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DATE/ 2024.09.05

降水確率50%は雨が降るのか?

 お出かけするときに気になるのはお天気。傘をもっていくかどうかの判断は天気予報の降水確率だったりしませんか。降水確率80%だったりすると、かなり降りそうなイメージがありますが、実際はパラパラとしたにわか雨程度だったり、逆に降水確率0%だったのに豪雨になってしまったというレアなケースもあります。今回は、そんな人騒がせなイメージを払拭しつつ、降水確率の真実にせまりたいと思います。

降水確率の意味とは?

 降水確率について気象庁のサイトで確認すると、「降水確率予報で確率60%といった場合、そのような予報を100回発表すると約60回で対象時間内に1mm以上の降水があり、約40回で1mm以上の降水がないことを意味しています」と説明されています。

 降水確率の数値はあくまでも確率であり、降水の量を推し量ることはできないということになりそうです。降水については、1mm以上の雨が「降る」「降らない」の2つの可能性があり、「降る」に対する確率のみが発表されることになります。つまり、降水確率の大小は降水量の激しさとは全く関係がなく、降水確率と予測される降水量は比例しないということを覚えておきましょう。

降水確率0%でも雨は降る?

 降水確率は、予報区内で一定の時間内に1mm以上の雨が降る確率になります。注意したいのは、予報区内であれば場所については特定せず、どこでも同じ確率であること、つぎに、数値は平均値として0%から100%まで、四捨五入され10%刻みの値で発表されることです。つまり、「降水確率0%」でも0~4%の間の数値になることから降る可能性があるということ、また、「降水確率100%」でも96~100%の間なので、降らない可能性があることを意味します。

降水確率の精度は?

 降水確率予報が開始されたのは、1986年(東京地方のみ1980年から)になります。意外にも最近のことなんですね。日本において初めて気象観測所が開設されたのが、明治5(1872)年であることからもデータ集積としては少なく、近年の気候変動の大きさを鑑みると確率の精度はまだ伸び代がありそうです。気象庁のデータの分析からの数値予測は、2018年以降、AI(人工知能)などの最新の技術が適用されているとのこと。

 また、民間でも、ウェザーニューズ社のように、気象庁が設置している約1,300地点のアメダスだけでなく、全国に約1.3万地点の気象観測網を備え、さらに、ウェザーニュースアプリのユーザーにも小型気象観測機を3.5万台からのデータ解析により、予報精度の高いサービスを提供してる会社も出てきました。

 異常気象が続く昨今ではありますが、降水確率に限らず、天気予報については官民一体となっての精度向上を期待したいです。

<参考サイト>
・気象庁:降水確率予報との比較
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/explain/prob_precip.html
・weathernews:精度の高い予報を支える3つのポイント
https://weathernews.jp/about_forecast/point.html
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