テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.08.14

「紙おむつ」が「神おむつ」に!?中国爆買いに見るビジネスチャンス

 中国人による爆買いは、日本のビジネスに少なからず影響を及ぼしている。その中で注目してみたいのは、「紙おむつ」騒動だ。

 日本製の「紙おむつ」の性能の良さ、特に花王の「メリーズ」の評判が中国のインターネットで広まったところに起因する。日本の「おむつ」は、中国にとって「神おむつ」になったのだ。

 中国では子どものためなら出費を惜しまない。こうした事情から、花王は出遅れていた中国市場に同社初となる中間所得層向け製品「メリーズ瞬爽透気」を発売した。これが、予想以上の大ヒット!

 結果、日本の倍以上の価格で取引されるようになった。その価格差に目をつけた中国人ブローカーは日本国内で「紙おむつ」を買い占め、中国国内で転売という流れができた。

 日本の「メリーズ」をもとめてドラッグストアへ殺到する中国人の騒動は、兵庫県で逮捕者が出るところまでエスカレートした。

 中国国内では、これとは別に中味を入れ替えたり、フェイクなどの問題があったことが容易に想像できる。

 また、こうした騒動は、純粋な需要と供給のバランスからズレた情報によって煽られているように思える。インターネットなどの情報と扇動されやすさの恐ろしさを感じざるをえない。これはiPhone6の転売ヤーと同じ経済心理が働いているようだ。

 日本国内における紙おむつ事情も、なかなかヘビーな状況にある。ベビーのいる家庭にとっては毎日使うものだけにその価格は捨て置けない。ベビー用品の比較サイト『ベビ得』で調べてみると、同一地域の店舗価格差が500円になるところもあるようだ。これは、中国人の動きと少なからず影響しているのではないだろうか。

 今後の「紙おむつ」騒動についてだが、赤ちゃんに限ることではない。

 日本は世界有数の高齢化の課題先進国である。高齢者向けの優れた「紙おむつ」が次の騒動の火だねになりかねないのだ。こうした「おむつ」のケースから「おつむ」(頭)を働かせ、中国に限らず加速的に進むであろうアジア高齢化マーケットに先手を打つことを考えたい。

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
2

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
3

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担

国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
4

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査

現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
5

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために

硫黄島の戦いでの奇跡的な物語を深く探究したノンフィクション『大統領に告ぐ』。著者の門田隆将氏は、「読者の皆さんには、その場に身を置いて読んでほしい」と語る。硫黄島の洞窟の中で、自分が死ぬ意味を考えていた日本人将...
収録日:2025/07/09
追加日:2025/08/15
門田隆将
作家 ジャーナリスト