社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
2045年に秋田の人口が4割減少…他の都道府県は?
「地方消滅」の言葉が話題になったのは2014年。当時日本創成会議座長だった増田寛也氏らが発表した、通称「増田レポート」の中で用いられたこの言葉が世間にインパクトを与えました。2040年までの間に20~39歳の女性人口が半減する自治体が全国の市町村の約半数にあたると未来像を提示。一般向けにまとめられた『地方消滅』(中公新書)は2015年の新書大賞を受賞するベストセラーとなりました。あれから3年。事態はどのように変化しているのでしょうか?
都道府県別にみた推計結果の概要としては、42道府県で2015年以後の総人口は一貫して減少し、すべての都道府県で2030年以後の総人口は一貫して減少する、とあります。2015年時点でさえ、人口が減少する都道府県数は39に上り、南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)ブロックが全体の28.4%を占めています。この傾向は今後も続き、2045年には31.9%に達するとみられています。
2015年の総人口を100としたときの指数で見ていくと、2045年に100以上になるのは東京都だけで、沖縄99.6、愛知92.2、神奈川91.1、埼玉89.8と続きます。減少が最もはなはだしいほうから見ると、秋田58.8、青森63.0、山形68.4、高知68.4、福島68.7。なんと秋田県や青森県の人口は現在の3分の2以下にまで減ってしまうのです。人口が減ると購買力も生産力も減るため、地方では商業施設などの存続が危ぶまれています。
都道府県別の指数(全国平均は83.7)を北から順番に並べてみましょう。
北海道74.4、青森63.0、
岩手69.1、宮城77.5、
秋田58.8、山形68.4、
福島68.7、茨城76.6、
栃木79.0、群馬78.7、
埼玉89.8、千葉87.8、
東京100.7、神奈川91.1、
新潟73.7、富山76.7、
石川82.1、福井78.1、
山梨71.7、長野76.9、
岐阜76.6、静岡79.5、
愛知92.2、三重78.8、
滋賀89.4、京都81.9、
大阪83.0、兵庫81.9、
奈良73.2、和歌山71.4、
鳥取78.2、島根76.2、
岡山84.3、広島85.4、
山口73.7、徳島70.8、
香川79.5、愛媛73.1、
高知68.4、福岡89.3、
佐賀79.7、長崎71.3、
熊本80.8、大分76.9、
宮崎74.7、鹿児島73.1、沖縄99.6
0-14歳人口ベスト5は沖縄に続いて滋賀14.5、佐賀14.0、愛知13.7、宮崎13.6と西日本が優勢です。2015年時点の0-14歳人口の割合では東京は11.3と全国46位(47位は秋田10.4)。家賃の高さをはじめ子どもを育てるには不向きな環境の東京ですが、大学の多くが東京にあるために18歳人口を吸い寄せ、その後も定住するケースが多いことをデータが示しています。
このように東京と沖縄の人口だけは2030年頃まで増え続けますが、その後は減少に転じます。65歳以上人口が2015年より2045年で圧倒的に増えるのは東京、神奈川、大阪、埼玉、愛知などの大都市部です。大都市では今後、医療・介護施設が対応しきれなくなると予想されています。
2018年12月8日、改正入管法が成立して外国人労働者の受け入れ拡大が推進されることになりました。全国の外国人労働者は、この10年で2.5倍以上に増え、居住についてのルールを共有すること、子どもたちの教育環境を整備することなど、課題が山積みです。
東京の少子化の影響が出て、首都圏の人口が減り始めるのは2030年頃と予測されています。外国人労働者に「選ばれない」日本になってしまうと、「お先真っ暗」であることは自明です。企業で、地域で、学校で、共存のための模索が始まっています。
「地方消滅」ではなく「東京1強、地方全滅」の可能性?
