社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世界で最も「高価な本」ベスト5
洋の東西を問わず、古書の売買は昔からひんぱんに行われ、絵画同様の投資対象になっています。これまでに高値をつけた本のベスト5やその傾向を見ていきましょう。
北宋の詩人政治家で、唐宋八大家の一人とも言われる欧陽脩(おうようしゅう)が編んだ歴史書の一部。1230年代に書かれたと伝えられ、袁世凱とともに活躍した曹こん(こん:金ヘンに昆)が所持していた拓本のコピー。2018年6月に13.7億円で落札されましたが、取引の詳細は不明です。
☆史上4位:『シャーボーンミサ典』2,121万ドル(約22.3億円)
「ミサ典書」とは、司祭が祭壇上でミサを挙行するために必要な事項をすべて収録した書物。本書は15世紀初頭にシェボーン修道院の僧侶たちによりつくられました。1998年、ノーサンバーランドの第12公爵であるラルフ・パーシーから大英図書館に買収され、公共財になりました。
☆史上3位:『マグナカルタ』2,132万ドル(約28.5億円)
1297年、『マグナカルタ』が英国の成文法の一部になったときの版。アメリカのデヴィッド・ルーベンスタインが2007年にサザビーズで購入しました。彼は富の半分以上を慈善活動や慈善団体に寄付すると約束した最初の40人の一人でもあるため、落札した本をワシントンDCの国立公文書館に貸与。さらに2011年には新しいギャラリーとビジターセンターのために1350万ドルを同館に寄付しています。
☆史上2位:『コーデックスレター』3,080万ドル(約28.5億円)
レオナルド・ダ・ヴィンチが1500年代に著した直筆ノート。イタリアのバイク王ジュゼッペ・ゲッツィ、世界初の旅行代理店を築いた英国のトーマス・クック、アメリカの石油王アーマンド・ハマーなど、絢爛たる歴代の所有を経て、1994年11月にビル・ゲイツが購入して話題になりました。ダ・ヴィンチの天才を支えた膨大なノートには「私は続けるだろう」と書かれているそうです。
☆史上1位:『モルモン書』3,500万ドル(約36.7億円)
『モルモン書』は、モルモン教の創設者であるジョセフ・スミスが1830年に出版した「聖書」。取引されたのは、初期の教会メンバーであるオリバー・カウドリが作成したオリジナル原稿のコピーです。「モルモン書の証人」とも呼ばれるデビッド・ホイットマーの一族が長らく所有していましたが、2017年、末日聖徒イエス・キリスト教会により購入されました。
ベスト5に入ったものはいわゆる「手稿」が多く、書籍としてよりも歴史的文化財としての価値によって評価されています。
史上最初に100万ドルを超える販売価格を達成したのは、1978年に240万ドルで販売された『グーデンベルク聖書(42行聖書とも)』のコピーとされます。グーテンベルクはもちろん15世紀にドイツで活版印刷を発明した人物。『グーテンベルク聖書』は、その活版印刷技術を使って印刷された聖書で、180部印刷されたと伝えられますが、本の形で現存するのは48部。日本では1987年に丸善がオークションで落札した価格が7.8億円。その後慶應義塾大学が購入し、アジアで唯一グーテンベルク聖書を所蔵する図書館となりました。その際の価格は明かされていませんが、数年に一度、限定展示でお目にかかれます。
印刷された本として高値を呼んだのは、イギリスの詩人ジェフリー・チョーサーが1387~1400年にかけて記した物語集の『カンタベリー物語』です。いく通りもの絵入り写本によって後世に伝わってきましたが、イギリスに活版印刷の技術が入り最初に印刷された本としても有名です。「キャクストン版」とも言われる英国最古の印刷本の落札価格は4.6億ポンド(9億円)。1776年に第4伯爵フィッツウィリアムが購入したときの価格はたった6ポンド。インフレを無視すると、2世紀余りで7600万倍の富を生む金の卵となったわけです。1998年以降、世界最古の古書店マッグズブラザーズが所有しています。
