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DATE/ 2022.02.18

貯蓄1000万…みんな何歳で到達してるの?

 独立起業のため、学び直しの学資、はたまた老後の資金としても、1,000万円は一つの目安になります。でも現実に4ケタの大台「貯蓄1,000万円」を到達している人はどのぐらいいるのでしょうか。何歳ぐらいでみんなは到達しているのでしょうか。

ウチの貯蓄、ヨソより多いか少ないか

 同年代や同じような仕事をしている人と比べて自分の貯蓄は多いのか少ないのか。とても気になることですが、デリケートなお金の話、なかなか人には聞けません。金融広報中央委員会が運営する「知るぽると」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は、世帯主の各年代別で次のようになっています(「家計の金融行動に関する世論調査」令和2年)。

・20代:平均292万円/中央値135万円
・30代:平均591万円/中央値400万円
・40代:平均1,012万円/中央値520万円
・50代:平均1,684万円/中央値800万円
・60代:平均1,745万円/中央値875万円
・70歳以上:平均1,786万円/中央値1,000万円

 これは「金融資産を持たない人=貯蓄ゼロの人」も含めた額で、「金融資産を持つ人」だけの比較では、以下のようになります。

・20代:平均350万円/中央値235万円
・30代:平均644万円/中央値423万円
・40代:平均1,177万円/中央値686万円
・50代:平均1,955万円/中央値1,000万円
・60代:平均2,154万円/中央値1,465万円
・70歳以上:平均2,208万円/中央値1,394万円

 つまり、「貯蓄1,000万円」レースにおいては2段階のハードルがあり、一つは「貯蓄を始めること」であるのがはっきり分かるわけです。とくに30代や40代は子供の学資や住宅ローンなど、家計の支出が削れない時期になるため、20代のスタートダッシュが肝心であることも見てとれます。

 貯蓄をつづけてきた家庭では、50代で「貯蓄1,000万円」にゴールイン。この後は退職金や年金も視野に入ってくるので、プチ独立や学び直し、ゆとりある老後などを目指すことができます。

 ちなみに平均値で「貯蓄1,000万円」をクリアしている40代の分布を見てみると、貯蓄額300万円未満の層が36.0%(うち貯蓄ゼロは13.5%)、1,000万円以上の層が32.7%と、はっきり二分化を示しています。

おひとりさまは貯蓄が嫌い?

 一方、シングル(単身世帯)の場合はどうでしょうか。

・20代:平均113万円/中央値8万円
・30代:平均327万円/中央値70万円
・40代:平均666万円/中央値40万円
・50代:平均924万円/中央値30万円
・60代:平均1,305万円/中央値300万円
・全年代:平均653万円/中央値50万円

 同様に40代の分布を見ると、貯蓄額300万円未満の層が60.9%(うち貯蓄ゼロは35.5%)、1,000万円以上の層が17.3%。単身者の収入が少ないのかというと、そんなことはないので、貯蓄が嫌い、面倒くさいという人が多いようにうかがえます。60代で額が跳ね上がるのは、おそらく退職金収入によるものでしょう。

 何がなんでも「貯蓄1,000万円」達成が人生の目標ではありませんが、参考までに貯蓄ゼロから1,000万円貯めていく道を試算してみました。利子は度外視して、10年計画では月約8.3万円、20年計画では月約4万円。これだけの積み重ねが貯蓄4ケタを達成するのです。1,000万円は高嶺の花でも、月4万円の貯蓄ならできそうという人も多いのでは?

<参考サイト>
・知るぽると:家計の金融行動に関する世論調査
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/pdf/point2020.pdf

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