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DATE/ 2019.02.17

山手線の乗車人員ランキング…最下位は?

 東京の主要路線の代表格といえるJR山手線。通勤通学だけでなく休日の外出に使う人も多く、1週間ののべ利用客数は2500万人を越える、JR東日本の路線の中でも最大級の規模を誇っています。また、2020年には東京オリンピックの開催に合わせて、新しく高輪ゲートウェイ駅が開設されることでも話題を集めている路線でもあります。

 そんな山手線には29の駅がありますが、今回はJR東日本が発表した2017年度の各駅乗車人員のデータを基に、1日平均乗車人員数のランキングを紹介していきます。

乗車人員が多い3駅

1位 新宿駅(778,618人)
2位 池袋駅(566,516人)
3位 東京駅(452,549人)

 圧倒的1位に輝いたのは、1日平均乗降客数が世界一ともいわれる新宿駅。次いで池袋駅、東京駅と誰が聞いても納得できる、予想通りの顔ぶれがランクインしています。他の路線への乗り換えも多く、ターミナル駅としての役割も果たすことが、乗車人員数が多い要因のひとつといえるでしょう。

乗車人員が少ない3駅

27位 田端駅(47,034人)
28位 目白駅(38,179人)
29位 鶯谷駅(25,375人)

 一方で、1日平均乗車人員数で最下位となったのは鶯谷駅。田端駅、目白駅とも池袋エリアから上野にかけて東京の北側に位置する駅がランクインしています。その数は新宿駅の1日平均乗車人員数の1/10にも満たない数で、利用客の差が歴然としていることが分かります。

なぜ利用客が少ないのか?

 JR山手線という利便性の高い路線でありながら乗車人員が少ない駅には、どんな理由があるのでしょうか。

 ひとつは「乗り換え駅としての役割がない」こと。上位の駅は東京メトロや私鉄各線の路線が乗り入れるターミナル駅なので、乗り換え客が多いのは当然ともいえるでしょう。逆に山手線内で乗り換え駅ではない目白駅は28位、新大久保駅は26位と、いずれもランキングでは下位の結果になっています。また、27位の田端駅、28位の鶯谷駅には京浜東北線が乗り入れていますが、山手線と一部同じ区間を走っていることもあり、乗り換え駅としての役割は大きくないことがうかがえます。

 また、ひとつは「駅を利用する目的がない」こと。電車を使う理由としては通勤通学や休日の外出などがありますが、オフィス街でもなく、これといったランドマークがなければ、利用する人は多くないことは想像に難くないでしょう。26位にランクインしている新大久保駅は1日平均乗車人員数が前年度比9.8%も増加していますが、これは女子高生の間で再び韓流ブームが広がったことが背景にあると考えられます。こうしたきっかけが少ない駅がランキングの下位にランクインしていることがうかがえます。

 こうした理由から乗車人員が少ないものと考えられますが、駅そのものには知られていない魅力が隠されているかもしれません。鶯谷駅は文化人に縁のあるエリアですし、目白駅は2つの大学を含む文教地区で落ち着いた雰囲気の店も多くあります。また、田端駅は最近では「何もない」ことを売りにするほど。普段は通り過ぎてしまうこうした駅に降りてみて、新しい魅力を探してみるのも面白いかもしれません。

<参考サイト>
・JR東日本 各駅の乗車人員 2017年度
https://www.jreast.co.jp/passenger/
・JR東日本交通メディア メディアデータ プロファイル
https://www.jeki.co.jp/transit/mediaguide/data/index.html
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