社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「50歳からの学び」に必要な3つの心得とは?
中高年からの勉強や人生を説く本が数あるなか、童門冬二氏の『50歳からの勉強法』は、50歳を過ぎて転身した著者自身の生き方と重なり、だれもが実践したいと望む人生の方法を説いています。大人の学びには三つの心得がある、という童門氏。まず、そこから聞いていきましょう。
(1)学びの姿勢は自由でいい
(2)教科書は世間にある
(3)孤独を覚悟せよ
この三つです。92歳(2020年8月時点)の現役作家として毎月いくつかの雑誌に寄稿を続けている童門氏にとって、50歳はようやく「収穫」の時期に差し掛かったところ。定食コースで言えば最後のお菓子とコーヒーまで一通り味わってきたので、それまでの人生を誠実に生きていれば、種を蒔いたものが収穫できることがたくさんある、と言います。
自分では気がつかない間に育ててきた大切なものを収穫するときには、おのずとそれまでを振り返る姿勢になります。それは前半生の「総点検」と「発見」の意味合いを持つため、後半生の学びの姿勢を自在に支えてくれる、ということです。
これまでは素知らぬ顔をしたり、あまり深く付き合ってこなかった人や場にこそ目を向けるのが、二つ目の「教科書は世間」の意味合いです。
「50歳になったとき、20歳代で見ていたのと全く反対の見方になることもある。立ち位置の移動、観測地点の移動というものも大事にしましょう」という童門氏。そこは、柔軟に流動性を持って多様な世間と付き合い、人生の蓄積から収穫した、いわば“実”をタネとして植え直すこともできるというわけです。
時間の総量が限られていることも事実ですし、それ以上に身体・精神上で敏捷さや快活さが減っていることも計算に入れる必要があるのです。
さらに、これまでに培った学びの鉱脈を一つ選ぶことは、他の可能性を捨てることになります。他の場所の蓄積はいったんご破算にして、ゼロベースに立つ覚悟が必要です。
50歳で「天からの使命を知った」と言えた人が歴史上何人いたでしょうか。現代人は、体力もそれほど衰えない分、若い頃と変わらない未完や未熟を引きずったまま、50歳・60歳の年齢に入っています。
また、「起承転結」というやり方も保証されていません。従来は、社会へ出る20代が「起」、力を伸ばす30代が「承」、変化の起こる40代が「転」、人生を堅固に収束させていく50代が「結」とされました。でも、今や50歳を過ぎて目の前にあるのは「転」「転」「転」、ひたすら変化です。
「終身現役、一生勉強をモットーに、死を迎える日までこれで良しと鞘に収まることなく、まだ不足、まだ未熟と自戒しながら命の最後の一滴まで燃焼させたい」というのが、童門氏のモットー。死ぬ瞬間まで「転」というのは、決して転がりおちることではありません。自分の持つエネルギーを完全燃焼させて生きていく、という強いメッセージです。
50歳からの勉強には、それまでの人生を総動員する
三つの心得とは(1)学びの姿勢は自由でいい
(2)教科書は世間にある
(3)孤独を覚悟せよ
この三つです。92歳(2020年8月時点)の現役作家として毎月いくつかの雑誌に寄稿を続けている童門氏にとって、50歳はようやく「収穫」の時期に差し掛かったところ。定食コースで言えば最後のお菓子とコーヒーまで一通り味わってきたので、それまでの人生を誠実に生きていれば、種を蒔いたものが収穫できることがたくさんある、と言います。
自分では気がつかない間に育ててきた大切なものを収穫するときには、おのずとそれまでを振り返る姿勢になります。それは前半生の「総点検」と「発見」の意味合いを持つため、後半生の学びの姿勢を自在に支えてくれる、ということです。
50歳からの勉強には、それまでの人生を総動員する
50歳までビジネスマンとして働いてきた人の場合、上司や同僚、部下や得意先との間でいろいろな人とのコミュニケーションが膨大な経験知になっています。これまでは素知らぬ顔をしたり、あまり深く付き合ってこなかった人や場にこそ目を向けるのが、二つ目の「教科書は世間」の意味合いです。
「50歳になったとき、20歳代で見ていたのと全く反対の見方になることもある。立ち位置の移動、観測地点の移動というものも大事にしましょう」という童門氏。そこは、柔軟に流動性を持って多様な世間と付き合い、人生の蓄積から収穫した、いわば“実”をタネとして植え直すこともできるというわけです。
老いを見据え、「孤独を覚悟」するから手に入るもの
50歳からの人生では、見ている景色はそれほど変わらないと思うかもしれませんが、見る側の変化を計算に入れることが大事です。若い頃のように付き合いを大切にしていると、自分の望む「学び」は手に入りません。時間の総量が限られていることも事実ですし、それ以上に身体・精神上で敏捷さや快活さが減っていることも計算に入れる必要があるのです。
さらに、これまでに培った学びの鉱脈を一つ選ぶことは、他の可能性を捨てることになります。他の場所の蓄積はいったんご破算にして、ゼロベースに立つ覚悟が必要です。
死ぬまで未熟、未完な「起承転転」の日々を
人生100年時代といわれる現在、これまでの生き方を表す節目にこだわる必要はありません。東洋では孔子の志学(15歳)、而立(30歳)、不惑(40歳)、知命(50歳)、耳順(60歳)が最も有名でしたが、あくまでも理想を述べたものです。50歳で「天からの使命を知った」と言えた人が歴史上何人いたでしょうか。現代人は、体力もそれほど衰えない分、若い頃と変わらない未完や未熟を引きずったまま、50歳・60歳の年齢に入っています。
また、「起承転結」というやり方も保証されていません。従来は、社会へ出る20代が「起」、力を伸ばす30代が「承」、変化の起こる40代が「転」、人生を堅固に収束させていく50代が「結」とされました。でも、今や50歳を過ぎて目の前にあるのは「転」「転」「転」、ひたすら変化です。
「終身現役、一生勉強をモットーに、死を迎える日までこれで良しと鞘に収まることなく、まだ不足、まだ未熟と自戒しながら命の最後の一滴まで燃焼させたい」というのが、童門氏のモットー。死ぬ瞬間まで「転」というのは、決して転がりおちることではありません。自分の持つエネルギーを完全燃焼させて生きていく、という強いメッセージです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは
空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』
“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験
独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源
中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
対談 | 林望/ロバート キャンベル