テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.04.27

その価値○倍?「レア硬貨」とは

 硬貨や紙幣をその金額で利用できるのは、そう決めた社会の信用があるからです。こういった信用に基づくお金を「信用通貨」「信用貨幣」と言いますが、またこういった通貨の一般的価値とは異なり、「モノ」として固有の価値を有する硬貨があります。いわゆる「ギザ十」などの「レア硬貨」です。今回はこの「レア硬貨」の価値について見てみましょう。

昭和32年の「フデ五」は1万5000円になることも

 レア硬貨は、その年の発行枚数が少なかったことによって希少性が生まれるものや、製造機のエラーによって通常の規格とは異なることで希少性が生まれるものなどがあります。例えば比較的発行枚数の少なかった昭和32年発行の五円玉は使用済みの「並品」でも300円の価値です。昭和24年から33年の間に発行された五円玉の「五円」という文字は「楷書体」で記され、日本国の「国」の字も旧漢字の「國」となっています。

 この「楷書体」で書かれた五円玉を俗に「フデ五」と言います。つまり、昭和32年の五円玉は、そもそも珍しい「フデ五」の中でもさらに発行枚数が少ないことで値打ちがうまれているようです。実際の販売価格の目安は、「並み品」で300円、「美品」で600円、「未使用」で8000円、ほとんど傷がない状態の完全未使用品「完未」で1万5000円くらいとのこと。

昭和33年の「ギザ十」は「美品」以上なら2万円越え

 「レア硬貨」と聞いて「キザ十」を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。製造されたのは昭和26年から33年。その名の通り、周りにギザギザの溝がある十円玉です。この「ギザ十」の発行が最も少ない年は昭和33年。この年の「ギザ十」は「並品」で100円、「美品」で200円、「未使用」になると一気に跳ね上がって2万3000円。さらに「完未」になると5万円にもなります。

 また「ギザ十」ではないですが、昭和61年の後期に発行された十円玉もたいへん価値があります。この十円玉は平等院鳳凰堂の階段を囲む線の形が若干異なるそうです。以前テレビ番組でも紹介されていたようですが、画像はかなり拡大しなければ肉眼で確認できない程度です。しかし、この硬貨の販売価格は20,000円。10円硬貨なので実に2000倍の価値に跳ね上がっています。

 さらに、一円玉でも希少なものがあります。平成23年、24年、25年、29年、30年に発行された一円玉は3,000円の値打ちがあるそうです。つい最近発行された硬貨ですが、キャッシュレス化が普及し始めて発行部数が少なくなったことが理由とのこと。今後キャッシュレス化がさらに進めば、硬貨の発行部数は減っていくことが考えられます。この先発行される硬貨に関しても、プレミアが付く可能性はあるのではないでしょうか。

一円玉が280万円に

 製造機のエラーで出現したレア硬貨もあります。たとえば穴があくはずのところに穴がない五円玉や五十円玉、また穴の位置が真ん中ではなくずれているものなどは、数万円から数十万円で取引されることもあるようです。ただし、昭和24年以前の五円玉や昭和33年以前の五十円玉に関しては、もともと穴はないので要注意。オークファンというサイトでいくつか紹介されていたヤフオクの記録を見ると、昭和50年の穴あきなしの五十円玉が30万円で落札されています。

 他にも、ヘゲエラー(ヘゲ剥がれ)と呼ばれる、一部分がめくれ上がってしまった硬貨や、刻印ずれ・刻印なしといった硬貨も1万円程度から2万円程度で取引されているようです。中でもオークションで高額落札されて話題となった一円玉があります。円形の端の一部が潰れたようになってそこに「平成」の字をかろうじて読み取ることのできるもの。はみ出した部分以外には何の刻印もないので、言われなければ硬貨にも見えません。これがヤフオクでは280万円で落札されています。

硬貨の状態によって価格は大きく異なる

 ここまで紹介した価格の例は販売価格なので、実際に買い取ってもらう際はもう少し安いかと思われます。また個人でオークションに出品すると、偽造が疑われることもあるようなので、レア硬貨を見つけたら硬貨の専門家に買い取ってもらう方が安心です。高く売るためには保存状態に気を遣う必要があります。サビや日光による変色、傷などが少ないことは大事です。

 先にも挙げていますが、買取店での評価基準は「並品」「美品」「未使用」「完未」といったランクがあります。「未使用」とは製造時の状態を保っているもので、製造時や運搬時のキズが僅かにあるもの。「完未」とは完全未使用のことで、製造後の摩耗やキズなどがほとんどないような状態のものとのことです。まずは手元の硬貨をよくみてみましょう。思わぬお宝が眠っているかもしれません。

<参考サイト>
300万円もの価値がある「プレミア貨幣&紙幣」とは? 今すぐ財布をチェック!!|楽侍
https://www.rakumachi.jp/news/column/150047
【保存版】プレミア硬貨の種類一覧!買取価格・価値・平均相場まとめ|古銭鑑定団
https://kosen-kantei.jp/varity/premier-coins/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授