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星野リゾートがコロナ禍でも開業する理由
新型コロナウィルスの世界的な流行がはじまって、2年以上の歳月が経ちました。国連は2021年6月に、この2年間で世界の観光業の損失は、日本円で450兆円を超えるとする推計を発表しています。日本人御用達のハワイでは、土産物屋が苦戦を強いられるなどのニュースが届いたり、日本国内でも、2020年の旅行会社の9割が減収、まだまだコロナ禍の影響は観光業界に暗い影を落としそうです。
そんななか、国内外でホテルや温泉旅館など、さまざまな宿泊施設を運営している星野リゾートでは、2020~2022年にかけて5つの施設を開業すると発表しました。
世界的に観光業が陰りを見せ、倒産する会社も相次いでいるなか、星野リゾートはなぜ新施設の開業に踏み切ることができるのでしょうか。
そんな星野リゾートは、このコロナ禍のなかで次々と新施設をオープンしています。2020年10月には「星野リゾート BEB5土浦」が茨城県にオープン。翌2021年1月には「星野リゾート 界 霧島」が鹿児島県に、4月には「星野リゾート 嘉助天台(かすけてんだい)」が、なんと中国浙江省に。6月には「星野リゾート 界 別府」が大分県に開業しました。2022年には北海道での施設オープンが予定されており、コロナ禍にもかかわらず順調に開業・営業がされているのです。
しかし、だからといって星野リゾートがコロナ禍の影響を受けていないとはいえません。インバウンド(訪日外国人)利用も急減するなか、2020年春には、前年の同時期に比べて9割も売り上げが下がってしまいました。そこで生き残り戦略を計画。コロナ禍に適した需要を生み出す努力をしています。
また、冬には再びコロナが流行するということも考慮して、実際に第3波が襲った2021年1月、2月には、各施設で休館期間を設け、スタッフが有給を取りやすいように調整。今後「Go To トラベル」の再開があることも見越して、慰労期間を用意したのだそう。つねに先を読み、柔軟な経営戦略を取っているのです。コロナ禍が続く間でも新施設オープンに踏み切るのも、コロナ後の経営を見越してのこと。
また、大勢の人が使う大浴場の混雑状況を可視化するサービス「大浴場IoT(インターネット・オブ・シングズ)」を開発しました。IoTとは、さまざまな「モノ」とインターネットを繋ぐことで、多くの情報を交換し、より生活を便利にしていくというもの。星野リゾートのこのサービスは、2020年4月に緊急事態宣言が発令されてから、わずか6週間で完成しました。実用化にも成功しています。これによって、旅行客は、利用者の少ないタイミングを見て大浴場を利用できるようになりました。
同時に、密閉・密集・密接の「3密」を避けるために、チェックインを客室で行ったり、密にならない食事処の設置など、これまでの営業スタイルを変えながら、徹底した感染防止に努めました。また、旅行者だけでなく、従業員向けのIoTシステムも構築し、社員同士の感染も予防していたのです。
コロナワクチンの接種が少しずつ進んでいるとはいえ、まだしばらくコロナ禍は続きそうです。そうした状況のなか、決して後ろを振り返ったり、とどまったりせず、前を向いて先を見据えながら冷静な対応をすること。その大切さを、星野リゾートの話は教えてくれているのではないでしょうか。
そんななか、国内外でホテルや温泉旅館など、さまざまな宿泊施設を運営している星野リゾートでは、2020~2022年にかけて5つの施設を開業すると発表しました。
世界的に観光業が陰りを見せ、倒産する会社も相次いでいるなか、星野リゾートはなぜ新施設の開業に踏み切ることができるのでしょうか。
国内のみならず海外での新施設開業も
星野リゾートは、1904年に長野県軽井沢で最初の旅館を開業しました。それから100年以上、国内外でリゾート施設の運営を続けています。ホテルリゾートの「星のや」、小規模温泉旅館「界」など、実際に宿泊したという方も多いでしょうし、そうでなくてもCMや広告で見かけたことがあるのではないでしょうか。そんな星野リゾートは、このコロナ禍のなかで次々と新施設をオープンしています。2020年10月には「星野リゾート BEB5土浦」が茨城県にオープン。翌2021年1月には「星野リゾート 界 霧島」が鹿児島県に、4月には「星野リゾート 嘉助天台(かすけてんだい)」が、なんと中国浙江省に。6月には「星野リゾート 界 別府」が大分県に開業しました。2022年には北海道での施設オープンが予定されており、コロナ禍にもかかわらず順調に開業・営業がされているのです。
