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DATE/ 2020.10.06

「ペットを飼うと結婚できない」は本当?

なぜペットを飼うと結婚できないのか

 世間では「ペットを飼うと結婚できない」とまことしやかにささやかれますが、本当なのでしょうか。少し古い2015年の調査になりますが、生活全般の調査研究を行うオウチーノ総研が20歳から39歳の未婚で就労中の男女694人に行ったアンケートによると、ペットを飼っている人は26.4%、飼いたいと思っている人は21.9%でした。ペットを飼っているか関心を持っている人は未婚男女のほぼ半数ということになりますが、実際に飼っている人は3割にも満たない点から考えると、結婚できないとまでは言い切れなさそうです。

 それではなぜ、結婚できないといわれるのでしょうか。街コン情報サイトの街コンポータルが紹介しているアンケートによると、ペットを飼うことで結婚できなくなると思う理由には次のようなものがありました。

 寂しさが埋められる:ペットがいれば恋人がいなくても寂しさを埋められるので、恋愛を積極的にしなくなって結婚できなくなるという意見です。確かに「誰かと一緒にいたい」という思いが恋愛の原動力になるので、すでにペットがそばにいるなら、恋愛から疎遠になるかもしれませんね。

 つきあいが悪くなる:ペットのお世話があるため、飲み会を先に切り上げたり旅行を断ったりすることが多くなります。飲み会に参加していても、ペットが心配で上の空ということも。このような行動で、せっかくの出会いの機会を失っている可能性はあるでしょう。

 ペット可の人しかつきあえなくなる:いいご縁があっても、その人が動物嫌いだったり動物アレルギーを持っていたりしたら諦めざるを得ません。結婚相手の条件が増えることは、やはり結婚を遠ざけてしまうことにつながりますよね。

 ペットにかける時間とお金が増える:毎日のお世話で手間やお金がかかることはもちろんですが、ペットは生き物なので病気にかかることもあります。その場合の医療費は高額になりやすいもの。ペットを飼っていると、さらに恋人に回すための時間やお金がなくなってしまうのです。

ペットと一緒でも結婚はできる

 このような意見が並んでいると、本当にペットを飼っている人の結婚は難しいように感じてしまうかもしれません。しかし、先ほどのアンケートではペットを飼っていても結婚できると思う理由も上げられています。それは次のようなもの。

 協調性が養われる:独身のひとり暮らしに慣れてしまうと、ついついマイペースになりすぎて他人への配慮が欠けてしまうもの。しかしペットがいれば、自分の意のままにはならない存在と生活することになり、思いやりの心を忘れずにいられます。

 好みが合えば縁につながる:「ペット可の人しかつきあえなくなる」の逆といえますが、ペット可の人で動物の好みも合う人と出会えれば、話が弾んで楽しい時間が過ごせます。自然と距離が近くなって恋愛に発展する可能性も高まるでしょう。

 愛情を注げる人になれる:ペットに愛情を注ぐことで、周りの人にも愛情を注ぐことができるようになるという考え方です。それに、ペットからも愛されて満たされていると心に余裕ができて、他人に優しく接することができるようになりますよね。

 当然ですが、独身のときにペットを飼っていても、結婚できた人はたくさんいます。ペットだけでなく周囲の人にも愛情を注ぎ、恋愛したい、結婚したいという気持ちを持ち続けていれば、不可能ではないのです。

ペットを飼うと生活に支障があるのは事実

 ただし、ペットを飼うと生活のさまざまなところに不都合が出ることもあります。一般社団法人ペットフード協会が行った2019年の全国犬猫飼育実態調査によれば、犬や猫を飼わない理由で特に30代と40代に多い回答が「子どもの世話で手一杯だから」となっています。近年はライフスタイルの多様化で子どもを持たない夫婦も見られますが、やはり子育ては大きなライフイベントのひとつ。ペットはその妨げになってしまう可能性が高く、子育てを優先したい人にとって、ペットを飼っている人を結婚相手にしづらいのは事実のようです。

 このような価値観の違いを埋めるためには、ペットを飼っている人がペットに興味がない人にある程度配慮してあげるとよいでしょう。その方法には次のようなものがあります。

 同意を求めない:ペットを飼っている人にとって、ペットは最高にかわいい家族です。しかし興味がない人にとっては、極論するとどうでもいいことです。写真や動画を見せられるだけでも面倒に思っているのに、「かわいいでしょう」と同意を求められると嫌悪感まで持たれる可能性も。寂しいかもしれませんが、興味がない人には同意を求めないようにしてください。

 譲歩できるところは譲歩する:ペットに興味がない人がペットと暮らすことになれば、それだけでストレスになります。ペットを飼う人はペットとの距離感を保ち、たとえばペットを触ったあとは手を洗うとか、テーブルや寝室などにはペットを入らせないなどのルールを決めて、譲り合う姿勢を見せましょう。相手に我慢してもらうのですから、自分も譲歩するのがよい関係を築くカギです。

 心身の問題には真剣に向き合う:動物のアレルギーを持っている人は、犬や猫がそばにいるだけで目がかゆくなったり、くしゃみが出たりという症状が出ます。また、子どもの頃に犬に噛まれたり猫に引っかかれたりして苦手意識が強い人もいます。このような人たちにむりやりペットを近づけるのは残酷なこと。きちんと気遣ってあげて、場合によってはペットをあきらめる覚悟も必要です。

 ペットともパートナーともうまく共存できるポイントを見つけて、ご縁を結婚へと結びつけてくださいね。

<参考サイト>
・一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data/index.html
・街コンポータル ペットを飼うと結婚できなくなる?結婚しやすくなる?2つに分かれた意見
https://www.machicom.jp/magazine/posts/5331
・「独身社会人とペット」に関する実態調査│株式会社オウチーノ
https://corporate.o-uccino.jp/wordpress2/wp-content/uploads/2015/05/pr20150514_pet.pdf
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