テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.07.01

お米屋さんから億万長者へ!

 格差社会が問題視される日本。昨今では、一歩間違えば誰もが転落してしまう「滑り台社会」の罠がささやかれ、気が気ではない。

将来は億万長者と決めていた学生時代

 どうせイチヌケるなら、上に突出したいもの。「アパマンショップ」創業者の一人、株式会社三光ソフランホールディングス代表取締役社長・高橋誠一氏は学生時代から「社長」以外は眼中になく、「億万長者になる」と決めていたという。つまり、高橋氏にとってはビリオネアになることが目的で、そのための方法が社長と言える。

稼いで使って、また稼ぐ

 ここまであっけらかんと明快な人物に、天は味方するのではないか。その努力の軌跡をたどる前に、ユニークな金銭感覚を聞いてみよう。高橋氏がイメージする億万長者とは金塊や札束に囲まれた人ではない。「使っても使っても使い切れないぐらいのお金が入ってくる」それが、定義なのだ。稼いで使って、また稼ぐ。そうやってお金で世の中を活性化させる意識が若い頃からあったのだ。

不動産は最高に儲かる商売だ

 そんな高橋氏も、振り出しは家業の米穀店勤務。しかし、スーツ姿の同期と比べ、いかにも冴えないと感じた氏は、5年目に不動産業に転身する。理由は、「扱う商品の額が最高だから、不動産がいちばん儲かる」と、これまた明快だ。たしかにベンツやポルシェがいくら高級だと言っても、家1軒の値段にははるかに及ばない。

 

念願の転身、銀行ローンとの出会い

 28歳で宅建取引主任者の資格を取得し、翌年開業。最初は近隣の不動産業者を訪れ、仕事を請け負って手数料を稼ぎつつ、一から勉強を始める。業界の用語や慣習を知らないための失敗もあれば、お客さまの住宅ローン手続きを代行し、「銀行ローンて、どういうの?」と質問して、銀行員を驚かせたこともあった。それがきっかけで銀行員とは仲良くなれたのだから、「聞くは一時の恥」なのだ。

不動産=悪徳イメージのすり込み

 誠実一路の高橋氏が何より警戒したのは「悪徳不動産業者にだまされる」ことだ。自分自身も不動産業なのに、同業者はウソをつくと決めつけ、一つの疑問について三人の裏が取れるまで信用しなかったところが、まさに面目躍如たるところ。一通り業務を覚えて設立した自社には「高橋米穀不動産部三光不動産株式会社」と名付ける。「お米屋さんなら信頼される」と踏んでのことだが、米屋に家を探しに来る人は一人もいない。

続ければ、道は開ける

 そこから高橋氏の不動産業者行脚が本格的に始まった。大宮市内に500ある不動産業者を一カ月に1度ずつ訪ね、物件を求めるのだ。最初は相手にしてくれない相手も、3ー4カ月すると「おまえ、よく来るね」。半年から1年続けるうちに「本当にすごい」といくつかの物件を回してくれるようになる。一つひとつの物件を丁寧に考え、次へつないでいった。

名前で負けても、足で稼ぐ!

 毎日不動産業者を回っているうちに、気がつけば大手デベロッパーが開発した団地で、子会社と真っ向勝負ができるまでになっていた。その時はガリ版で「売家募集」のチラシをつくり、1軒ずつポスティングすることで、取り扱い高を逆転する。1年半の間続けたポスティング、足で稼いだ勝利だった。この後、高橋氏の会社は建て売り住宅の販売へと移行する。億万長者への道が拓けた。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは

『法華経』と「神道」はアバター!?通底する世界観とは

おもしろき『法華経』の世界(2)『法華経』と「神道」の共通性

聖徳太子、最澄、空海、日蓮、宮沢賢治など多くの人に多大な影響を与えてきた『法華経』は長い年月にわたり日本宗教史を貫いてきた存在である。『法華経』は、苦悩を前提としつつ、むしろそうであるがゆえに明るい未来や救済の...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/11
鎌田東二
京都大学名誉教授
2

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?

「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
柿埜真吾
経済学者
3

健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと

健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと

健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代

健康診断の結果を現在の「病気の有無」だけに注目するのは、健康管理において不十分である。大事なことは、糖尿病、認知症、脳卒中、心筋梗塞など重篤な病気につながる共通点に着目していくこと。キーワードは「血管」である。...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/04/15
野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
4

現代日本人の中に縄文遺伝子!? 弥生人の核ゲノムで判明

現代日本人の中に縄文遺伝子!? 弥生人の核ゲノムで判明

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(8)弥生人の核ゲノム

渡来系弥生人のルーツを分析していくと、朝鮮半島ですでに混血していた人が渡ってきた可能性が高い。ただ、不思議なことにその痕跡が九州や近畿を飛ばして名古屋近郊の朝日遺跡で検出されている。その他にも、日本列島に渡って...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/07
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授
5

全体主義の暴力とは集団のアイデンティティで人を扱うこと

全体主義の暴力とは集団のアイデンティティで人を扱うこと

デモクラシーの基盤とは何か(1)全体主義の暴力

ハンナ・アーレントが批判した全体主義の本質とは何か。その答えは、アーレントが「ユダヤの娘として」考えるよう批判された際の応答に詰まっている。全体主義の暴力の本質とは、「集団的アイデンティティによって人を扱う」こ...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/09