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DATE/ 2020.10.22

ヘリコプターの音はどうして大きいのか?

 先日国内で空飛ぶクルマの有人飛行実験が成功しました。これは最新のドローン技術を応用したもの。ヘリコプターに比べて静音、軽量、(量産できるようになれば)安価、といったメリットがありますが、まだ実用化にはハードルがあります。ということでまだまだヘリコプターは当分の間活躍しそうです。しかし、ヘリコプターといえばとにかく騒音が大きいという印象もあります。なぜヘリコプターの音はあんなに大きいのでしょう。

パタパタ音は「ブレードスラップ音」

 ヘリコプターの騒音にはいくつかの要素があります。特徴的な「パタパタ」という音は「ブレードスラップ音」といい、ローターが回って一度圧縮した空気を、後から来る高速で回転する羽が再度たたくことによって起こされる音です。加えてブーンといった細かい振動音もします。これはヘリコプターの尾の部分についた「テールローター」と呼ばれるプロペラの先端が高速で空気を切り裂く時の音。こういったローターにかかわる騒音に加えて、「キーン」とやや高い音で聞こえるエンジン音もあります。ほかにも「回転騒音」や「広帯域騒音」と呼ばれるものなど、さまざまな音の発生源があるようです。

 また、「ブレードスラップ音」は、ヘリコプターが上昇しているときには生じず、一定の速度で飛んでいたり下降したりするときに大きく聞こえます。これは頭上にいる時が最も大きく、通過すると小さくなるようです。こうした性質から、私たちが騒音と感じる音は「パタパタ」という「ブレードスラップ音」であることが多いようです。

警察、消防、ドクターヘリ、多様な用途

 ヘリコプターは様々な目的で飛んでいます。用途別の種類としては、警察ヘリ、消防ヘリ、ドクターヘリといった、私たちの社会生活を守るためのものに加え、レジャー用ヘリ、農業用ヘリ、報道用ヘリ、自衛隊のヘリといったものもあります。レジャーとしては遊覧飛行に使用されたり、サプライズ企画に使用されたりすることもあるようです。また農業用ヘリは広い範囲への農薬や肥料の散布などに使われ、報道用ヘリは災害、事故、事件などの空撮や紅葉やイベントでの空撮などにも使用されます。ほかにも大気の状態や電波の状態を調べるといったように、さまざまな用途で使用されることがあるようです。

どんなヘリなのかリアルアイムにわかるアプリ

 フライトトレーダー24というアプリを使うと、現在飛んでいるヘリがどのようなヘリなのか、ヘリの型番から飛んでいる高度、機体写真や所属といったことまでリアルタイムに知ることができます。このアプリは飛行機も含めて、どのような航空機がどのようなルートで飛んでいるかということも簡単に知ることができ、見ているだけでも楽しいです。これを見ているとなぜ飛んでいるのか少し想像できるようになってきます。そうなると、ヘリコプターのうるささにも少し寛容になれるかもしれません。

<参考サイト>
・機内騒音の低減(5)ヘリコプターとプロペラ機の騒音の実態とは|マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/aero_tech-202/
・ヘリコプターの世界|エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社
http://www.airbushelicopters.co.jp/helicopter/mechanism/

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