テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
DATE/ 2021.02.10

栄養価の高い「雑穀」の効果とは?

人気急上昇中の雑穀

 健康にいい主食の“ごはん”といえば、玄米がすぐに思い浮かぶかもしれませんね。しかし近年は、さらに栄養価が高いといわれる雑穀に人気が集まっています。コンビニのお弁当にも「雑穀米使用」と書かれた商品が増えましたし、スーパーやドラッグストアには白米に混ぜて自分で焚くタイプの雑穀ブレンドがよく売っていますよね。

 雑穀とは本来、イネ科作物のうち小さい実をつけるヒエ・アワ・キビなどを指します。主食作物のイネ・コムギ・トウモロコシは主穀に分類されるため、雑穀ではありません。しかし日本の食文化が変容するなかで雑穀の捉え方も変わってきていることから、日本雑穀協会では雑穀の定義を「主食以外に日本人が利用している穀物の総称」としています。

 このためもともとの雑穀以外にも、日本人の主食ではないイネ科作物のオオムギやライムギ、黒米や赤米などの有色米、ゴマやアマニなどの油脂を利用する作物、大豆や小豆などの豆類、さらに精米されていない玄米や発芽玄米も雑穀に含まれています。ただしナッツ類は雑穀に含まれず、豆類のピーナッツも一般的にナッツとして扱われるため雑穀とは見なされません。

どんな雑穀にどんな栄養素が?

 主食以外の穀物はほとんどが雑穀といえるため、雑穀ごはんには「五穀」、「十六穀」、なかには「三十三穀」もブレンドした商品まであります。とはいえ、種類がたくさん入っていても栄養素が似たりよったりでは意味がありませんよね。そこで、雑穀のなかでも人気があり、よくブレンドされている16種類の雑穀と主な栄養素を見てみましょう。

・オオムギ:白米の17倍の食物繊維を含み、水溶性と不溶性のバランスも良い。
・発芽玄米:ガンマアミノ酪酸(通称・GABA)を含み、イライラや不眠の解消に効果が期待できる。
・黒米:アントシアニンを含む。抗酸化作用があり、視力回復効果もあるとされる。
・赤米:抗酸化作用、抗菌作用があるとされるカテキンとタンニンが含まれる。
・大豆:大豆イソフラボンを含み、特に女性の若々しさを保つ効果が期待できる。
・小豆:サポニンが免疫力を向上させるとされる。たんぱく質、ビタミンB1・B6なども豊富。
・モチキビ:必須アミノ酸のメチオニンを含み、血中コレステロールを減らすとされる。
・モチアワ:ビタミンB1、食物繊維、鉄分、マグネシウムが白米より豊富。
・タカキビ:抗酸化作用が高いとされるタカキビポリフェノールを含む。カリウムも豊富。
・ヒエ:白米の8倍の食物繊維のほか、鉄分やカリウムなどのミネラルをバランスよく含む。
・アマランサス:カルシウムとビタミンKを含み、骨粗しょう症の予防に効果があるとされる。
・キヌア:必須アミノ酸をバランスよく含む、スーパーフードのひとつ。
・ハトムギ:アミノ酸のグルタミン酸・プロリン・ロイシンを含み、美肌効果が期待できる。
・トウモロコシ:ビタミンB1・B2を含み、代謝を活発にして疲れにくくするとされる。
・クロゴマ・シロゴマ:必須アミノ酸とミネラルをバランスよく含む。

 発芽玄米のGABAや小豆のサポニンのような近年注目を集めている成分が摂れるほか、キヌアやゴマのようにバランスをまとめてくれるものもあり、雑穀ブレンドは栄養豊富といえるでしょう。白米だけでは不足しがちな食物繊維・ミネラル・ビタミンを補える点も魅力ですね。

食べ過ぎにはご用心

 ただし、栄養豊富だからといって食べ過ぎるのはやはり体に毒です。雑穀を食べ過ぎると起きやすいトラブルには次のようなものがあります。

 消化不良を起こしやすい:雑穀には食物繊維を豊富に含むものが多いため、食べ過ぎると消化不良を起こして腹痛や下痢の原因になります。なかでも不溶性食物繊維は胃腸に負担がかかりやすいので気をつけましょう。しっかり噛んで唾液を出し、唾液の消化酵素で消化吸収しやすくすることも大切です。

 グルテンが過剰になりやすい:モチムギや押麦などの小麦の仲間は、グルテンを形成する性質があります。グルテンは小麦アレルギーやグルテンを消化しにくいグルテン不耐性などで、体質に合わない方が比較的多い成分。人によっては腹痛や下痢、倦怠感などが生じるので注意が必要です。グルテンが苦手な方は、オオムギやライムギなどのグルテンを含まない雑穀を選びましょう。

 また玄米にはアブシジン酸とフィチン酸という「発芽毒」が含まれるため、健康によくないという説もあります。しかしそもそも含有量が少ないうえ、毒素として作用するのは生の状態のときなので、炊いて食べれば心配ありません。

 雑穀は一度にたくさん食べるのではなく、白米1合に対して大さじ1杯程度目安に、毎日食べることで効果が期待できます。「健康は1日にしてならず」と考え、こつこつ続けてくださいね。

<参考サイト>
・NIKKEI STYLE 注目度急上昇中、雑穀の効果や効能は?
https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0401S_U1A100C1000000/
・はくばく ほかの雑穀ごはんと、どこがちがうの?十六穀ごはんの特徴
https://www.hakubaku.co.jp/brand/jurokkoku/concept/feature/
・NHKブログ 雑穀ごはんの黄金比率とは?
https://www.nhk.or.jp/beautyscience-blog/2019/159/412918.html
・一般社団法人日本雑穀協会 雑穀の定義
https://www.zakkoku.jp/milletdefinition

あわせて読みたい