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DATE/ 2019.08.14

日本は世界一「男性の育休」が整備された国?

 国連児童機関(ユニセフ)のイノチェンティ研究所が作成した報告書『先進国における家族にやさしい政策(原題:Are the world’s richest countries family-friendly? Policy in the OECD and EU)』(以下「報告書」)が、2019年6月13日付けで発表されました。

 報告書の中では、経済協力開発機構(OECD)や欧州連合(EU)に加盟する、41カ国の育児に関する政策が比較されています。その中で日本は、「父親の育児休業制度」で栄えある1位を獲得しました。

日本における「父親の育児休業制度」の実態

 では、日本が世界一と評価された「父親の育児休業制度」の、具体的な内容はどうなっているのでしょうか。

 今回報告書で比較された「父親の育児休業制度」の要件は、「父親に認められている給与と同等の給付金などの支給制度を持つ育児休業期間」です。日本は30.4週の「最も期間が長い国」で41カ国中の1位となりました。

 ちなみに、2位の韓国でも17.2週、3位のポルトガルは12.5週となっており、日本は6カ月以上の「父親の育児休業制度」を整備している唯一の国としても評価されました。

 一方、制度の充実に反して、実際に育児休業を取得した父親はわずか20人に1人(2017年)と「実際に取得する父親は非常に少ない」とした厳しい指摘がなされ、残念ながら日本の「父親の育児休業制度」にまつわる運用や実態に関する大きな問題が露呈する結果ともなっています。

よりよい子育ては大人の義務から子どもの権利へ

 報告書を作成し発表したイノチェンティ研究所は、世界の子どもたちの権利を推進するユニセフのアドボカシー(政策提言)活動を支え、また現在および将来におけるユニセフの活動分野を特定し研究するため、1988年にイタリアのフィレンツェに設立されました。

 イノチェンティ研究所の主な目的は、1)子どもの権利に関する様々な問題について国際社会の理解を深めること、2)世界各国において子どもの権利条約が完全に履行されるよう促進すること――とされています。

 “〈子ども〉の発見”がなされ、格差はあるものの産業革命を経て経済発展を獲得し、特に先進国では豊かな生活基板を人類にとって、子どもの運命や権利をはじめ、それらを基盤とした一生を通したよりよい人生設計や生活の実践も、超自然的で単に与えられるものから、多少なりともコントロールしたり構築したりできるものとなりました。

 つまり、今日の育児や子育てにまつわる制度は、単に親や保護者をはじめとした大人の権利や義務ではなく、本質的に子ども自身のための権利となったといえます。

 しかし、権利は権利者が主張するだけでは、正しい行使にいたりません。どうしても社会的弱者となってしまいやすい子どもの権利が守られるためには、本質的な平等思想の共有や社会制度の充実が不可欠です。

「父親の育児休業制度」取得者の声から学ぶ

 他方、子どもの権利や大人の義務といった堅苦しい話ではなく、自らの意志で子どもと家族となった親にとって、本来子育てを通して子どもとふれあうことは貴重で喜ばしい体験のはずです。

 マタニティ・育児誌の『たまごクラブ』2019年4月号では、「育休を取った男たち」と題した特集が組まれ、「父親の育児休業制度」を取得した“育休パパ”たちのうれしい声が、以下のように紹介されています。

 「子どものこともですが、妻との関係のためにもぜひ取ったほうがいいと思います<中略>いちばん大変な時期を一緒に乗り越えることで、夫婦関係はより深まるはずです。僕は、育休を取ってよかったと心から思っています」

 「仕事は取り返せても、育休は逃すともう取れないと思った<中略>育児の悩み、大変さを妻と同じ温度で感じられ、価値観を共有できたことが、その後の夫婦関係にもプラスに働いていると思います」

「夫婦ともに経験値0だから、一緒に協力できればと思った<中略>新生児期というかけがえのない時間を共に過ごし、成長を間近で見られたことは本当によかったと思っています」

 よりよい育児環境の構築や多様な育児制度の実践は、子どもだけでなく親や保護者を中心とした家族をはじめ、周囲や社会全体の大人たちのクオリティ・オブ・ライフの向上にも繋がっていくように思います。

 とはいえ、現実的に「父親の育児休業制度」の取得が、現代の日本では難しい実態であることも事実です。しかし、ワークライフバランスに悩む日本の父親のために、「Fathering=父親であることを楽しもう」と呼びかける「NPO法人ファザーリング・ジャパン」のような取り組みも広がっています。不安や興味のある方は、まずはいろいろな情報に触れてみることをオススメします。

 多様性が価値となる現代にこそ、いくつもの視点や可能性をもって身近で自分にできることから始めることや、不足や問題を丁寧に見直し生活に生かしていくことが、一人ひとりに求められているのではないでしょうか。

<参考文献・参考サイト>
・Are the world's richest countries family friendly? - UNICEF Innocenti
https://www.unicef-irc.org/publications/pdf/Family-Friendly-Policies-Research_UNICEF_%202019.pdf
・「子育て支援策 新レポート 「家族にやさしい政策」で先進国を順位付け」
https://www.unicef.or.jp/news/2019/0087.html?doing_wp_cron=1563869644.6580979824066162109375
・「制度1位でも育休取らず 日本男性、国連が指摘」(『日本経済新聞』2019年6月13日付)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46032330T10C19A6CR0000/
・ユニセフ・イノチェンティ研究所とは
https://www.unicef.or.jp/library/library_labo.html
・「子ども(供)」、『世界大百科事』(本田和子著、平凡社)
・『10万年の世界経済史 上・下』(グレゴリー・クラーク著、久保恵美子訳、日経BP社)
・「夫専用!たまごパパクラブ<#4>育休を取った男たち」、『たまごクラブ』(2019年4月号、ベネッセコーポレーション)
・「クオリティ・オブ・ライフ」、『日本大百科全書』(田辺功著、小学館)
・NPO法人ファザーリング・ジャパン丨笑っている父親になろう
https://fathering.jp/index.html
(10MTV編集部)

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