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1980年代はどういう時代だったか振り返る
1980年代の日本とは、いったいどういう時代だったのでしょうか。今回は、記録や記憶に残る出来事や流行となった人物やフレーズなどを手がかりに、1980年代を振り返ってみたいと思います。
中国残留孤児が初来日を果たした1981年。神戸ポートアイランド博覧会(通称:ポートピア'81)が開催され、福井謙一京都大学教授が日本人初のノーベル化学賞を受賞し、大相撲では千代の富士貢が横綱に昇進しました。大きな事件としては北海道の北炭夕張新炭鉱ガス突出事故発生。他方、歓迎とともにローマ法王ヨハネ=パウロ2世やマザー=テレサが初来日された年でもあります。寺尾聰氏の「ルビーの指環」がミリオンヒットを果たし、テレビアニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」が大ヒットし、バラエティ番組「オレたちひょうきん族」放送が開始された一方で、22年半続いた「スター千一夜」が放送終了し、ピンク・レディーが解散しました。
500円硬貨が発行された1982年。日本電信電話公社からテレホンカード、NECからはパーソナルコンピュータPC-9801、ソニーからは世界初のコンパクトディスクプレーヤーとCDソフトが発売されました。中曽根康弘内閣が発足、中央自動車道が全線開通し、東北新幹線ならびに上越新幹線が開業します。しかし、ホテル・ニュージャパン火災や日航機の墜落事故などの悲劇も発生しました。タモリ司会の「笑っていいとも!」と「タモリ倶楽部」の放送が開始され、女性デュオあみんの「待つわ」がミリオンヒットを記録。プロ野球ではロッテオリオンズの落合博満氏が最年少三冠王を達成しました。
中曾根首相とアメリカのレーガン大統領との「ロン・ヤス関係」が話題となった1983年。一方、ロッキード事件の公判で、元首相の田中角栄被告が実刑判決となります。中国自動車道が全線開通、東京ディズニーランド開園、ファミコンの発売もこの年です。さらに、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」が最高視聴率62.9%を記録し、テレビアニメ「キン肉マン」のヒットと「キン消しブーム」が起こりました。他方、日本海中部地震や三宅島大噴火といった大きな災害も発生しました。
東証1部ダウ平均株価が初の1万円台を突破し、日本の平均寿命が男女とも世界一となった1984年。ロサンゼルスオリンピックでは柔道の山下泰裕氏が金メダルを獲得し、同年に死去した俳優の長谷川一夫や冒険家の植村直己氏らと同じく、国民栄誉賞を受賞。福沢諭吉の1万円札・新渡戸稲造の5千円札・夏目漱石の千円札といった新札が発行されました。電電公社民営化3法が成立とともに電気通信事業の国営と独占が終わった一方、国内研究用ネットワーク「JUNET」の運用が開始され、日本のインターネットの礎となります。高級ディスコ「麻布十番マハラジャ」がオープンし社会現象と呼ばれるほどの人気を博し、アニメ映画「風の谷のナウシカ」が劇場公開されヒットしました。そして、オーストラリアからコアラが贈られ、コアラブームが起こった年でもあります。
急激な円高によるプラザ合意不況によって、輸出産業の担い手である中小企業の痛手が深刻化した1986年。一方で、男女雇用機会均等法が施行され、東京など都市圏の地価暴騰が発生し、経済や産業の構造が大きく変化した年となりました。他方、学校でのいじめ問題での自殺、アイドル歌手岡田有希子飛び降り自殺を少年少女が後追い自殺する事件が続出、さらには同年の自殺者数は戦後以来最多となるなど、自殺が大きな社会問題として表面化します。そして、伊豆大島三原山の大噴火が発生し、全島民避難となりました。上野動物園のジャイアントパンダのトントンが誕生し、ファミコンソフト「ドラゴンクエスト」がヒットしました。
日経平均株価が終値ではじめて2万円を突破した1987年。安田火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札するなど、土地や証券の投機が経済全体に波及し、1991年まで続くいわゆるバブル経済が始まります。ただし、ニューヨーク株式市場で大暴落、いわゆる「ブラックマンデー」の影響を受けて、各国の株式市場にも深刻な影響が波及しました。国内では、国鉄が分割・民営化されたJRグループ各社の開業や、竹下登内閣が発足します。また、利根川進マサチューセッツ工科大学教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
リクルート事件が世間を賑わせた1988年。日経平均株価が終値ではじめて3万円を突破し、外資準備高が大幅に増加し西ドイツを抜いて世界1位となりました。また、青函トンネルの開業、瀬戸大橋の開通、そして東京ドームが完成しました。一方で秋以降は、昭和天皇の容体急変が報道されたことにより、国内全体での自粛ムードに突入した年ともなりました。大相撲では横綱千代の富士貢が53連勝を達成し、ソウルオリンピックでは背泳ぎで金メダリストとなった鈴木大地氏などが活躍しました。
