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世界の「労働時間」ランキング
日本は賃金のわりに労働時間が長く、生産性が悪い――そんな話をよく耳にしますよね。実際のところ、日本の労働時間は世界に比べて長いのでしょうか。世界各国の労働時間は、どの程度なのでしょうか。調べてみました。
<世界で労働時間が長い国トップ10(2020年)>
1位:メキシコ(2,124時間)
2位:コスタリカ(1,913時間)
3位:韓国(1,908時間)
4位:ロシア(1,874時間)
5位:クロアチア(1,834時間)
6位:マルタ(1,872時間)
7位:チリ(1,825時間)
8位:ルーマニア(1,795時間)
9位:イスラエル(1,783時間)
10位:アメリカ合衆国(1,767時間)
日本:1,598時間
世界平均:1,687時間
※以上、参考サイト<OECDの主要指標:労働時間 (Hours worked)>より
世界で最も労働時間が長いのは、断トツでメキシコの2,124時間。2位は同じ中米のコスタリカで1,913時間でした。メキシコと日本では500時間(約20日)以上の差があります。3位が日本のお隣の韓国で1,908時間。日本よりも315時間(約13日)も長い計算となります。ずいぶん差があるように感じられますね。
メキシコの場合、法定労働時間が週48時間で原則週休1日制だそうです。祝日も少なく、隣国アメリカからの企業が多く進出していることも労働時間に影響を与えているといわれています。
しかしながら、労働時間当たりのGDP指数、いわゆる生産性で見ると、実はコスタリカとメキシコはワースト1位と2位。つまり二国とも労働時間が長く、かつ効率の悪い働き方をしているということになります。ちなみに日本はOECD加盟38か国中23位です。
労働時間世界3位の韓国では、2007年に法改正で労働時間が週48時間から44時間に短縮されたものの、短くなって所得が減少した分を補填するために時間外労働をする人が増加。結果として長時間労働につながってしまったといわれています。
上記のOECDの調査には、パートやアルバイトなどの短時間労働者、非正規労働者の労働時間も含まれています。OECDが発表した「パートタイム雇用率(2020年)」を見てみると、日本のパートタイマー(週30時間未満労働)の割合は全雇用者中25.8%で、世界第4位。世界平均だと16.7%なので、だいぶ高い数値です。
厚生労働省の調べによると、日本のパートタイマーの比率は右肩上がりとなっていて、平成7年(1995年)では14.5%だったのが、令和元年(2019年)には31.5%。約25年で2倍以上に膨れあがっていました。
またパートタイマーの総実労働時間は1100時間程度、いっぽう一般労働者は2000時間前後で高止まりの状態。一般労働者の半分程度の時間で働くパートタイマーが増加しているため、労働者全体の平均労働時間は減少傾向となっています。
つまり、世界平均より短い日本の労働時間は、パートタイマーの比率の上昇によるものと考えられるのです。
これからは労働時間そのものよりも、労働の質、労働の在り方を、よりいっそう重視していく必要があるかもしれませんね。
日本はランキング外? 世界の労働時間の長い国トップ10
世界経済協力開発機構(OECD)が公開したデータによると、2020年の日本人の1人当たりの年平均実労働時間は1,598時間。世界26位となり、トップ10圏外でした。世界平均は1,687時間で、日本はそれよりも短いということになります。<世界で労働時間が長い国トップ10(2020年)>
1位:メキシコ(2,124時間)
2位:コスタリカ(1,913時間)
3位:韓国(1,908時間)
4位:ロシア(1,874時間)
5位:クロアチア(1,834時間)
6位:マルタ(1,872時間)
7位:チリ(1,825時間)
8位:ルーマニア(1,795時間)
9位:イスラエル(1,783時間)
10位:アメリカ合衆国(1,767時間)
日本:1,598時間
世界平均:1,687時間
※以上、参考サイト<OECDの主要指標:労働時間 (Hours worked)>より
世界で最も労働時間が長いのは、断トツでメキシコの2,124時間。2位は同じ中米のコスタリカで1,913時間でした。メキシコと日本では500時間(約20日)以上の差があります。3位が日本のお隣の韓国で1,908時間。日本よりも315時間(約13日)も長い計算となります。ずいぶん差があるように感じられますね。
メキシコの場合、法定労働時間が週48時間で原則週休1日制だそうです。祝日も少なく、隣国アメリカからの企業が多く進出していることも労働時間に影響を与えているといわれています。
しかしながら、労働時間当たりのGDP指数、いわゆる生産性で見ると、実はコスタリカとメキシコはワースト1位と2位。つまり二国とも労働時間が長く、かつ効率の悪い働き方をしているということになります。ちなみに日本はOECD加盟38か国中23位です。
労働時間世界3位の韓国では、2007年に法改正で労働時間が週48時間から44時間に短縮されたものの、短くなって所得が減少した分を補填するために時間外労働をする人が増加。結果として長時間労働につながってしまったといわれています。
世界から見て日本人の労働時間が“短い”理由
1年のうち250日間働いたとすると、先ほどの労働時間から換算して、日本人の1日の労働時間は約6.4時間となります。数値だけ見れば、日本は世界と比べると意外と働いていないと感じられるでしょう。1日8時間、10時間働いている一般労働者にとっては、信じられない数値かもしれません。実は、これにはカラクリがあります。上記のOECDの調査には、パートやアルバイトなどの短時間労働者、非正規労働者の労働時間も含まれています。OECDが発表した「パートタイム雇用率(2020年)」を見てみると、日本のパートタイマー(週30時間未満労働)の割合は全雇用者中25.8%で、世界第4位。世界平均だと16.7%なので、だいぶ高い数値です。
厚生労働省の調べによると、日本のパートタイマーの比率は右肩上がりとなっていて、平成7年(1995年)では14.5%だったのが、令和元年(2019年)には31.5%。約25年で2倍以上に膨れあがっていました。
またパートタイマーの総実労働時間は1100時間程度、いっぽう一般労働者は2000時間前後で高止まりの状態。一般労働者の半分程度の時間で働くパートタイマーが増加しているため、労働者全体の平均労働時間は減少傾向となっています。
つまり、世界平均より短い日本の労働時間は、パートタイマーの比率の上昇によるものと考えられるのです。
労働時間は短くなっても……
労働時間で見ると減少している日本ですが、パートから正社員への転職が困難である、一般労働者の長時間労働も改善されていないなど、未だ労働環境の改善が必要な状況です。昨今はテレワークや在宅ワークなど働き方の多様化もあり、対応に苦慮する企業も少なくありません。これからは労働時間そのものよりも、労働の質、労働の在り方を、よりいっそう重視していく必要があるかもしれませんね。
<参考サイト>
・OECDの主要指標:労働時間 (Hours worked)
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/hours-worked-japanese-version.htm
パートタイム雇用率(Part-time employment rate)
https://data.oecd.org/emp/part-time-employment-rate.htm
・労働時間の状況pdf (厚生労働省)
https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf
・OECDの主要指標:労働時間 (Hours worked)
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/hours-worked-japanese-version.htm
パートタイム雇用率(Part-time employment rate)
https://data.oecd.org/emp/part-time-employment-rate.htm
・労働時間の状況pdf (厚生労働省)
https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/library/kochi-roudoukyoku/topics/topics222.pdf
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