しかし、だからといって星野リゾートがコロナ禍の影響を受けていないとはいえません。インバウンド(訪日外国人)利用も急減するなか、2020年春には、前年の同時期に比べて9割も売り上げが下がってしまいました。そこで生き残り戦略を計画。コロナ禍に適した需要を生み出す努力をしています。
コロナ禍に適した宿泊プランを計画
2020年秋からはじまり、12月末に急に打ち切られた「Go To トラベル」は、再び観光地に人を呼び込みましたが、一方で混乱ももたらしました。しかし、そんななかでも星野リゾートは、冬の再びの感染拡大を見越して、あらかじめ冬用のプランを用意。各地の施設で、それぞれの地域の特色になるような伝統工芸や文化を室内で体験できるプランをはじめ、さまざまな「おこもりプラン」を打ち出しました。星野リゾートでは「Go To トラベル」に頼るだけでなく、先を読みながら宿泊プランの準備をしてきたのです。また、冬には再びコロナが流行するということも考慮して、実際に第3波が襲った2021年1月、2月には、各施設で休館期間を設け、スタッフが有給を取りやすいように調整。今後「Go To トラベル」の再開があることも見越して、慰労期間を用意したのだそう。つねに先を読み、柔軟な経営戦略を取っているのです。コロナ禍が続く間でも新施設オープンに踏み切るのも、コロナ後の経営を見越してのこと。
インターネットを使った感染防止システムを構築
豊富なプランを用意するだけでなく、感染対策も怠っていません。前述したような「おこもりプラン」でも、室内の換気を良くする工夫や、空調機を新しくするなど、室内で安心して過ごせる工夫を行っています。もちろん衛生管理も徹底しました。また、大勢の人が使う大浴場の混雑状況を可視化するサービス「大浴場IoT(インターネット・オブ・シングズ)」を開発しました。IoTとは、さまざまな「モノ」とインターネットを繋ぐことで、多くの情報を交換し、より生活を便利にしていくというもの。星野リゾートのこのサービスは、2020年4月に緊急事態宣言が発令されてから、わずか6週間で完成しました。実用化にも成功しています。これによって、旅行客は、利用者の少ないタイミングを見て大浴場を利用できるようになりました。
同時に、密閉・密集・密接の「3密」を避けるために、チェックインを客室で行ったり、密にならない食事処の設置など、これまでの営業スタイルを変えながら、徹底した感染防止に努めました。また、旅行者だけでなく、従業員向けのIoTシステムも構築し、社員同士の感染も予防していたのです。
先を見据えた冷静な対応
星野リゾートの4代目代表である星野佳路氏は、「純粋にマーケットを読み、先手先手を打っていくことが、星野リゾートを有利にしてきた」と語っています。現在、星野リゾートではコロナ後も見越したプランの企画も進んでいるのだとか。コロナワクチンの接種が少しずつ進んでいるとはいえ、まだしばらくコロナ禍は続きそうです。そうした状況のなか、決して後ろを振り返ったり、とどまったりせず、前を向いて先を見据えながら冷静な対応をすること。その大切さを、星野リゾートの話は教えてくれているのではないでしょうか。
<参考サイト>
【星野リゾート】~2020-2022年 国内外で5施設を開業~星野リゾート今後の事業展開について│星野リゾート
https://www.hoshinoresorts.com/information/release/2020/10/108846.html
星野リゾート界
https://kai-ryokan.jp/beppu/#intro
【星野リゾート】~2020-2022年 国内外で5施設を開業~星野リゾート今後の事業展開について│星野リゾート
https://www.hoshinoresorts.com/information/release/2020/10/108846.html
星野リゾート界
https://kai-ryokan.jp/beppu/#intro
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