そんなモスバーガーが苦戦しているのは、マクドナルドが相手というより、コンビニの豊富になったメニューや新業態のお店など、「話題」になるかどうか。改革のフロンティアを担ってきただけに、いまコモディティ化と戦っているように見えます。
2014年には日本国内で480店舗まで出店を伸ばしていたサブウェイが大量閉鎖したのは、「日本のコンビニのおにぎりの優秀さと手軽さ」が原因の一つとする記事にうなずく人は多いでしょう。サブウェイはもともと注文方法がやや複雑で、注文を受けてからサンドイッチを作るので、受け取りまでの時間が「ファスト」とは言えない難点がありました。
メニュー選びの苦労を軽減するため、「おまかせ」なグランドメニューが開発されましたが、驚くのは「値段よりカロリーが低い」こと。たとえばオススメNo.1の「えびアボカド」は490円で321カロリーです。目の前で調理してくれること、野菜をたっぷりとれることで一定の安心感はありますが、低カロリーだけにこみ上げる感動がなく、「インスタ映え」の対象になりにくいのが難点かもしれません。
さらに、2016年夏に配信され、現在三度目のブームを迎えていると言われるゲームアプリ「ポケモンGO」とのコラボによる「特需」も見逃せません。全国のマクドナルドが、ゲームに必要なアイテムを入手できる「ポケストップ」や、対戦の出来る「ジム」になったのです。「マクドナルド離れ」を起こしていたファミリー層が久しぶりに店舗に出向くことで、「新しくなったマック」を実感できたことは、同社にとって大きなボーナスだったに違いありません。
一方でシェイクシャックやUMAMIバーガーなど、「黒船」と呼ばれるプレミアムバーガーレストランチェーンが多数日本に上陸。お手軽で満腹なだけではない「ハンバーガーの楽しみ方」を提案しています。多くのチェーンが競合することで、よりさまざまな選択肢が広がったのは、消費者にはうれしいことと言えそうです。
そんなファストフード業界は、景気や人気の波を大きくかぶる存在であり、何度も再編の波を越えてきています。2018年後半に注目されたのは、創業以来の危機からV字回復を果たしたマクドナルド。そして、一時はマクドナルドを追い越す勢いを見せていた二つの会社の凋落です。路線は違っても「品質と健康」で対抗してきたモスバーガーとサブウェイ。どうして、こうなってしまったのでしょうか。
モスバーガーの悩みは「値ごろ感」のなさ?
モスバーガーを経営するモスフードサービスは、19年3月期連結決算について、「8億円の赤字」を計上する見通しと発表しました。今年8月に長野県上田市の店舗で起きた食中毒による客離れの影響が大きいと同社は判断。08年3月期以来11年ぶりの赤字としています。しかし、モスバーガーの「客離れ」は食中毒だけが原因ではなかったと見る向きもあります。一つは不況下にもかかわらず強気の「値上げ」路線。同社は消費税増税(5%→8%)のタイミングで14年4月に値上げを実施。さらに15年5月にも原材料費や人件費の高騰を理由に値上げに踏み切っています。
主力メニューの「モスバーガー」が340円から370円(いずれも税込み)となり、セットメニューは1000円札1枚で収まらないものもちらほら。メニュー設計から「高い」とまでは言い切れませんが、一瞬「あれっ?」と思わせる値段です。
590円出せば夜マックでは新商品の「倍グランクラブハウス」を注文できます。高級路線と言われるシェイクシャックでさえ、ハンバーガー(シングル)1個の値段は610円です。一方、コンビニのおにぎりは1個あたり108円~198円で、おかずもついたセットが350円程度、牛丼の並盛りは320円~380円ですから、モスバーガーのセットに「値ごろ感」はないといえるでしょう。
もともと同社は「ファストフードではない」ファストカジュアルの方針が売り物。日本人の味覚にもパンにも合う「テリヤキ」ソースを開発したのも、糖質カットの「菜摘(なつみ)」を開発したのもモスでした。そんなモスバーガーが苦戦しているのは、マクドナルドが相手というより、コンビニの豊富になったメニューや新業態のお店など、「話題」になるかどうか。改革のフロンティアを担ってきただけに、いまコモディティ化と戦っているように見えます。
「サブウェイ中!」はインスタ映えしない
サブウェイの苦境は、5月末頃にプレジデント・オンラインに掲載された記事により、大きく話題になりました(サブウェイが4年で170店舗も閉めた理由 プレジデントオンライン 2018/05/23)。決算公告によると、運営会社である日本サブウェイの2017年12月期の当期純損益は1435万円の赤字、2015年12月期以来3年連続の赤字となっています。2014年には日本国内で480店舗まで出店を伸ばしていたサブウェイが大量閉鎖したのは、「日本のコンビニのおにぎりの優秀さと手軽さ」が原因の一つとする記事にうなずく人は多いでしょう。サブウェイはもともと注文方法がやや複雑で、注文を受けてからサンドイッチを作るので、受け取りまでの時間が「ファスト」とは言えない難点がありました。
メニュー選びの苦労を軽減するため、「おまかせ」なグランドメニューが開発されましたが、驚くのは「値段よりカロリーが低い」こと。たとえばオススメNo.1の「えびアボカド」は490円で321カロリーです。目の前で調理してくれること、野菜をたっぷりとれることで一定の安心感はありますが、低カロリーだけにこみ上げる感動がなく、「インスタ映え」の対象になりにくいのが難点かもしれません。
マクドナルドは「客の声」と「ポケGO」で回復
ファストフードにかぎらず、「価格と満足」のバランスこそ外食のダイゴミ。V字回復のマクドナルドでは、新トップのサラ・カサノバ社長が徹底的に「客の声を聞く」ことから現場の意識を改革し、新しいメニュー作りに活かしたことが、さまざまなメディアで報じられています。また、インバウンド需要も追い風となり、外国人訪日客に安心を提供しています。さらに、2016年夏に配信され、現在三度目のブームを迎えていると言われるゲームアプリ「ポケモンGO」とのコラボによる「特需」も見逃せません。全国のマクドナルドが、ゲームに必要なアイテムを入手できる「ポケストップ」や、対戦の出来る「ジム」になったのです。「マクドナルド離れ」を起こしていたファミリー層が久しぶりに店舗に出向くことで、「新しくなったマック」を実感できたことは、同社にとって大きなボーナスだったに違いありません。
一方でシェイクシャックやUMAMIバーガーなど、「黒船」と呼ばれるプレミアムバーガーレストランチェーンが多数日本に上陸。お手軽で満腹なだけではない「ハンバーガーの楽しみ方」を提案しています。多くのチェーンが競合することで、よりさまざまな選択肢が広がったのは、消費者にはうれしいことと言えそうです。
<参考サイト>
・東洋経済オンライン:客数減が止まらない、「モスバーガー」の苦境
https://toyokeizai.net/articles/-/209063
・MAG2NEWS:どん底からのV字回復、マクドナルド社長が語った復活劇の舞台裏
http://www.mag2.com/p/news/346306
・東洋経済オンライン:客数減が止まらない、「モスバーガー」の苦境
https://toyokeizai.net/articles/-/209063
・MAG2NEWS:どん底からのV字回復、マクドナルド社長が語った復活劇の舞台裏
http://www.mag2.com/p/news/346306
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