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DATE/ 2019.11.18

日本人は世界一「座りすぎ」その健康リスクは?

 仕事はもっぱらデスクワーク。出勤から退勤まで、歩いたのはランチとトイレくらい。そんな働き方の人も少なくないかと思いますが、そんな生活だと1日のうち何時間座っていることになるでしょうか?外回りの営業や、体を使う仕事に比べれば楽?実は座り過ぎはとんでもないリスクをはらんでいるかもしれないです…。

1日に座っている時間はなんと7時間

 シドニー大学が世界20か国を対象にして1日のうち座っている時間の長さを調査したところ、日本は最長の420分(7時間)だったそうです。24時間の中で1/4から1/3は座っているということになります。睡眠時間とほぼ同じくらいと考えると、その長さがわかるのではないでしょうか。ちなみに20か国の平均は約300分でした。

 座る時間が長ければその分体に優しいかと思いきや、さにあらず。「1日に座っている時間が4時間未満の人に比べ、8~11時間の人の死亡リスクは15%増、11時間以上だと40%増」という調査結果もあるのです。「足や下半身などにできた血液のかたまり(血栓)が、血流に乗って肺の血管(肺動脈)につまり、胸の痛み・呼吸困難・循環不全などをきたす病気」、いわゆるエコノミークラス症候群は飛行機に長時間座席に座っていた時だけに起こるわけではありません。地震の被災者が車中泊をしたことで同じ症状に悩まされたということが近年話題になりましたが、デスクワークで長時間座っていたことでも起こりうることを忘れてはいけません。

 明治安田厚生事業団によると、1日9時間以上座っていると、7時間未満と比べて糖尿病にかかるリスクが2.5倍高くなる、1日12時間以上座っている人は、6時間未満の人と比べて、メンタルヘルスが悪い人が3倍も多い、などの調査結果が出ているそうです。

スタンディングデスクを導入する企業も

 そこで三菱商事や日本マイクロソフト、グーグル日本法人、アイリスオーヤマなどスタンディングデスクを導入する会社も現れています。筆者もスタンディングデスクでミーティングをしたことがありますが、議論が行き詰まって無言になってしまう無駄な時間が少なかったように感じます。

 そうは言っても職場の環境を急に変えるのも難しいもの。そこで、仕事中も定期的に立ち上がるのが大事です。立ち上がるのが難しければ、座ったままでも足を上げたり、膝を伸ばしてみるのも効果的。実感はしづらくても体にはダメージが蓄積しているものです。これからはもっと自分をいたわってみてくださいね。

<参考サイト>
・第15回運動疫学研究会学術集会シンポジウム 座位時間の重要性と評価法│日本運動疫学会
http://jaee.umin.jp/doc/120913_shibata.pdf
・エコノミークラス症候群について | メディカルノート
https://medicalnote.jp/diseases/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B9%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4
・ご存知ですか? いま話題の「座りすぎ」│MYライフ・ドック 通信
https://www.my-zaidan.or.jp/tai-ken/information/lifedoc/doc/lifedoc_01.pdf
・「座りすぎ」はカラダにもココロにも悪い?│健康づくりウォッチ一覧|健康づくり情報|公益財団法人 明治安田厚生事業団
https://www.my-zaidan.or.jp/health-watch/detail.php?id=8b7291470c66660f7d75299914329125&tmp=1563931216
・グーグルもフェイスブックも導入、立って働くほうが疲れず生産性も上がる理由 | 長生きしたければ座りすぎをやめなさい | ダイヤモンド・オンライン
https://diamond.jp/articles/-/146122?page=2
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西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授