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DATE/ 2019.06.18

Amazonの偽レビューを見分ける方法

 何でも買えると言っても過言ではないサイト、Amazon。見やすいシンプルなサイトデザインに加え、膨大なカスタマーレビューが人気の源泉でしょう。ですが、最近このAmazonでフェイク(偽)レビューが横行していることはご存知でしょうか?

偽レビュー Facebookにもグループが

 商品のオフィシャルなスペックよりも実際に消費者が使ってどう感じたのか、何割くらいの消費者が満足しているのか、購入時に参考する人も多いでしょう。口コミの効果は広告の10倍以上、なんていう説もあるほどです。そこを逆手に取ったともいえるのが嘘レビューなのです。

 海外ではフェイクレビューとも言われますが、実際にはその商品を使っていないにも関わらず、星5つの絶賛レビューをつける。その見返りとして商品がタダで提供されたり、場合によっては金銭が渡されるケースもあります。SNSで「アマゾン レビュー」などで検索するとすぐにそれらしきグループを見つけることができます。実際にそうしたグループに参加した中国人女性のSさんに話を聞くことができました。

 Sさんは中国発のSNS「WeChat」で嘘レビューのグループに参加。「友達がこのグループを紹介してくれた。週に何個か商品が紹介されて、欲しければ手を挙げる。Amazonでその商品を購入してキャプチャと注文番号を仲介の人に伝えて、ちゃんとレビューが掲載されたら商品代金相当の人民元が振り込まれる、という流れだよ。レビューが載らなかったらお金はもらえない。だからちゃんと載るように書かないと」。そのグループには100人以上が参加しており、Sさんと仲介人に面識はないといいます。こうした嘘レビューグループは中国人コミュニティだけに限った話ではなく、日本人が関与している実態もあるようです。Facebookにも類似したグループがいくつも存在します。

「全部星5つ」or「星5つと1つばかり」に注意

 こんな偽レビューがあふれているとなると、安心して買い物ができなくなってしまいます。そこで、偽レビュー商品にありがちな特徴をご紹介します。レビューが星5つばかり、あるいは星5つと星1つに偏っている商品は要注意です。レビュー数が少なければ星5つばかりということもありえなくはないのですが、数十個レビューがついているのに全部星5つ、というのは疑っていいケースです。それを見て買った一般のユーザーが、期待と異なる商品に失望して星1つのレビューをつける、というのが星5つと星1つに偏るパターンになります。

 また、レビュアーの名前が一般的な日本人の名前なのに、レビューの日本語がおぼつかない、それも偽レビューの可能性が高いと怪しんでいいでしょう。漢字で自分のフルネームを明記してネットにレビューつける日本人はそれほど多くないはずですが、偽レビュー界では頻繁にみかけます。当初は「その方が日本人ぽく見える」という指導があったのかもしれませんが、今となっては逆に偽レビューを見つけるリトマス試験紙にもなりうるのが皮肉ですね。

 Amazonは「レビューが宣伝や販促の目的で利用されることのないよう、防止に努めています」「販促と思われる形式で書かれたレビューは認められませんので、該当するレビューが見つかった場合は、当サイトで削除させていただきます。また、金銭を受け取ってレビューを投稿していることがわかった場合にも、削除いたします。レビューの投稿者が、直接的にでも間接的にでも商品の販売に関わりのある場合や、商品の著者やアーティストと個人的な関わりのあることがわかった場合には、当サイトで該当レビューを削除いたします」とサイトで明記しています。また、出品者が偽レビューを促した場合、売上金の支払い留保やアカウント削除、法的手段をとるなど、厳しい姿勢で臨むことを昨年レビューポリシーに盛り込みました。

 ここまでAmazonが手を打っても、それでもなくならない偽レビュー。まだしばらくはいたちごっこが続きそうですが、うっかり偽レビューだらけの商品を買わないように気をつけてください。

<参考サイト>
・Amazon.co.jp ヘルプ: カスタマーレビューについて
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201967050
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