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DATE/ 2019.01.13

地元とどう違う?上京して感じた東京と地方の差

 2度目のオリンピックも控えている日本の首都、東京。都知事は「都民ファースト」の政策を掲げていますが、国内全体レベルで見れば、官公庁機能や人口の一極集中も問題となっています。

 そんな東京都は2018年11月、「都民生活に関する世論調査」(平成30年7月実地)のアンケート結果を発表しました。名前の通り、東京都民に向けられたアンケートですが、今後も東京に住みたいと答えた人は回答の約8割を占めています。東京暮らしのメリット・デメリット、地方との差はどんなところにあるのでしょう。東京都外出身の都民の声を拾ってみました。

その1「公共の交通機関が便利」

「電車・バスがとにかく便利です。本数はやたら多いし、乗りそびれても次を待てば良いし。地元は乗り逃すと次まで30分は待たないといけなかった(27歳公務員)」
「通勤ラッシュに唖然。大柄な自分が人混みに押し上げられて、一駅間まったく床に足がつかなかったことも……(42歳会社員)」

 車を持っていない都民が少なからずいることに納得したという意見が多く寄せられました。それなりに大きい駅からは羽田や成田に直行するバスも出ているので移動手段には事欠かないのは確かですね。「都民生活に関する世論調査」の「東京に今後も住みたい理由」の第1位に交通網の発達があげられていました。

 一方で、通勤ラッシュや悪天候への弱さ、トラブル発生となると駅構内に溢れかえる人の群れに思わず天井を仰いだという声も届いています。在京10年以上でも未だに東京駅や新宿・渋谷駅の中で迷子になるという人も多いようです。

その2「やっぱり人が多い」

「駅前にとにかく人が多い。私の地元は県庁所在地だけど、夜間はひっそりしている(33歳会社員)」
「子供がたくさんいる。上京したら公園にも図書館にも子供がたくさんいて驚いた、少子化は地方の方が顕著(70歳無職)」
「婚活サイトの登録者数がぜんぜん違う。東京で仕事辞めて地元に帰ってきたら、同じサイトを同条件で使っているのに該当する候補数が3分の1になった……(31歳SE)」

 上述の通勤ラッシュにも通ずるものがありますね。良くも悪くも人が多いのが東京らしさと言えるようでしょう。子供の数は出身地によっては、むしろ東京は少なく感じるという印象を持つ方もいましたので、地方差があるようです。

 コメントをしてくれた方はいずれも知名度のある街の出身ですが、それでも人の多さに驚かれる傾向にあります。人口密度の高さは悩みどころでもあり、「東京に今後は住みたくない」と回答した理由の第2位が「人や車が多すぎる」でした。

その3「都民は冷たくて地元愛が希薄?」

「男の人が(他人の)子供にも優しいのに驚きました。地元だと子供が公園ではしゃいでいるだけで怒鳴られるとかあったり……(44歳主婦)」
「東京の人は冷たいっていうよりドライ(19歳大学生)」
「東京生まれ東京育ちなのに都内の名所に関心がない人が多い。六本木ヒルズもジブリ美術館もスカイツリーも行ったことないって、もったいなさすぎでしょ!(26歳OL)」
「方言あって羨ましいって言われて複雑な気分(20歳大学生)」

 東京の人は冷たいと定型文のように語られがちですが、これは良くも悪くもと意見が分かれました。地方のしがらみから逃れてきた人々の住まう場所が東京、なんて回答をしてくれた方もいましたが、案外的を得ているのかもしれません。

その4「都会の中の自然にビックリ」

「ゴキブリがでかい……(27歳会社員)」
「蝉の鳴き声が地元と違う!(30歳保育士)」
「都会の中にタヌキorハクビシンorスッポンが棲息していてビックリ(複数の方)」

 想像していたよりも緑が多いという意見も寄せられました。公園を作る、緑地政策の推進も積極的なのでその効果が出ているということでしょうか。棲息地域が狭められて街中で暮らさなければならない野生動物がいること、逃げ出した食材、ペット動物の繁殖は望ましいことではありませんが、意外と目にする機会は多いですよね。

 また、北国出身の方にゴキブリのサイズは脅威的なようです。人生で初めて殺虫スプレーを買ったきっかけは上京だったという声もありました。関西圏出身の方からは、蝉の種類が違うとの指摘も。身近な動植物だからこそ違いに気がつきやすいのかもしれません。

 江戸時代から、東京は上京民が圧倒的に割合を占める町でした。所変われば品変わるとはよく言ったもので、積もった雪を見物しようと船を出している江戸っ子を、雪国出身の人らは何が面白いのかと首を傾げていたそうです。上京してきた人々がカルチャーショックを受けるのは今も昔も変わらないのでしょう。

<参考サイト>
・『「都民生活に関する世論調査」結果』東京都
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/11/27/01.html
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