21世紀に入って話題になったのは『吟遊詩人ビードルの物語』。これは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』中に登場する架空の物語を、J.K.ローリング自身が手書き文字とイラストにより7冊限定で作ったもの。4冊は友人・知人に贈られ、2冊は英米版の担当編集者に贈られました。最後の1冊が慈善団体の支援に充てるべく、2007年、サザビーズのオークションにかけられると、Amazon.comが195万ポンド(約4.5億円)で落札。児童文学としては最高の高値を記録しました。
2020年、ストリート・アーティストのバンクシーが英国の地下鉄内に描いたとされる落書きが当局によって消され、ニュースになりました。評価額は750万ポンド(10.2億円)前後と言われています。まさに「幻の」作品だったわけですが、書籍の世界では今後どんな本が、どんな理由で高値をつけていくのでしょうか。
目が飛び出す「史上最高価格文書」の世界
☆史上5位:『石壁精舍音註唐書詳節』1,706万ドル(約13.7億円)北宋の詩人政治家で、唐宋八大家の一人とも言われる欧陽脩(おうようしゅう)が編んだ歴史書の一部。1230年代に書かれたと伝えられ、袁世凱とともに活躍した曹こん(こん:金ヘンに昆)が所持していた拓本のコピー。2018年6月に13.7億円で落札されましたが、取引の詳細は不明です。
☆史上4位:『シャーボーンミサ典』2,121万ドル(約22.3億円)
「ミサ典書」とは、司祭が祭壇上でミサを挙行するために必要な事項をすべて収録した書物。本書は15世紀初頭にシェボーン修道院の僧侶たちによりつくられました。1998年、ノーサンバーランドの第12公爵であるラルフ・パーシーから大英図書館に買収され、公共財になりました。
☆史上3位:『マグナカルタ』2,132万ドル(約28.5億円)
1297年、『マグナカルタ』が英国の成文法の一部になったときの版。アメリカのデヴィッド・ルーベンスタインが2007年にサザビーズで購入しました。彼は富の半分以上を慈善活動や慈善団体に寄付すると約束した最初の40人の一人でもあるため、落札した本をワシントンDCの国立公文書館に貸与。さらに2011年には新しいギャラリーとビジターセンターのために1350万ドルを同館に寄付しています。
☆史上2位:『コーデックスレター』3,080万ドル(約28.5億円)
レオナルド・ダ・ヴィンチが1500年代に著した直筆ノート。イタリアのバイク王ジュゼッペ・ゲッツィ、世界初の旅行代理店を築いた英国のトーマス・クック、アメリカの石油王アーマンド・ハマーなど、絢爛たる歴代の所有を経て、1994年11月にビル・ゲイツが購入して話題になりました。ダ・ヴィンチの天才を支えた膨大なノートには「私は続けるだろう」と書かれているそうです。
☆史上1位:『モルモン書』3,500万ドル(約36.7億円)
『モルモン書』は、モルモン教の創設者であるジョセフ・スミスが1830年に出版した「聖書」。取引されたのは、初期の教会メンバーであるオリバー・カウドリが作成したオリジナル原稿のコピーです。「モルモン書の証人」とも呼ばれるデビッド・ホイットマーの一族が長らく所有していましたが、2017年、末日聖徒イエス・キリスト教会により購入されました。
ベスト5に入ったものはいわゆる「手稿」が多く、書籍としてよりも歴史的文化財としての価値によって評価されています。
21世紀の激レア本は、あの作家の手作り本
ここからは、価格も高く、逸話にも恵まれている本をいくつかのぞいてみましょう。史上最初に100万ドルを超える販売価格を達成したのは、1978年に240万ドルで販売された『グーデンベルク聖書(42行聖書とも)』のコピーとされます。グーテンベルクはもちろん15世紀にドイツで活版印刷を発明した人物。『グーテンベルク聖書』は、その活版印刷技術を使って印刷された聖書で、180部印刷されたと伝えられますが、本の形で現存するのは48部。日本では1987年に丸善がオークションで落札した価格が7.8億円。その後慶應義塾大学が購入し、アジアで唯一グーテンベルク聖書を所蔵する図書館となりました。その際の価格は明かされていませんが、数年に一度、限定展示でお目にかかれます。