昭和天皇崩御による「平成」への改元で始まった1989年。また、国民的漫画家の手塚治虫、戦後を代表する女性歌手の美空ひばり、さらには松下電器産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助が死去。国内では消費税が導入され、海部俊樹内閣が発足し、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤容疑者が逮捕された一方、世界では中国で天安門事件が発生し、「ベルリンの壁」が事実上崩壊して東欧で民主化運動が活発となります。礼宮文仁殿下と川嶋紀子氏の婚約が決定し、吉本ばなな氏の小説がヒットする「ばなな現象」が起こり、『「NO」と言える日本』(石原慎太郎・盛田昭夫共著)がベストセラーとなりました。
いかがでしたでしょうか。夢中になった出来事、すでになつかしいフレーズ、今では大切になっている思い出などありましたでしょうか。こうして流行のトピックスとともに駆け足で振り返ってみると、1980年代とは、集約や集権によって描かれていた共同幻想が変化し始めた年代であったように思えます。因果律の世界、大きな物語、二項対立の神話など、近代のイズムがもたらした利益と弊害の狭間で、個人が次なる世界のために躍動を始めた時代であったように見えてきます。
1980年代前半を振り返る
モスクワオリンピック不参加の一方、自動車生産台数がアメリカを抜いて世界第1位となった1980年。自民党の党内抗争によって大平内閣不信任案を可決成立し解散総選挙となった最中に大平正芳首相が急死し、鈴木善幸内閣が成立します。他方、国鉄静岡駅前地下街ではガス爆発が、新宿駅西口ではバス放火事件が発生。川崎市で予備校生が両親を金属バットで殺害する事件が発生するなど、家庭内暴力や校内暴力などの社会問題の深刻化が目立ってきました。また、詰め込み教育の反省から、いわゆる「ゆとり教育」が始まった年ともいわれています。プロ野球ではロッテオリオンズの張本勲氏が史上初の3000本安打を達成する一方、長嶋茂雄氏が読売巨人軍監督を辞任し、読売巨人軍の王貞治氏が現役引退しました。中国残留孤児が初来日を果たした1981年。神戸ポートアイランド博覧会(通称:ポートピア'81)が開催され、福井謙一京都大学教授が日本人初のノーベル化学賞を受賞し、大相撲では千代の富士貢が横綱に昇進しました。大きな事件としては北海道の北炭夕張新炭鉱ガス突出事故発生。他方、歓迎とともにローマ法王ヨハネ=パウロ2世やマザー=テレサが初来日された年でもあります。寺尾聰氏の「ルビーの指環」がミリオンヒットを果たし、テレビアニメ「Dr.スランプ アラレちゃん」が大ヒットし、バラエティ番組「オレたちひょうきん族」放送が開始された一方で、22年半続いた「スター千一夜」が放送終了し、ピンク・レディーが解散しました。
500円硬貨が発行された1982年。日本電信電話公社からテレホンカード、NECからはパーソナルコンピュータPC-9801、ソニーからは世界初のコンパクトディスクプレーヤーとCDソフトが発売されました。中曽根康弘内閣が発足、中央自動車道が全線開通し、東北新幹線ならびに上越新幹線が開業します。しかし、ホテル・ニュージャパン火災や日航機の墜落事故などの悲劇も発生しました。タモリ司会の「笑っていいとも!」と「タモリ倶楽部」の放送が開始され、女性デュオあみんの「待つわ」がミリオンヒットを記録。プロ野球ではロッテオリオンズの落合博満氏が最年少三冠王を達成しました。
中曾根首相とアメリカのレーガン大統領との「ロン・ヤス関係」が話題となった1983年。一方、ロッキード事件の公判で、元首相の田中角栄被告が実刑判決となります。中国自動車道が全線開通、東京ディズニーランド開園、ファミコンの発売もこの年です。さらに、NHK朝の連続テレビ小説「おしん」が最高視聴率62.9%を記録し、テレビアニメ「キン肉マン」のヒットと「キン消しブーム」が起こりました。他方、日本海中部地震や三宅島大噴火といった大きな災害も発生しました。
東証1部ダウ平均株価が初の1万円台を突破し、日本の平均寿命が男女とも世界一となった1984年。ロサンゼルスオリンピックでは柔道の山下泰裕氏が金メダルを獲得し、同年に死去した俳優の長谷川一夫や冒険家の植村直己氏らと同じく、国民栄誉賞を受賞。福沢諭吉の1万円札・新渡戸稲造の5千円札・夏目漱石の千円札といった新札が発行されました。電電公社民営化3法が成立とともに電気通信事業の国営と独占が終わった一方、国内研究用ネットワーク「JUNET」の運用が開始され、日本のインターネットの礎となります。高級ディスコ「麻布十番マハラジャ」がオープンし社会現象と呼ばれるほどの人気を博し、アニメ映画「風の谷のナウシカ」が劇場公開されヒットしました。そして、オーストラリアからコアラが贈られ、コアラブームが起こった年でもあります。
1980年代後半を振り返る
