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あの企業が展開している意外なビジネスとは?
ミスタードーナツを運営しているのは掃除用具レンタルで知られるダスキン。これは比較的知られているかもしれません。一方、音響機器のオーディオテクニカがすしロボットを作っていると聞くとどうでしょう。また、精密機器メーカーの富士フイルムは化粧品を製造販売しています。いずれもちょっと意外な組み合わせという感じがします。ここではこの3社について、どうしてそうなったのかという点に注目しながら、少し詳しくみてみましょう。
こういった事業開発の背景には、カメラがフィルムからデジタルへと変化する流れがあります。また、医療用医薬品を展開する企業を買収し、バイオ医薬分野の会社を設立するなど、医学分野への展開を進めると同時に、内視鏡やX線画像診断装置といった旧来の映像技術に関連する分野も継続的に発展させています。同社は今後こういった「予防・診断・治療」までを含めたトータルヘルスケアカンパニーを目指していくとしています。
もちろん、成功はしていなくとも、これまでにもたくさんの企業がさまざまなチャレンジをしてきたことでしょう。専門家の分析記事を読むと、経営の多角化は一筋縄でいかないようです。少なくとも、自社の持つ技術とは全く異なる業種を買収してうまくいった事例は少ないようです。しかし、自社の技術に固執していても世の変化から置いていかれます。成功している企業で言えることは、現段階でうまくいっている物事の先を見て、次に何をするか、常に次を模索するということなのかもしれません。
なぜダスキンはミスド事業を始めたのか
ダスキンがミスタードーナツ・オブ・アメリカと事業提携契約を行ったのは1970年。翌年に第1号店をオープンします。ダスキン創業者の鈴木清一氏は、当時日本では普及していなかったフランチャイズビジネスに興味を持ち、アメリカに渡ってミスタードーナツの創始者に出会います。ここから日本でのミスドがスタートします。今でこそコンビニを始めとして、フランチャイズビジネスはかなり広がっていますが、当時、斬新な手法としてこのビジネスモデルを日本に取り入れて一気に展開したのがミスタードーナツでした。経営の手法としてフランチャイズをいち早く取り入れ、日本で展開させたのがダスキンです。ダスキンは現在では、清掃関連サービスにとどまらず、オフィスへのドリンクサービスや家事代行サービス、自然派化粧品・健康食品の販売などさまざまな新しい分野に進出しています。オーディオテクニカのすしロボット
オーディオテクニカと聞けば、その会社名からしてまず思い浮かべるのは、もちろんオーディオ機器です。しかし、実は世界すしロボットを開発・販売しています。しかもシェアは世界2位。音響機器でも評判のいい会社ですが、すしロボットの世界でもトップクラスです。このすしロボットはスーパーや宅配寿司、回転寿司などで用いられ、すでに30年もの歴史があるとのことです。1980年代前半に、CDが発売されたことにより、オーディオ業界でアナログからデジタルへの変化が起こります。この危機感から新事業の模索が始まり、「シャリ玉成形機(すしロボット)」が開発されたとのこと。現在では海外での日本食ブームに乗って世界約50カ国で使われています。富士フイルムの化粧品
富士フイルムはフジカラーで知られた写真フィルムの会社です。使い捨てカメラ「写ルンです」は1980年代後半から大ヒット商品となりました。現在でも同社のカメラには手堅い人気があります。一方で、化粧品「アスタリフト」シリーズやヘルスケア商品などもヒットしています。富士フイルムは、写真フィルムの薄い膜の内部に微粒子を安定的に配置する技術「ナノテクノロジー」を開発しました。この写真フィルムの厚みは人の肌の角質とほぼ同じ厚み。また、写真のフィルムは「コラーゲン」を主成分としています。人の肌にとって「コラーゲン」がとても重要であることは誰もが知るところでしょう。つまり、写真フィルムを高精細に表現するための技術は、ひとの肌の健康に応用されています。こういった事業開発の背景には、カメラがフィルムからデジタルへと変化する流れがあります。また、医療用医薬品を展開する企業を買収し、バイオ医薬分野の会社を設立するなど、医学分野への展開を進めると同時に、内視鏡やX線画像診断装置といった旧来の映像技術に関連する分野も継続的に発展させています。同社は今後こういった「予防・診断・治療」までを含めたトータルヘルスケアカンパニーを目指していくとしています。
共通点は手元の技術の先への模索かもしれない
どこも思い切った分野に手を伸ばして多角化しています。共通点としては、どの企業も業界に変化の兆しが見えた段階で新たな事業を展開している点ではないでしょうか。ダスキンが本業以外に手を広げたのは高度経済成長が終わる1970年代初頭、オーディオテクニカはCDが出回りだしてすぐに、富士フイルムもキャノンとニコンがフィルム式カメラから撤退する年には、化粧品を売り出しています。もちろん、成功はしていなくとも、これまでにもたくさんの企業がさまざまなチャレンジをしてきたことでしょう。専門家の分析記事を読むと、経営の多角化は一筋縄でいかないようです。少なくとも、自社の持つ技術とは全く異なる業種を買収してうまくいった事例は少ないようです。しかし、自社の技術に固執していても世の変化から置いていかれます。成功している企業で言えることは、現段階でうまくいっている物事の先を見て、次に何をするか、常に次を模索するということなのかもしれません。
<参考サイト>
・ミスタードーナツの歴史│ミスタードーナツ
https://www.misterdonut.jp/museum/history/
・【あの有名企業の異分野進出】音響メーカーのオーディオテクニカが「寿司」で成功した理由|リクナビNEXTジャーナル
https://next.rikunabi.com/journal/20150109/
・富士フイルムについて> 事業領域> ヘルスケア│富士フイルム
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/solution/healthcare/index.html
・「本業消滅」を乗り越えた企業の"重要な共通点"|東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/291305
・ミスタードーナツの歴史│ミスタードーナツ
https://www.misterdonut.jp/museum/history/
・【あの有名企業の異分野進出】音響メーカーのオーディオテクニカが「寿司」で成功した理由|リクナビNEXTジャーナル
https://next.rikunabi.com/journal/20150109/
・富士フイルムについて> 事業領域> ヘルスケア│富士フイルム
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/solution/healthcare/index.html
・「本業消滅」を乗り越えた企業の"重要な共通点"|東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/291305
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