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「新しい資本主義」の議論をするために重要な2つの視点
岸田総理が「新しい資本主義」を訴えて話題になっています。その趣旨は《「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現していく》というもの。
岸田総理は《新自由主義的な政策が「深刻な分断を生んだ」と主張》し、《実現への車の両輪に「成長戦略」と「分配戦略」を位置づけ》、そして《「分配なくして次の成長なし」として、分配戦略をより重視》(『朝日新聞デジタル』2021年10月8日)するのだともいわれますが、はたしてどのようなことなのでしょうか。
この機会に、「資本主義をどう考えるべきか」、また、「分配についてどう考えるか」などを学んでみてはいかがでしょうか。
今回テンミニッツTVからピックアップするのは、橋爪大三郎氏の「マルクス主義」についての講座と、岡本薫明氏の「財政危機のあり方」についての講座です。
そのうえで、なぜヘーゲル哲学から経済の研究に進んだのか、マルクスが立脚した「労働価値説」の意味とは、マルクスが主張した「階級闘争」とマルクス主義のその後の展開などについて、話が及んでいきます。
「社会問題のメカニズムの核心を探りだそうとしたマルクスの心意気。そしてマルクスは何を見つけていったのか?」――橋爪氏のお話から、マルクス主義のポイントがよく見えてきます。
そして、さらに圧巻なのが、質疑応答編での視点です。以下のような質問について、的確にどんどんと回答を提示していきます。
・マルクスの予言で当たった部分、当たらなかった部分とは何か?
・金融経済がここまで大きくなった現在、「労働価値説」をどう捉えるべきか?
・グローバル化をどう考えるのか?
・「資本主義では需要をどんどん煽って商品を消費させていくので、それが環境問題などの元凶になっている」という議論もあるが、その是非は?
聴けば、現代の資本主義への理解も深まり、自分自身の考えもどんどん広がっていくこと間違いありません。
2021年9月の自民党総裁選挙から10月の衆議院総選挙まで、「右も左も、バラマキ政策ばかりを主張している」という評論も聞かれます。そのような議論について、財務省的な立場ではどのように見ているのか。そのことがよくわかる講義です。
岡本氏はこの講義で、現在における「財政危機と金融危機」のあり方について警鐘を鳴らします。
たとえば、現在、主張されている「国債をバンバン発行しても、金融政策を組み合わせることで金利は上がらない」という議論に対しては、岡本氏は次のような指摘をされます。
《金融政策で金利を上げずにいたら、確かに、かつていっていたように金利が上がって将来云々ということは起きないかもしれません。しかし、逆に円という通貨の価値がすごく下がっていることが見透かされて、これをきっかけとして為替に大きな変動が生じた場合、今の日本国内で消費しているもののほとんどが輸入に頼っているので、即座に物価がとんでもないことになります》
為替の暴落が危機の発火点になる。さらに、金融危機だけが起きているときは財政出動で救えるが、しかし、財政危機から金融危機を招くと、財政出動という手段自体が封じられてしまう。それを見透かされると、一瞬にして危機に陥る危険性があるというのです。
そのような事態を避けるためにも、やるべきことをやっていくしかない。そう岡本氏は強調するのです。危機が起きるとしたら、どのようなメカニズムなのか。それについての考え方を学ぶことも、とても重要なところでしょう。
いずれの講座も、いま日本にとって大切なことは何かを考えるのに、数々のヒントを教えていただける内容です。ぜひご覧ください。
岸田総理は《新自由主義的な政策が「深刻な分断を生んだ」と主張》し、《実現への車の両輪に「成長戦略」と「分配戦略」を位置づけ》、そして《「分配なくして次の成長なし」として、分配戦略をより重視》(『朝日新聞デジタル』2021年10月8日)するのだともいわれますが、はたしてどのようなことなのでしょうか。
この機会に、「資本主義をどう考えるべきか」、また、「分配についてどう考えるか」などを学んでみてはいかがでしょうか。
今回テンミニッツTVからピックアップするのは、橋爪大三郎氏の「マルクス主義」についての講座と、岡本薫明氏の「財政危機のあり方」についての講座です。
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
まず、橋爪氏は、マルクスを理解するポイントとして、(1)ユダヤ人であること、(2)ドイツで生まれ育ったドイツ出身の人だったこと、(3)ヘーゲルに強い影響を受けたこと、(4)時代を丸ごと全体的に認識しようとしたこと、の4つを挙げています。そのうえで、なぜヘーゲル哲学から経済の研究に進んだのか、マルクスが立脚した「労働価値説」の意味とは、マルクスが主張した「階級闘争」とマルクス主義のその後の展開などについて、話が及んでいきます。
「社会問題のメカニズムの核心を探りだそうとしたマルクスの心意気。そしてマルクスは何を見つけていったのか?」――橋爪氏のお話から、マルクス主義のポイントがよく見えてきます。
そして、さらに圧巻なのが、質疑応答編での視点です。以下のような質問について、的確にどんどんと回答を提示していきます。
・マルクスの予言で当たった部分、当たらなかった部分とは何か?
・金融経済がここまで大きくなった現在、「労働価値説」をどう捉えるべきか?
・グローバル化をどう考えるのか?
・「資本主義では需要をどんどん煽って商品を消費させていくので、それが環境問題などの元凶になっている」という議論もあるが、その是非は?
聴けば、現代の資本主義への理解も深まり、自分自身の考えもどんどん広がっていくこと間違いありません。
危機は一瞬にして起こりうる…現在の財政問題の核心とは
次に紹介するのは、岡本薫明氏の「財政問題の本質を考える」講座です。皆さまご案内のように、岡本氏は2020年7月まで財務省の事務次官をお務めでした。2021年9月の自民党総裁選挙から10月の衆議院総選挙まで、「右も左も、バラマキ政策ばかりを主張している」という評論も聞かれます。そのような議論について、財務省的な立場ではどのように見ているのか。そのことがよくわかる講義です。
岡本氏はこの講義で、現在における「財政危機と金融危機」のあり方について警鐘を鳴らします。
たとえば、現在、主張されている「国債をバンバン発行しても、金融政策を組み合わせることで金利は上がらない」という議論に対しては、岡本氏は次のような指摘をされます。
《金融政策で金利を上げずにいたら、確かに、かつていっていたように金利が上がって将来云々ということは起きないかもしれません。しかし、逆に円という通貨の価値がすごく下がっていることが見透かされて、これをきっかけとして為替に大きな変動が生じた場合、今の日本国内で消費しているもののほとんどが輸入に頼っているので、即座に物価がとんでもないことになります》
為替の暴落が危機の発火点になる。さらに、金融危機だけが起きているときは財政出動で救えるが、しかし、財政危機から金融危機を招くと、財政出動という手段自体が封じられてしまう。それを見透かされると、一瞬にして危機に陥る危険性があるというのです。
そのような事態を避けるためにも、やるべきことをやっていくしかない。そう岡本氏は強調するのです。危機が起きるとしたら、どのようなメカニズムなのか。それについての考え方を学ぶことも、とても重要なところでしょう。
いずれの講座も、いま日本にとって大切なことは何かを考えるのに、数々のヒントを教えていただける内容です。ぜひご覧ください。
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