G5がプラザ合意を声明し、円高時代の到来となった1985年。国際科学技術博覧会(通称:つくば万博)が開催され、関越自動車道が全線開通。日本電信電話公社と日本専売公社が民営化され、それぞれ日本電信電話株式会社(NTT)と日本たばこ産業株式会社(JT)となりました。一方、日本初のエイズ患者が認定され、国民的歌手坂本九らを含む乗客520人が死亡する大惨事となった日本航空123便墜落事故が発生しました。他方、プロ野球では阪神タイガースが球団設立51年目にして初の日本一に輝き、「トラキチ」が流行語となります。また、日本人初のスペースシャトル搭乗者として、毛利衛氏・向井千秋氏・土井隆雄氏の3人が選ばれた年でもあります。急激な円高によるプラザ合意不況によって、輸出産業の担い手である中小企業の痛手が深刻化した1986年。一方で、男女雇用機会均等法が施行され、東京など都市圏の地価暴騰が発生し、経済や産業の構造が大きく変化した年となりました。他方、学校でのいじめ問題での自殺、アイドル歌手岡田有希子飛び降り自殺を少年少女が後追い自殺する事件が続出、さらには同年の自殺者数は戦後以来最多となるなど、自殺が大きな社会問題として表面化します。そして、伊豆大島三原山の大噴火が発生し、全島民避難となりました。上野動物園のジャイアントパンダのトントンが誕生し、ファミコンソフト「ドラゴンクエスト」がヒットしました。
日経平均株価が終値ではじめて2万円を突破した1987年。安田火災がゴッホの「ひまわり」を53億円で落札するなど、土地や証券の投機が経済全体に波及し、1991年まで続くいわゆるバブル経済が始まります。ただし、ニューヨーク株式市場で大暴落、いわゆる「ブラックマンデー」の影響を受けて、各国の株式市場にも深刻な影響が波及しました。国内では、国鉄が分割・民営化されたJRグループ各社の開業や、竹下登内閣が発足します。また、利根川進マサチューセッツ工科大学教授がノーベル医学生理学賞を受賞しました。
リクルート事件が世間を賑わせた1988年。日経平均株価が終値ではじめて3万円を突破し、外資準備高が大幅に増加し西ドイツを抜いて世界1位となりました。また、青函トンネルの開業、瀬戸大橋の開通、そして東京ドームが完成しました。一方で秋以降は、昭和天皇の容体急変が報道されたことにより、国内全体での自粛ムードに突入した年ともなりました。大相撲では横綱千代の富士貢が53連勝を達成し、ソウルオリンピックでは背泳ぎで金メダリストとなった鈴木大地氏などが活躍しました。
昭和天皇崩御による「平成」への改元で始まった1989年。また、国民的漫画家の手塚治虫、戦後を代表する女性歌手の美空ひばり、さらには松下電器産業(現・パナソニック)創業者の松下幸之助が死去。国内では消費税が導入され、海部俊樹内閣が発足し、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤容疑者が逮捕された一方、世界では中国で天安門事件が発生し、「ベルリンの壁」が事実上崩壊して東欧で民主化運動が活発となります。礼宮文仁殿下と川嶋紀子氏の婚約が決定し、吉本ばなな氏の小説がヒットする「ばなな現象」が起こり、『「NO」と言える日本』(石原慎太郎・盛田昭夫共著)がベストセラーとなりました。
いかがでしたでしょうか。夢中になった出来事、すでになつかしいフレーズ、今では大切になっている思い出などありましたでしょうか。こうして流行のトピックスとともに駆け足で振り返ってみると、1980年代とは、集約や集権によって描かれていた共同幻想が変化し始めた年代であったように思えます。因果律の世界、大きな物語、二項対立の神話など、近代のイズムがもたらした利益と弊害の狭間で、個人が次なる世界のために躍動を始めた時代であったように見えてきます。
<参考文献・参考サイト>
・『誰でも読める 日本史年表』(吉川弘文館編集部編、吉川弘文館)
・1980年代の日本
https://ja.wikipedia.org/wiki/1980%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
・「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞
https://www.jiyu.co.jp/singo/
・「新語・流行語大賞全記録」『現代用語の基礎知識 2019』(自由国民社)
・「ことばでたどる平成」『現代用語の基礎知識 2019』(自由国民社)
・『誰でも読める 日本史年表』(吉川弘文館編集部編、吉川弘文館)
・1980年代の日本
https://ja.wikipedia.org/wiki/1980%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
・「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン 新語・流行語大賞
https://www.jiyu.co.jp/singo/
・「新語・流行語大賞全記録」『現代用語の基礎知識 2019』(自由国民社)
・「ことばでたどる平成」『現代用語の基礎知識 2019』(自由国民社)
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