社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
今の子どもが「大人になったらなりたいもの」は?
「大人になったらなりたいもの」はなんだったでしょうか。お花屋さん、おもちゃ屋さん、サッカー選手、ケーキ屋さん、看護婦さん、学校の先生、天文学者などなど、今思えばいくつかのパターンは決まっていた気はします。昔から何度も繰り返されてきた質問ですが、現在はどうなっているのでしょうか。最新の結果を見た後に少し経過を辿ってみましょう。
男子
1位 サッカー選手
2位 野球選手
3位 学者・博士
女子
1位 食べ物屋さん
2位 保育園・幼稚園の先生
3位 看護師さん
前回調査(2018年)での男子1位は「学者・博士」だった点から考えると、1位にサッカー選手が上がってきたのは、やはり2018年のワールドカップ効果かも知れません。女子1位の「食べ物屋さん」はなんと22年連続でのトップです。
男子
1位 野球選手
2位 警察官、刑事
3位 おもちゃ屋さん
女子
1位 保育園・幼稚園の先生
2位 お菓子屋さん
3位 学校の先生、看護師さん
男子1位は野球選手。野球選手は30年前も今も大人気です。ちなみにこの時もサッカー選手は4位。Jリーグが開幕したのは1993年なのですが、1989年の段階ですでに4位です。筆者の推測では、これは伝説的サッカー漫画『キャプテン翼』の影響ではないかと思います。『キャプテン翼』は1981年に週刊少年ジャンプで連載開始、1980年代にテレビアニメ版も放送され、人気を博していたようです。
一方女子で人気の「食べ物屋さん」は1997年から22年連続1位ですが、それ以前は「お菓子屋さん」が代わりにランクインしています。また順番は前後しながらも、2019年と1989年の両方トップ3に入っている「保育園・幼稚園の先生」と「看護師さん」はずっと上位に入っています。優しく接してくれる人に憧れるイメージでしょうか。
一般社団法人日本花き卸売市場協会の資料によると、一世帯あたりの切り花の年間支出金額は、2000年の11,570円から2016年には9,316円と20%減。分析では、盆や彼岸といった歳時における花の利用の減少、仏壇や床の間が作られなくなったことなど、消費者のライフスタイルが変化したことを挙げられています。こういった流れから、街から「お花屋さん」は少しずつ姿を消しているのかも知れません。また最近ではスーパーで切り花が売られていることもあるので、職業として認識されにくくなったという事情もあるかもしれません。
男子はスポーツ選手、女子は食べ物屋さんが人気
第一生命保険株式会社が全国の幼児・児童1000人を対象に行った調査、第30回「大人になったらなりたいもの」アンケートによると、男女別トップ3は以下の通りです。男子
1位 サッカー選手
2位 野球選手
3位 学者・博士
女子
1位 食べ物屋さん
2位 保育園・幼稚園の先生
3位 看護師さん
前回調査(2018年)での男子1位は「学者・博士」だった点から考えると、1位にサッカー選手が上がってきたのは、やはり2018年のワールドカップ効果かも知れません。女子1位の「食べ物屋さん」はなんと22年連続でのトップです。
30年前の男子1位は野球選手、女子は保育園・幼稚園の先生
さかのぼって見てみましょう。このアンケートの初回、1989年の調査結果を見てみます。1989年頃の幼児・児童というと、現在の30代半ばくらいから40代前半くらいでしょうか。結果は以下の通りです。男子
1位 野球選手
2位 警察官、刑事
3位 おもちゃ屋さん
女子
1位 保育園・幼稚園の先生
2位 お菓子屋さん
3位 学校の先生、看護師さん
男子1位は野球選手。野球選手は30年前も今も大人気です。ちなみにこの時もサッカー選手は4位。Jリーグが開幕したのは1993年なのですが、1989年の段階ですでに4位です。筆者の推測では、これは伝説的サッカー漫画『キャプテン翼』の影響ではないかと思います。『キャプテン翼』は1981年に週刊少年ジャンプで連載開始、1980年代にテレビアニメ版も放送され、人気を博していたようです。
一方女子で人気の「食べ物屋さん」は1997年から22年連続1位ですが、それ以前は「お菓子屋さん」が代わりにランクインしています。また順番は前後しながらも、2019年と1989年の両方トップ3に入っている「保育園・幼稚園の先生」と「看護師さん」はずっと上位に入っています。優しく接してくれる人に憧れるイメージでしょうか。
お花屋さん人気は徐々に下火に
