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低カロリーで高タンパク「豆腐」の健康効果
豆腐の健康効果はこんなにたくさん
ヘルシーな食材というと、発酵食品である納豆や食物繊維の宝庫であるこんにゃくなど、低カロリーで体にうれしい成分を取れるものが思い浮かびますよね。そのような点では、豆腐をまっさきに上げる方も多いのではないでしょうか。煮込んだ大豆から搾り取った豆乳をにがりで固めてつくる豆腐は、タンパク質が豊富でありながら肉類と比べて低カロリー。米やパンなどの炭水化物より糖質が少ないので、糖質制限にも向いています。さらに、近年注目されている栄養素がたくさん含まれているのです。特に多くの人の期待を集めているのが、イソフラボンです。食物の中では大豆に最も多く含まれるとされており、体内で女性ホルモンの一種であるエストロゲンと似たはたらきをすることから植物エストロゲンとも呼ばれます。女性が年齢を重ねると、骨がもろくなる骨粗鬆症を起こしやすくなりますよね。これは、骨のカルシウムの溶出を抑える女性ホルモンが減少するためです。つまり、イソフラボンを取ることで骨粗鬆症の予防効果が期待できるのです。また、更年期障害でも起きやすいコレステロールの増加や高血圧を抑えるともいわれます。これに加えて乳がん、前立腺がん、胃がんを予防できるとも考えられており、国内のみならず海外からも熱視線を送られています。
また、サポニンは活性酸素の抑制や脂肪の排除などのはたらきがあるとされており、成人病予防やアンチエイジングに効果があると考えられています。このほかにも脳の神経細胞を構成して記憶力を高めるとされるレシチン・コリン、腸内善玉菌を育てるオリゴ糖など多くの栄養素が豆腐から得られます。
健康に良くても取りすぎは逆効果
このように、豆腐はとても「体に良い」といえます。しかしどんな食品にもいえることですが、取りすぎは逆効果になってしまうもの。それでは、豆腐を毎日の食事に取り入れるときはどのようなことに気をつければよいでしょうか。まず大切なのは、豆腐を肉・魚・卵と同じグループと考えることです。豆腐は主成分が豆であることから野菜と同じグループに入れてしまいそうになりますが、タンパク質が多いので、主菜として肉や魚をいつも通りの量で食べたところに副菜で豆腐も食べるとタンパク質の過剰摂取になってしまいます。主菜は豆腐か肉・魚・卵のどちらかにしましょう。肉・魚・卵と豆腐を一緒に食べる場合は、どちらも量を減らせばバランスが取れます。
また、豆腐はヘルシーだからといって大量に食べるのも良くありません。低カロリーとはいえ、ゼロカロリーではないのです。現在、スーパーなどで一般的に売られている豆腐には「絹ごし」と「木綿」があり、木綿のほうが2~3割ほど栄養価が高いといわれますが、この両者を1丁約300g食べた場合、他の食品の1食分と比較してどうなるでしょうか。絹ごし豆腐の冷奴は186kcal、木綿豆腐の冷奴は237kcalで、これに対しゆで卵1個は83kcal、豚肉90gと付け合せの野菜の豚生姜焼きは330kcalです。つまり豆腐1丁のカロリーはゆで卵1個より高く、豚の生姜焼きと比べても半分以上あります。低カロリーだからと油断せず、量をセーブすることを忘れないでください。
豆腐の種類を知っておいしく取り入れよう
健康的に豆腐を食べるなら、いわゆるメイン料理である主菜にするのが賢い選択といえます。くせのない豆腐はいろいろな食材や調味料となじむので、料理を楽しみながら毎日の食事に取り入れられるでしょう。料理するとなると、絹ごしと木綿の違いが気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。なんとなく「絹ごしは柔らかくて、木綿はしっかりしている」とはご存知でも、なぜこのような違いが出るのかは意外と知られていないものです。両者の違いは作り方によって出ます。絹ごしは豆乳をにがりで固めたもので、木綿は豆乳をにがりで固めたものを崩してから水分を搾り取り、これを固め直したものです。木綿は絹ごしより水分量が少ないので、栄養価やカロリーも凝縮されて高めになるのですね。歴史的には木綿のほうが先に誕生し、より柔らかく滑らかな豆腐が求められるようになって絹ごしが誕生したといわれます。
絹ごしと木綿にはこのような違いがあるので、冷奴や湯豆腐のように豆腐そのものの風味を楽しむ場合は絹ごし、麻婆豆腐やゴーヤーチャンプルーのように煮たり炒めたりする場合は木綿を使うのが一般的です。しっかりメインとして楽しめる料理ばかりですよね。
また、豆腐は絹ごしと木綿以外にもいろいろな種類があります。現在では身近になった沖縄のチャンプルー料理も、本来は沖縄でつくられる島豆腐を使った料理です。島豆腐は木綿よりもさらに水分が少なく、ひもで縛って運べるくらい固いことが特徴です。また、アジア圏では香港の豆腐花やフィリピンのタホのように柔らかい豆腐をスイーツ感覚で食べることもよくあります。たまには気分を変えてこのような珍しい種類を取り入れてみると、より楽しく豆腐を続けられるでしょう。
<参考サイト>
・全豆連 豆腐の栄養と健康
http://www.zentoren.jp/knowledge/health.html
・同友会グループ 「お豆腐」食べ過ぎ注意報!
http://www.do-yukai.com/meal/12.html
・東京ガスウチコト 「木綿と絹ごしって何が違う? 」木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いと豆知識
https://tg-uchi.jp/topics/3630
・全豆連 豆腐の栄養と健康
http://www.zentoren.jp/knowledge/health.html
・同友会グループ 「お豆腐」食べ過ぎ注意報!
http://www.do-yukai.com/meal/12.html
・東京ガスウチコト 「木綿と絹ごしって何が違う? 」木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いと豆知識
https://tg-uchi.jp/topics/3630
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