テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.04.13

外国人観光客から見る「東京の魅力」は?

 米国誌「Condé Nast Traveler」(コンデ・ナスト・トラベラー)の読者投票において3年連続「世界で最も魅力的な都市」1位に輝きました。

 コンデ・ナスト・トラベラーは主に北米の富裕層を読者に持ち、1988年から読者投票による、世界でもっとも魅力的な都市ランキングを調査集計しています。2018年度ランキングには実に約42万人もの投票があり、東京はベスト都市として3連覇を果たしました。外国人からみた東京の魅力とは、また問題点はどのようなポイントにあるのでしょうか。

訪日観光客から見た都内人気スポット

 都の産業労働局の調査によりますと、東京を訪れる外国人の特徴としてリピーターが多いことが指摘されています。数にして51.5%と過半数を上回っており、中でも同じアジア圏である香港、シンガポール、台湾からやってくる人々は大半が2度以上の来訪だそうです。そんな東京ビジターの目的はと言いますと、7割が「観光・レジャー」、次いで「ビジネス」が占めています。

 訪問先の人気スポットは、

1位「新宿・大久保」
2位「銀座」
3位「浅草」

と続いています。なるほど、納得の順位ではないでしょうか。歌舞伎町ではビル街に覗くゴジラと一緒に記念写真を撮ろうとセルフショットに勤しむ観光客をそこかしこに見かけますし、銀座の高級ブランド店やカフェでショッピングを楽しむ人々が多国籍なのは日常的な光景になっていますよね。

 また、欧米地域を中心に注目が集まっているのが「渋谷」です。海外からは渋谷の町並みは人気SF映画『ブレードランナー』の世界観を彷彿させるという声も出ており、スクランブル交差点を行き来する通行人の波に未来都市を思い浮かべる人もあるとか。

YOUは何しに東京へ? 来日観光客の都内お楽しみポイント

1位「日本食を楽しむ」
2位「日用雑貨などのショッピング」
3位「高層ビルなどの探索」

 観光のお楽しみポイントは万国共通なのかもしれません。トップには「日本食を楽しむ」が輝きました。旅行の楽しみといえばやはり地元のグルメを味わうこと。近年はグルメ漫画の実写ドラマがアジア圏で話題になるなど注目を浴びていて、作中でとりあげられたお店で主人公と同じメニューを食べてみたいとやってくる人も少なくないそうです。

 また、お隣中国からのお客さんによる「爆買い」なんて言葉が流行語になったこともありましたが、ショッピングも目玉の一つです。ドラッグストアや百円ショップにはじまり高級ブランド時計店やブティック、秋葉原で電化製品店巡りというのも定番になっています。
 街の探索は高層建築だけでなく神社仏閣から奥多摩の自然、吉祥寺・三鷹でジブリ美術館を満喫したという声も上がっています。都内の隅々まで旅行客が訪れても安全というのは、日本の治安の良さが反映されている大きな魅力なポイントと言えるかもしれません。

ここを何とかして欲しい! 外国人から見みた東京改善ポイント

1位「外国語対応能力」
2位「両替の利便性」
3位「案内標識のわかりやすさ」

 やはりネックになってしまっているのは「外国語への対応能力」でした。以前、スタッフは庶民的な居酒屋にて、フランス語で書かれているメニューはありませんかと外国人女性の二人組に尋ねられてねじりはちまきの店員さんが途方に暮れているのを見かけました。これは極端な例だとしても、多国籍な言語への対応を隅々まで行き届かせるのは、どこの国でもなかなか難しいようです。「案内標識のわかりやすさ」では新宿をはじめとした、都民でさえ迷子になりかねない迷路のような乗り換え駅の複雑さも影響しているのでは?

魅力的なポイントは?

1位「衛生的」
2位「人が親切」
3位「治安が良い」

 こちらは東京の魅力というよりは日本の全体的な魅力と解釈しても良いのかもしれません。観光客の心をとらえていることの1位は「衛生的」な街であるということでした。なるほど、確かに外国旅行を計画するとき、ふと、向こうのトイレって綺麗かな、食べ物にあたらないかな、などなど衛生面は気になるものです。その点、日本はどこへいっても環境が整っているといえるでしょう。

 2位と3位の「人が親切」「治安が良い」というのも旅行者にとってありがたいですよね。迂闊に道を尋ねたら身ぐるみ剥がされて……なんてトラブルは日本ではまず考えられませんし、色々と協力的に案内してくれるのは誰だって嬉しいものです。

 東京に限らず自分の住んでいる街の魅力や問題点、旅行客の視線から気づかされることもあるのではないでしょうか。色々と解決しなければならない問題点を抱えている日本ですが、世界から魅力的な都市があると評価されていることをバネに、国際都市としてますますの発展を願って、一般市民にもできることはないか探していきたいものです。

<参考サイト>
・『東京が世界で最も魅力的な都市に3年連続で選ばれました!米国誌「Condé Nast Traveler」の読者投票で東京が世界1位に』東京都(2018年10月10日  産業労働局)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/10/10/16.html
・『平成29年国別外国人旅行者行動特性調査結果』(東京都産業労働局)
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/tourism/29/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授