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DATE/ 2022.01.26

走りたくない!日本の「酷道」3選

 一般的に「国道」というと大きな道路をイメージしますが、俗に「酷道」と呼ばれる、険しくてくねくねした道路もあります。国道と「酷(ひど)い道=酷道」をかけたものですが、日本は山岳地帯が多いことと関係しているようです。ちなみに「険道」という言葉もありますが、これは「危険な状態の県道」から来ています。管理者が都道府県という以外、表すイメージとしては「酷道」と同じと言っていいでしょう。

 では実際にどんな場所なのでしょうか、ここでは、全国で「酷道」と呼ばれている場所をいくつかピックアップしてみてみましょう。

国道418号線

 国道418号線は福井県大野市を起点として、長野県飯田市の終点に向かう国道です。総距離は243.3キロメートルという長い国道ですが、途中で同じく「酷道」として知られる国道157号線と重複しています。途中には ダムに沈む予定の、恵那・八百津間5.5キロが通行止め区間となっています。ちなみにこの通行止め区間は、危険な落石があったり大規模な土砂崩れが起きていたりと、かなり危険な場所とのこと。またこの通行止め区間の手前も非常に細く危険で地元の人も通らないとの話も。尾並坂峠、平谷峠、売木峠といった狭い峠道を進む国道です。

国道157号線

 国道418号線でも触れた国道157号線ですが、石川県金沢市を始点として、福井県大野市を経由して岐阜県岐阜市を終点とする国道です。総距離は202.6キロメートル。北陸地方と東海地方を最短距離で結んでいます。ただし、雪深い地域の山を進む道路であることから、一年の半分は通行止め。通れる期間でもガードレールや標識は雪の重みで折れ曲がっていたり、川が道路の上を通る「洗い越し」と言われる場所がいくつもあったりするとのこと。また福井県と岐阜県の境目にある温見峠入り口の電柱にある看板には「落ちたら死ぬ!!」と警告が記されています。

国道439号線

 徳島県徳島市を起点として高知県四万十市を終点とする国道です。総距離は348.3キロメートルと長く、東京から仙台を結ぶ国道6号線とほぼ同じ。ただし、こちらは四国山地を横断することから、急勾配、急カーブ、狭路が連続します。またこの国道は四国の修験道の山を越えていきます。もっとも厳しいところは京柱峠と呼ばれる徳島県と高知県の県境。ここは真言宗開祖の弘法大師も訪れた峠だそうですが、標高1000メートル超でガードレールはなく、落ち葉が積もっているとのこと。細心の注意が必要であることは言うまでもありません。標高の高い場所でもあることから冬場は通行止めになることもあります。

死亡事故も起きている

 他にも狭い日本にはさまざまな酷道があります。また多くは峠に関わるので、日頃は目にすることができない絶景が見られる場所も多いようです。ただし、車一台分の狭さ、落ち葉でスリップする路面、連続する急カーブ、路面崩壊した場所、ガードレールなしの断崖絶壁といった場所を数時間連続で運転することになります。また、山奥で電波が通じない場所もあります。
 いざというときの準備に加えて、運転技術や心構え、体力や精神力も必要です。運転に自信がない人は踏み入れるべきではないでしょう。また、運転に慣れていて自信があっても、細心の注意を払いましょう。特に雨が降った後は地盤が緩くなっていたりしてより危険です。実際に転落死亡事故が起きている場所もあります。

<参考サイト>
日本三大酷道を超えるやばい酷道ランキングTOP10!険道との違いは?|MOBY
https://car-moby.jp/article/drive/general/rough-road-ranking/
【酷道険道まとめ】国道152号、157号、299号、安房峠、未舗装林道、素堀りトンネル……酷道は日本の宝だ!|Motor-Fan.jp
https://car.motor-fan.jp/article/10010521
日本三大酷道はどこなのか・酷道である理由と走行の注意点|Carby
https://carby.b-engineer.co.jp/car_100504/car_100517/1034932

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