社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「給与デジタル払い」のメリット・デメリット
毎月給料日になったら、銀行にウン万円振り込まれる。まさに働いている意味を実感できる瞬間でしょう。ただ、この習慣が当たり前じゃなくなる日がやってくるかもしれないって知っていますか?
もしこれが実現した場合のメリット、デメリットを考えてみましょう。従業員の視点だと、メリットは銀行振込と違い口座から引き落とさなくてもすぐに使えるので出金手数料がかからない、キャッシュレスサービスで支払いを行えばポイントがつく、などですね。一方企業から見ると、銀行振込コストを削減できる、振込の手間も銀行振込より減らせるなどコスト面での利点が大きいですね。デメリットは労働者にとって大きいのは取り扱い店舗やサービスが増えてきたとはいえ、どこでも使えるわけではない、という部分、まだ従業員と企業にとって共通の課題ですが、銀行に比べると安全性の面で不安を感じるケースもあるでしょう。人事システムなどを提供しているWorks Human Intelligenceが給与デジタル払いについて調査したところ、検討(予定含む)している大手法人は約26%で、目的の1位は銀行振込手数料の削減でした。一方で社員の希望に合わせて銀行振込とデジタル払いで分けた場合、給与支払い業務の負担が増加する恐れがある、という指摘もありました。
デジタル給与の制度導入が議論される中、ソフトバンクやヤフーなどの企業がPayPayでの手当てを支給したことが話題になりました。実際にPayPayで付与を受けた従業員の声を聞いてみると「ネットショッピングでポイント付くから便利」「最近PayPay使える店増えてきたので良いと思う」と歓迎する声がある一方で「現金と違って実感がない。すぐ使っちゃう」という意見もありました。
まだデジタル給与の導入が決定したわけではありませんが、実現すればまたそれに合わせたキャンペーンなども登場しそうですね。ビッグウェーブに乗れるよう備えておくのが吉でしょう。
法律では銀行振込も「例外」だった
どういうことかというと、厚生労働省がデジタル給与について「2021年度のできるだけ早期に制度化を目指す」と表明しているのです。PayPayやLINE Pay、楽天ペイのようなキャッシュレスサービスに給料が振り込まれるようなイメージですね。現状は賃金の支払いについて労働基準法第24条で「賃金支払の五原則」として、(1)通貨で、(2)直接労働者に、(3)全額を、(4)毎月1回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。「(1)通貨で」は現金と同義なのですが、ここにデジタル払いも追加する、というのがデジタル給与になります。ちなみに「(2)直接労働者に」とあるように、本来は給料を現金で手渡しするのが原則ということになっています。銀行振込も例外という位置づけということですね、法律上では。もしこれが実現した場合のメリット、デメリットを考えてみましょう。従業員の視点だと、メリットは銀行振込と違い口座から引き落とさなくてもすぐに使えるので出金手数料がかからない、キャッシュレスサービスで支払いを行えばポイントがつく、などですね。一方企業から見ると、銀行振込コストを削減できる、振込の手間も銀行振込より減らせるなどコスト面での利点が大きいですね。デメリットは労働者にとって大きいのは取り扱い店舗やサービスが増えてきたとはいえ、どこでも使えるわけではない、という部分、まだ従業員と企業にとって共通の課題ですが、銀行に比べると安全性の面で不安を感じるケースもあるでしょう。人事システムなどを提供しているWorks Human Intelligenceが給与デジタル払いについて調査したところ、検討(予定含む)している大手法人は約26%で、目的の1位は銀行振込手数料の削減でした。一方で社員の希望に合わせて銀行振込とデジタル払いで分けた場合、給与支払い業務の負担が増加する恐れがある、という指摘もありました。
全額デジタル給与で受け取りたい人は小数か
先々キャッシュレスサービスがもっと浸透すれば受け止め方は変わるかもしれませんが、今すぐ制度化された場合、全額をデジタル給与で受け取りたいという人はごくごく一部に限られるでしょう。となると、「結局負担が増えるんじゃないの?」という企業側の懸念もごもっともですね。考えうるケースとしては、日払いなど少額の支払いなら導入しやすいかもしれません。また、国内の銀行口座を所有していない外国籍の従業員向けに、という例もありそうです。デジタル給与の制度導入が議論される中、ソフトバンクやヤフーなどの企業がPayPayでの手当てを支給したことが話題になりました。実際にPayPayで付与を受けた従業員の声を聞いてみると「ネットショッピングでポイント付くから便利」「最近PayPay使える店増えてきたので良いと思う」と歓迎する声がある一方で「現金と違って実感がない。すぐ使っちゃう」という意見もありました。
まだデジタル給与の導入が決定したわけではありませんが、実現すればまたそれに合わせたキャンペーンなども登場しそうですね。ビッグウェーブに乗れるよう備えておくのが吉でしょう。
<参考サイト>
給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識│日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK085NR0Y1A200C2000000/
賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei05.html
【ワークスHI調査レポート】大手247法人意識調査 「給与デジタル払い」を検討(予定含む)している大手法人は約26%|Works Human Intelligence
https://www.works-hi.co.jp/news/20210408
給与「デジタル払い」解禁へ 知っておきたい10の知識│日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK085NR0Y1A200C2000000/
賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei05.html
【ワークスHI調査レポート】大手247法人意識調査 「給与デジタル払い」を検討(予定含む)している大手法人は約26%|Works Human Intelligence
https://www.works-hi.co.jp/news/20210408
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは
地政学入門 ヨーロッパ編(9)EUの深化・拡大とトルコの問題
国際政治の理論として国同士の経済交流、相互依存が安全保障、つまり平和を維持できると伝統的に考えられてきたが、今般の国際政治ではそれは必ずしも当てはまらないようだ。そこでEUの問題である。国の垣根を越えて世界国家に...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/06/30
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
遍歴とアバター…多様な仏、多様な菩薩が変容する面白さ
おもしろき『法華経』の世界(5)遍歴するアバター
『銀河鉄道の夜』の著者・宮沢賢治にとってもそうだが、『法華経』の重要なテーマは「遍歴」であると考えられる。遍歴や修行の旅は、仏教的には方便を用いて悟りに向かうことだが、『大日経』住心品には悟りと大悲こそが究境と...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/06/29
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24