社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
保険はギャンブル?確率で考える「保険」の価値
「保険」。辞書でその意味を調べてみると、「火災・死亡など偶然に発生する事故によって生じる経済的不安に備えて、多数の者が掛け金を出し合い、それを資金として事故に遭遇した者に一定金額を給付する制度」(デジタル大辞泉)とあります。裏を返せば何かが起きてしまうことにベットする、ある意味ギャンブルと見ることもできます。その勝負、果たして賭ける価値はあるのでしょうか?
「退院患者の平均在院日数等」という厚生労働省の調査によると、35~64歳の平均入院日数は21.9日。40~44歳の男性の入院率は3.5%。ここから計算すると、入院をすると5000×21.9=109500円の給付を受けられるものの、確率3.5%とすると、期待値は3832円。例で挙げた月2000円の保険は年間24000円の払い込みに対し、“還元率”は16%程度にとどまります。
平均で見れば“損”をするケースであっても、いざという時に大金を用意できない、だから保険に入るんだ、そういう意見もあるでしょう。大病というイメージがあるがんの治療にかかる費用をみてみると、実質の負担額は年間24万円という調査結果があります(「がん治療にかかる費用の平均や自己負担額はいくら? | 保険テラス」)。もちろん健康保険の適用外となる先進医療を受けようとするともっと高額になることもありますが、健康保険内の平均的な金額だと上で挙げた金額になります。小さな金額とは言えないものの、保険に入る代わりに貯金をすれば何とか貯まる額ではないでしょうか?例えば月4000円のがん保険に入るとしたら、年間で48000円。5年間でちょうど24万円になります。
ほかにも、自分がもし今亡くなってしまったら家族が路頭に迷ってしまう、そのためにお金を残したい、という動機も有りうるでしょう。ただ、意外と知られていないのですが国民年金や厚生年金の被保険者がなくなると、残された家族に支払われる遺族保険という制度があります。死亡者の平均標準報酬月額が35万円、子どもが2人いたとすると、遺族年金は月額14.9万円です。これだけで残された家族が生計を立てるのは難しいかもしれませんが、少なくとも生命保険金だけで家族が生活をしなければ!と考える必要はないわけですね。
今入っている保険、本当に必要ですか?改めて考え直してみるのも良いかもしれないですね。
その保険、“還元率”は何%?
例えば40歳男性の場合、月2000円ほどの払い込みで入院した時1日につき5000円の給付を受け取れるという保険があります。それくらいの金額を払っておけばいざという時に助かる!と感じるかもしれませんが、入院する確率、平均して何日間入院するかのデータを見てみましょう。「退院患者の平均在院日数等」という厚生労働省の調査によると、35~64歳の平均入院日数は21.9日。40~44歳の男性の入院率は3.5%。ここから計算すると、入院をすると5000×21.9=109500円の給付を受けられるものの、確率3.5%とすると、期待値は3832円。例で挙げた月2000円の保険は年間24000円の払い込みに対し、“還元率”は16%程度にとどまります。
平均で見れば“損”をするケースであっても、いざという時に大金を用意できない、だから保険に入るんだ、そういう意見もあるでしょう。大病というイメージがあるがんの治療にかかる費用をみてみると、実質の負担額は年間24万円という調査結果があります(「がん治療にかかる費用の平均や自己負担額はいくら? | 保険テラス」)。もちろん健康保険の適用外となる先進医療を受けようとするともっと高額になることもありますが、健康保険内の平均的な金額だと上で挙げた金額になります。小さな金額とは言えないものの、保険に入る代わりに貯金をすれば何とか貯まる額ではないでしょうか?例えば月4000円のがん保険に入るとしたら、年間で48000円。5年間でちょうど24万円になります。
もしも死亡事故を起こしてしまったら…
