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世界で最も大気汚染が深刻な都市は?
地球の人口は2020年の時点でおよそ77億人。さらに毎年およそ8300万人ずつ増加しています。こうなると人間の活動によって様々な問題が起きます。なかでも今回は大気汚染について取り上げます。世界でもっとも空気が悪い都市は果たしてどこなのでしょうか。病院などに空気清浄システムを提供する会社IQAir(スイス)が発表する「2021年世界大気報告書(World's most polluted cities 2021)」をもとに、世界の大気汚染の状況を見てみましょう。
そしてワースト3位は中国新疆ウイグル自治区にある、ホータン(和田)市となっています。ホータン市は中国最西部のタクラマカン砂漠南側にあり、人口は2018年時点で48万人超とのこと。シルクロード上のオアシス都市として長い歴史があります。大気汚染が激しい最大の理由は、頻発する砂嵐とのこと。そしてアメリカの指標AQIで見ると、2022年3月はなんと432!これは「危険」レベルといわれている数値で、最も悪いとされる数値が500であることからも、その危険度が分かります。ちなみに主な汚染物質はPM10とのことです。
ワースト50位までにインドからは35都市がランクインしています。また国別では、ワースト1位バングラデシュ、2位チャド、3位パキスタン、4位タジキスタン、5位インドとなっています。インドで大気汚染が深刻な理由は、都市部では工場や車両から発生する汚染物質が多いこと、また農村部では、秋から冬にかけて作物の籾殻などを畑で燃やすこととされています。比率を見ると、汚染のおよそ27%が自動車の排気ガス、ついで17%が作物を燃やすことによるもの、7%が家庭での料理によるものとなっています。
またそのほかにも、インドの家庭用ストーブは、木片や乾燥させた葉や干し草、動物の糞などの混合物ですが、これが石炭の5倍の煙や汚染物質を発生させるとのこと。電気が利用できる都市部であっても伝統的にこのストーブが使用されています。資料によると、およそ1億世帯が毎日使用しているとのこと。都市の汚染物質の24%程度がこのストーブに起因する汚染とされています。こうしてインドは、中国とアメリカに次いで温室効果ガスを生産する国、第3位となっています。
1.カラチ市(パキスタン)
2. デリー(インド)
3. ジャカルタ(インドネシア)
4. ラホール(パキスタン)
5. ムンバイ(インド)
やはりここでもインドはランクインしていますが、1位と4位はお隣のパキスタン。他はアジアや中東のエリアが多いことがわかります。日本の東京は61位、62位は中国の北京です。エリア別の詳細な情報が掲載されているPDFのレポート2020 World Air Quality Reportを見ると、東アジア地域の中でも日本は比較的汚染度が低いようです。
今回紹介したデータや分析が掲載されているIQAirのサイトでは、汚染の度合いをアメリカでの指標AQI(Air Quality Index/空気質指数)とともに公開しています。またリアルタイムにその土地の大気の状況を公開しています。空気が悪いところは色が濃く、そうでないところは薄く色分けされていたり、風の流れも示されるなど、世界の現状が一目でわかります。
ワースト1位~3位
2021年世界大気報告書における大気汚染の深刻な都市ワースト1位と2位は、インドのジャスタン州アルワル地区にある計画都市「ビワディ」と、ウッタル・プラデーシュ州にある工業都市「ガーズィヤーバード」。なんとインドの都市がワースト1、2という結果です。アメリカの指標AQI(Air quality index)値で見ると、2022年3月時点でビワディは196、ガーズィヤーバードは144でした。196という数値は誰もが影響を受ける「Unhealthy(有害)」とされるレベルで、144という数値も子供や高齢者、妊婦、免疫システムが低下している人などに悪影響を与えるレベルとのことです。そしてワースト3位は中国新疆ウイグル自治区にある、ホータン(和田)市となっています。ホータン市は中国最西部のタクラマカン砂漠南側にあり、人口は2018年時点で48万人超とのこと。シルクロード上のオアシス都市として長い歴史があります。大気汚染が激しい最大の理由は、頻発する砂嵐とのこと。そしてアメリカの指標AQIで見ると、2022年3月はなんと432!これは「危険」レベルといわれている数値で、最も悪いとされる数値が500であることからも、その危険度が分かります。ちなみに主な汚染物質はPM10とのことです。
なぜインドの都市で大気汚染が深刻なのか
このあとの上位はほとんどインドの都市です。インドの首都デリーは4位。資料によるとデリーでは2020年の時点で3,020万人が1,484平方キロメートルに住んでいるとのこと。この数値から人口密度を計算すると、1平方キロメートルあたり約2万350人となります。東京都23区の人口密度は1平方キロメートルあたり1万5,375人(2021年6月値)なので、およそ東京23区の2倍です。移動したり物資の輸送に使用したりするバスやトラックも多いことから、大気汚染が引き起こされているようです。ワースト50位までにインドからは35都市がランクインしています。また国別では、ワースト1位バングラデシュ、2位チャド、3位パキスタン、4位タジキスタン、5位インドとなっています。インドで大気汚染が深刻な理由は、都市部では工場や車両から発生する汚染物質が多いこと、また農村部では、秋から冬にかけて作物の籾殻などを畑で燃やすこととされています。比率を見ると、汚染のおよそ27%が自動車の排気ガス、ついで17%が作物を燃やすことによるもの、7%が家庭での料理によるものとなっています。
またそのほかにも、インドの家庭用ストーブは、木片や乾燥させた葉や干し草、動物の糞などの混合物ですが、これが石炭の5倍の煙や汚染物質を発生させるとのこと。電気が利用できる都市部であっても伝統的にこのストーブが使用されています。資料によると、およそ1億世帯が毎日使用しているとのこと。都市の汚染物質の24%程度がこのストーブに起因する汚染とされています。こうしてインドは、中国とアメリカに次いで温室効果ガスを生産する国、第3位となっています。
首都別ランキング、東京は61位
世界の首都に限ったランキングを見てみましょう。トップ5は以下の通りです。1.カラチ市(パキスタン)
2. デリー(インド)
3. ジャカルタ(インドネシア)
4. ラホール(パキスタン)
5. ムンバイ(インド)
やはりここでもインドはランクインしていますが、1位と4位はお隣のパキスタン。他はアジアや中東のエリアが多いことがわかります。日本の東京は61位、62位は中国の北京です。エリア別の詳細な情報が掲載されているPDFのレポート2020 World Air Quality Reportを見ると、東アジア地域の中でも日本は比較的汚染度が低いようです。
今回紹介したデータや分析が掲載されているIQAirのサイトでは、汚染の度合いをアメリカでの指標AQI(Air Quality Index/空気質指数)とともに公開しています。またリアルタイムにその土地の大気の状況を公開しています。空気が悪いところは色が濃く、そうでないところは薄く色分けされていたり、風の流れも示されるなど、世界の現状が一目でわかります。
<参考サイト>
World's most polluted cities 2021 (PM2.5)|IQAir
https://www.iqair.com/world-most-polluted-cities
World's most polluted countries 2021 (PM2.5)|IQAir
https://www.iqair.com/world-most-polluted-countries
World's most polluted cities 2021 (PM2.5)|IQAir
https://www.iqair.com/world-most-polluted-cities
World's most polluted countries 2021 (PM2.5)|IQAir
https://www.iqair.com/world-most-polluted-countries
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