印刷された本として高値を呼んだのは、イギリスの詩人ジェフリー・チョーサーが1387~1400年にかけて記した物語集の『カンタベリー物語』です。いく通りもの絵入り写本によって後世に伝わってきましたが、イギリスに活版印刷の技術が入り最初に印刷された本としても有名です。「キャクストン版」とも言われる英国最古の印刷本の落札価格は4.6億ポンド(9億円)。1776年に第4伯爵フィッツウィリアムが購入したときの価格はたった6ポンド。インフレを無視すると、2世紀余りで7600万倍の富を生む金の卵となったわけです。1998年以降、世界最古の古書店マッグズブラザーズが所有しています。
21世紀に入って話題になったのは『吟遊詩人ビードルの物語』。これは、『ハリー・ポッターと死の秘宝』中に登場する架空の物語を、J.K.ローリング自身が手書き文字とイラストにより7冊限定で作ったもの。4冊は友人・知人に贈られ、2冊は英米版の担当編集者に贈られました。最後の1冊が慈善団体の支援に充てるべく、2007年、サザビーズのオークションにかけられると、Amazon.comが195万ポンド(約4.5億円)で落札。児童文学としては最高の高値を記録しました。
2020年、ストリート・アーティストのバンクシーが英国の地下鉄内に描いたとされる落書きが当局によって消され、ニュースになりました。評価額は750万ポンド(10.2億円)前後と言われています。まさに「幻の」作品だったわけですが、書籍の世界では今後どんな本が、どんな理由で高値をつけていくのでしょうか。
<参考サイト>
・n.wikipedia:List of most expensive books and manuscripts
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_expensive_books_and_manuscripts
・n.wikipedia:List of most expensive books and manuscripts
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_most_expensive_books_and_manuscripts
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
「政治は情、役人は理」…後藤田正晴が示したバランス感覚
日本の財政と金融問題の現状(2)「政と官」のあるべき姿とは
第二次安倍政権時代、長らく5パーセントだった消費税が8パーセント、そして10パーセントへと上がっていった。その政策の背景には、閣僚と官僚による経済政策をめぐる苦闘と調整があった。その内幕を明らかにしながら、理想的な...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/06/17
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
日本の「組織」は、どうして失敗してしまうのか。その教訓は、歴史をひもとけば山ほど出てくる。たとえば、戦前日本の「無任所大臣」のあり方や「戦時中の省庁再編」を見れば、日本の組織改革がなぜ失敗するのかが、痛いほどよ...
収録日:2021/05/31
追加日:2021/08/04
ロシアの飛び地…バルト3国にとって地政学上のポイント
地政学入門 ヨーロッパ編(7)バルト3国とロシアの飛び地領土
ソ連の崩壊とともに独立したバルト3国。ロシア資源に依存しないリトアニアをはじめとして、ラトビア、エストニアという小国として独自の振る舞いをするこの3国から日本が学ぶべきことは何か。また、ロシアのウクライナ侵攻にお...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/06/16
日本の所得は世界よりこんなに低い!その中身の特徴は?
日本人の「所得の謎」徹底分析(1)所得の国際比較とその中身
いま、税や社会保障など「分配」の議論が盛んに行われている。しかし、そのような議論の前提として、われわれは現在の日本の「所得」の中身がどうなっているのか、世界と比較してどうなのかを、詳しく知っておく必要があるので...
収録日:2025/05/29
追加日:2025/06/12
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24