そもそも保険の商品はアクチュアリーという専門家が綿密な計算をして価格を決めているため、還元率で考えたら消費者が損をするに決まっているのです。そうしなければ保険会社は利益を出せないのですから。じゃあ入っても損するなら保険なんていらないのか?そこまで単純なものでもありません。発生する確率は低くても、出くわしてしまったら数千万円、場合によっては一億円以上の負担となるようなケースへの備えとしては価値があるでしょう。例えば自動車の対人賠償保険がそうです。死亡事故を起こしてしまった場合、裁判で認定された損害額が億単位になることもあります。ほかにも、自分がもし今亡くなってしまったら家族が路頭に迷ってしまう、そのためにお金を残したい、という動機も有りうるでしょう。ただ、意外と知られていないのですが国民年金や厚生年金の被保険者がなくなると、残された家族に支払われる遺族保険という制度があります。死亡者の平均標準報酬月額が35万円、子どもが2人いたとすると、遺族年金は月額14.9万円です。これだけで残された家族が生計を立てるのは難しいかもしれませんが、少なくとも生命保険金だけで家族が生活をしなければ!と考える必要はないわけですね。
今入っている保険、本当に必要ですか?改めて考え直してみるのも良いかもしれないですね。
<参考サイト>
・厚生労働省 平成26年(2014)患者調査の概況 - 11 - 3 退院患者の平均在院日数等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf
・厚生労働省 平成26年(2014)患者調査の概況 - 8 - 2 受療率
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/02.pdf
・がん治療にかかる費用の平均や自己負担額はいくら? | 保険テラス
https://hoken-eshop.com/column/がん治療にかかる費用の平均や自己負担額は/
・遺族年金(必要保障額シミュレーション)|オリックス生命保険株式会社
https://www.orixlife.co.jp/guide/navi/survivors_pension.html
・厚生労働省 平成26年(2014)患者調査の概況 - 11 - 3 退院患者の平均在院日数等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/dl/03.pdf
・厚生労働省 平成26年(2014)患者調査の概況 - 8 - 2 受療率
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/14/dl/02.pdf
・がん治療にかかる費用の平均や自己負担額はいくら? | 保険テラス
https://hoken-eshop.com/column/がん治療にかかる費用の平均や自己負担額は/
・遺族年金(必要保障額シミュレーション)|オリックス生命保険株式会社
https://www.orixlife.co.jp/guide/navi/survivors_pension.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
「見せかけの相関」か否か…コロナ禍の補助金と病院の関係
会計検査から見えてくる日本政治の実態(2)病床確保と補助金の現実
コロナ禍において一つの大きな課題となっていたのが、感染者のための病床確保だ。そのための補助金がコロナ患者の受け入れ病院に支給されていたが、はたしてその額や運用は適正だったのか。事後的な分析で明らかになるその実態...
収録日:2025/04/14
追加日:2025/07/18
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
胆のう結石、胆のうポリープ…胆のうの仕組みと治療の実際
胆のうの病気~続・がんと治療の基礎知識(1)胆のうの役割と胆石治療
消化にとって重要な臓器「胆のう」。この胆のうにはどのような仕組みがあり、どのような病気になる可能性があるのだろうか。その機能、役割についてあまり知る機会のない胆のう。「サイレントストーン」とも呼ばれる、見つけづ...
収録日:2024/07/19
追加日:2025/07/14
3300万票も獲得した民主党政権がなぜ失敗?…その理由
政治学講座~選挙をどう見るべきか(5)政権交代と民主党
民主党は、2009年の衆議院選挙で過半数の議席を獲得し、政権交代に成功した。しかし、その後の政権運営に失敗してしまった。その理由についてはいまだ十分な反省が行われていないという。ではなぜ民主党は失敗してしまったのか...
収録日:2019/08/23
追加日:2020/02/12
印象派を世に広めたモネ《印象、日の出》、当時の評価額は
作風と評論からみた印象派の画期性と発展(2)モネ《印象、日の出》の価値
第1回印象派展で話題となっていたセザンヌ。そのセザンヌと双璧をなすインパクトを与えた作品があった。それがモネの《印象、日の出》である。印象派の発展において重要な役割を果たした本作品をめぐる歴史的議論や当時の市況を...
収録日:2023/12/28
追加日:2025/07/17