テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.10.03

本社を地方に置く5つの「有名企業」

 今や誰もが知る大企業であっても、最初はどこも小さい企業から始まっています。また、巨大企業の中にも、ながらく地方に本社を置いている会社もあります。例えば愛知のトヨタ。京都の任天堂、大阪のパナソニック、千葉県のマツモトキヨシなどなど。ここでは誰もが知っている有名企業のうち、本社を地方に置いている有名企業5社に絞って詳しく取り上げてみましょう。

ニトリ 北海道

 「お、ねだん以上。ニトリ」のフレーズは聞いたことがあるのではないでしょうか。本社は北海道札幌市です。家具・インテリア製造小売りで全国トップ、かつ1989年から28年連続で増収増益という優良企業です。創業者は似鳥昭雄現会長で、一代で今の規模まで成長させています。沿革をみると、1967年の「似鳥家具店」からはじまり、1972年には「似鳥家具卸センター株式会社」を設立。初めて札幌市以外に進出したのは1981年の「苫小牧店」です。その後、1993年には本州第1号店「勝田店」を茨県ひたちなか市にオープン。2000年に埼玉県白岡町に「関東物流センター」を開設し、2002年に東京証券取引所一部に上場。その後も破竹の勢いで成長を続け、2010年には「九州物流センター」を開設。北の地で誕生したニトリですが、現在では日本の北から南まで、さらに海外にも拡がっています。現在は国内624店舗、海外68店舗という規模、2020年2月期決算では売上高6422億7300万円、営業利益は1074億7800万円の大企業となっています。

ヤマダ電機 群馬県

 家電量販店のヤマダ電機の本社は群馬県高崎市にあります。もともとビクター前橋工場に勤めていた山田昇現会長が1973年に地域の電気店として創業しました。1983年に株式会社ヤマダ電機を設立してFCチェーンを展開します。2005年には都市型大型店舗「LABI」を拡充させ、この年の売上高は1兆円を越えます。2010年になると2兆円を突破して海外に進出し、2012年には九州で強いベスト電器を子会社化しています。同時に2011年から住宅関連のエス・バイ・エル株式会社などを買収し、2017年には「住宅丸ごと」を提案する「家電住まいる館」をオープン。現在、FCを含むグループ店舗数は12,659店。2020年3月期決算では、連結売上高1兆6115億3800万円。売り上げ総利益は4606億5200万円。2019年の家電量販店の売上高ランキングをみると、2位のエディオンに大きく差をつけて1位です。

ユニクロ 山口県

 ユニクロはいまや世界的アパレルブランドとなりました。本社は山口県山口市です。山口県は創業者の柳井正代表取締役兼社長の出身地です。1984年、広島市にユニクロ1号店を出店、その後拡大を続け、1998年に首都圏初の都心型店舗、ユニクロ原宿店を出店します。2001年にはロンドンに出店、その後2010年までに、上海、ソウル、香港、ニューヨーク、パリ、シンガポール、モスクワと海外店舗を展開していきます。ここ数年ではテニスの大物選手のスポンサーとしても知られています。錦織圭選手や車椅子部門で世界ランク1位の国枝慎吾選手らのユニフォームはユニクロです。またフェデラー選手との契約は10年間推定3億ドル(約333億円)という規模の大きさで話題になりました。2019年8月期に発表された連結業績では、売上収益2兆2,905億円、営業利益2,576億円。ただし、2020年8月期の業績予想では新型コロナウイルスの影響により、13%程度の減益となっています。

ジャパネットたかた 長崎県

 テレビ通販といえばジャパネットたかたです。本社は長崎県佐世保市。もともと長崎県北部での自営業からスタートした会社ですが、本社機能だけでなく収録スタジオも当地に備えています。この点は通販という、立地の影響を比較的受けにくい業態の強みかもしれません。1994年からテレビショッピングの番組をはじめています。社長自ら司会進行を務める番組で話題となりました。高田明元社長の高い声と独特の訛りのあるアクセントに聞き覚えがある人も多いのではないでしょうか。2015年には息子の旭人氏に事業を承継しています。ジャパネットホールディングスの2019年12月期の連結売上高は2076億円と好調を維持しているようです。

再春館製薬所 熊本県

 「ドモホルンリンクル」と聞くとピンと来る人もいるかもしれません。再春館製薬所は熊本県上益城郡益城町に本社を置く漢方薬や化粧品の製造から販売を手がける会社です。看板商品のコラーゲン配合美容クリーム「ドモホルンリンクル」は1974年に開発されました。「老化による悩みや苦しみを和らげながら、生き生きと年齢を重ねる」ための商品開発という着目点には独自性があります。こういった考えから自社工場も自然豊かな熊本に置いています。ジャパネットたかた同様、通販という業態を生かすことで立地をカバーしていると言えるでしょう。注文は電話、メール、チャット、LINEで受けるほか、肌や生活の状況に適したお手入れ方法のアドバイスまで行っているとのこと。2017年にはタイに進出。顧客満足度を充実させるためコールセンターには力をいれています。2019年3月期で売上高は295億円。

地方で事業を行うことは可能かもしれない

 ここまで5つの企業をみてきましたが、ここで紹介した企業以外にも地方に本社を置いている有名企業は結構あります。折しもコロナ禍でリモートワークが一気に普及し始めたいま、企業が東京に止まる理由は薄らいできている部分もあるでしょう。ここに挙げた企業が地方を中心にしてどのように事業を営んでいるのか、ヒントはあるのではないでしょうか。

<参考サイト>
・沿革|株式会社ニトリ 
https://www.nitori.co.jp/about_us/history.html
・あゆみ|ヤマダ電機
https://www.yamada-denki.jp/company/007.html
・沿革(PDF)|ユニクロ
https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/ar2016_13.pdf
・会社沿革|Japanet
https://corporate.japanet.co.jp/company/history/
・沿革・歴史│再春館製薬所
https://www.saishunkan.co.jp/company/history/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授