増田レポートの試算は、国立社会保障・人口問題研究所が2013年3月に発表した人口推計データをもとにして行われました。5年後の今日では、新しい「日本の地域別将来推計人口」が発表されています。都道府県別にみた推計結果の概要としては、42道府県で2015年以後の総人口は一貫して減少し、すべての都道府県で2030年以後の総人口は一貫して減少する、とあります。2015年時点でさえ、人口が減少する都道府県数は39に上り、南関東(埼玉、千葉、東京、神奈川)ブロックが全体の28.4%を占めています。この傾向は今後も続き、2045年には31.9%に達するとみられています。
2015年の総人口を100としたときの指数で見ていくと、2045年に100以上になるのは東京都だけで、沖縄99.6、愛知92.2、神奈川91.1、埼玉89.8と続きます。減少が最もはなはだしいほうから見ると、秋田58.8、青森63.0、山形68.4、高知68.4、福島68.7。なんと秋田県や青森県の人口は現在の3分の2以下にまで減ってしまうのです。人口が減ると購買力も生産力も減るため、地方では商業施設などの存続が危ぶまれています。
都道府県別の指数(全国平均は83.7)を北から順番に並べてみましょう。
北海道74.4、青森63.0、
岩手69.1、宮城77.5、
秋田58.8、山形68.4、
福島68.7、茨城76.6、
栃木79.0、群馬78.7、
埼玉89.8、千葉87.8、
東京100.7、神奈川91.1、
新潟73.7、富山76.7、
石川82.1、福井78.1、
山梨71.7、長野76.9、
岐阜76.6、静岡79.5、
愛知92.2、三重78.8、
滋賀89.4、京都81.9、
大阪83.0、兵庫81.9、
奈良73.2、和歌山71.4、
鳥取78.2、島根76.2、
岡山84.3、広島85.4、
山口73.7、徳島70.8、
香川79.5、愛媛73.1、
高知68.4、福岡89.3、
佐賀79.7、長崎71.3、
熊本80.8、大分76.9、
宮崎74.7、鹿児島73.1、沖縄99.6
出生率の高い沖縄が健闘、西高東低の若年者人口
2045年までの人口レースで沖縄がやや健闘しているのは、出生率が高く、0-14歳人口の割合では全国ベスト1の17.3(2015年)に位置しているため。一人の女性が生涯に産む子供の人数を示す合計特殊出生率は1.94(2017年調べ)で、全国の1.43と比較すると0.51ポイント高く、30年以上全国1位を続けています。0-14歳人口ベスト5は沖縄に続いて滋賀14.5、佐賀14.0、愛知13.7、宮崎13.6と西日本が優勢です。2015年時点の0-14歳人口の割合では東京は11.3と全国46位(47位は秋田10.4)。家賃の高さをはじめ子どもを育てるには不向きな環境の東京ですが、大学の多くが東京にあるために18歳人口を吸い寄せ、その後も定住するケースが多いことをデータが示しています。
このように東京と沖縄の人口だけは2030年頃まで増え続けますが、その後は減少に転じます。65歳以上人口が2015年より2045年で圧倒的に増えるのは東京、神奈川、大阪、埼玉、愛知などの大都市部です。大都市では今後、医療・介護施設が対応しきれなくなると予想されています。
切り札は外国人労働者との共存にあり
結論から言うと、増田レポートが警鐘を鳴らした状況は今のところ何も変わっていません。「カルトグラム」という手法で日本列島の形を人口で表すと、北海道から東北にかけてがやせ細り、東京・埼玉・神奈川などの太平洋側がぼってり太ります。2018年12月8日、改正入管法が成立して外国人労働者の受け入れ拡大が推進されることになりました。全国の外国人労働者は、この10年で2.5倍以上に増え、居住についてのルールを共有すること、子どもたちの教育環境を整備することなど、課題が山積みです。
東京の少子化の影響が出て、首都圏の人口が減り始めるのは2030年頃と予測されています。外国人労働者に「選ばれない」日本になってしまうと、「お先真っ暗」であることは自明です。企業で、地域で、学校で、共存のための模索が始まっています。
<参考サイト>
・国立社会保障・人口問題研究所:日本の地域別将来推計人口
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/1kouhyo/gaiyo.pdf
・国立社会保障・人口問題研究所:日本の地域別将来推計人口
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/1kouhyo/gaiyo.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
叩き潰せ、正しいのは自分だけ…ロイ・コーンの教えとは
[深掘り]世界を壊すトランプ関税(1)トランプ大統領の動機と思考
トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。
島田晴雄先生には、...
島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/25
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性
水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題
日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
銀河の中心にある巨大なブラックホールは一体何なのか。それを考えるためには、宇宙にある数多の銀河の構造について正しく理解する必要がある。私たちが住むこの太陽系は、天の川銀河という巨大な銀河のごくごく小さな一部分で...
収録日:2018/10/31
追加日:2019/03/26
実は考古学者と人類学者で違う!? 渡来系弥生人の定義
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(6)弥生人のDNA
後の二重構造説の見直しにつながっていく「ヤポネシアゲノムプロジェクト」は、これまで手薄だった弥生人のDNA分析によって、古代人の分布について新たな見方を示した。そして、鳥取県にある青谷上寺地遺跡の調査では、現代日本...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/04/23