また、2000年以前になると「お花屋さん」がベスト3に時折入ります。しかし、「お花屋さん」は2014年の8位以降、トップ10からも姿を消しています。考えてみるとたしかに、以前より「お花屋さん」を見かけなくなったかも知れません。ということで、生花業界の状況を少し調べてみました。一般社団法人日本花き卸売市場協会の資料によると、一世帯あたりの切り花の年間支出金額は、2000年の11,570円から2016年には9,316円と20%減。分析では、盆や彼岸といった歳時における花の利用の減少、仏壇や床の間が作られなくなったことなど、消費者のライフスタイルが変化したことを挙げられています。こういった流れから、街から「お花屋さん」は少しずつ姿を消しているのかも知れません。また最近ではスーパーで切り花が売られていることもあるので、職業として認識されにくくなったという事情もあるかもしれません。
親子で価値観を共有できる時代
後半で取り上げた1989年(30年前)このアンケートに答えた世代、つまり現在の30代後半から40代前半は、2019年現在のアンケートに答えている子供たちの親の世代とも重なっていると言えるでしょう。「お花屋さん」に関しては少し変化が見られましたが、それ以外の点では大きな変化は起こっていないようです。こう見てみると、現代は比較的、親子で価値観を共有しやすい世代なのではないでしょうか。<参考サイト>
・第一生命株式会社:第 30 回「大人になったらなりたいもの」調査結果を発表
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2018_068.pdf
・第一生命株式会社:大人になったらなりたいもの
https://event.dai-ichi-life.co.jp/campaign/minisaku/otona.html
・ORICON NEWS:連載開始から36年、100巻突破『キャプテン翼』作者・高橋陽一「翼がくれた世界への感謝」
https://www.oricon.co.jp/special/10199/
・一般社団法人 日本花き卸売市場協会:物流の効率化の検討・実証(広域)報告書
https://www.jfma.jp/data_files/view/283/
・第一生命株式会社:第 30 回「大人になったらなりたいもの」調査結果を発表
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2018_068.pdf
・第一生命株式会社:大人になったらなりたいもの
https://event.dai-ichi-life.co.jp/campaign/minisaku/otona.html
・ORICON NEWS:連載開始から36年、100巻突破『キャプテン翼』作者・高橋陽一「翼がくれた世界への感謝」
https://www.oricon.co.jp/special/10199/
・一般社団法人 日本花き卸売市場協会:物流の効率化の検討・実証(広域)報告書
https://www.jfma.jp/data_files/view/283/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは何か。ケルトという地域は広範囲にわたっており、一般的にアイルランドを中心にした「島のケルト」と、フランスやスペインの西北部などに広がった「大陸のケルト」があるが、神話が濃厚に残っているのはアイルラ...
収録日:2022/04/12
追加日:2023/07/23
横井小楠が説く「世界の幸せのお世話係」こそ日本の使命
徳と仏教の人生論(4)克己と天壌無窮
西郷隆盛が悟った「克己」、『日本書紀』に出てくる「天壌無窮」、これらの重要性をはじめ、東洋思想における欲望と肉体の関係については、まさに宇宙との対話につながる論理である。また、儒・仏・道・禅・神道の5つの東洋思想...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/01
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
算数が苦手な子どもが多く、特に分数でつまずいてしまう子どもが非常に多いというのは世界的な問題になっているという。いったいどういうことなのか。そこで今回は、私たちが言語習得の鍵となる「スキーマ」という概念を取り上...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06


