テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.08.24

3人に1人?「節約」が理由で昼飯抜きの会社員

 ランチが楽しみだから仕事を何とか頑張れる――そんな人も少なくないかと思いますが、その正反対とも言える「昼食抜き」を経験したことがある人は約3割もいて、さらに「食事代の節約のため」を理由に挙げる人はそのうち3人に1人を超えるというのです。「ランチこそ一番の楽しみ」派にとってはにわかに信じられないかもしれないこの調査結果、詳細を見てみましょう。

「食べる時間がない」が1位の理由

 福利厚生の食事補助サービスなどを手がけるエデンレッドジャパンが行った「ビジネスパーソンのランチ実態調査」によると、上記の結果に加え、週に2回以上昼食抜きがあるという回答は約43%。昼食抜きとなる理由は様々ですが、「食べる時間がない」というのが約67%。労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければならない、と労働基準法で定められているのですが、昼食を食べる休憩時間も確保できない人が少なくないようです。「食事代の節約のため」という理由は約33%でしたが、20代に絞ると約48%にも上ります。

 また、「最も悲惨だった先週の勤務日のランチ」が何だったか聞いてみると、「白米にふりかけをまぶしたもののみ」「水とお菓子」「明太子だけ」など“悲惨エピソード”がずらり。昼食を取れていたとしても、とても満足できないような内容の人も少なくないことがわかります。

男性会社員のお小遣いはバブル期の半分

 どうしてこのような事態になっているのか。新生銀行が調べた「2021 年サラリーマンのお小遣い調査」を見てみましょう。

 男性会社員の月額平均お小遣い額は 38710 円と前年比709円の減少、一方で女性会社員のお小遣い額は、昨年より 544円上昇し、34398円でした。男性会社員のお小遣い事情の調査は実は1979年からと長い歴史があるのですが、ここ10年はほぼ横ばいです。15年前の2007年は49736円と今より1万円以上多く、バブル期の1990年にはなんと77725円と現在のほぼ2倍の金額でした。バブル期との差である約4万円のうちどの程度が昼食代にも反映されているのか今回の調査からは読み取れませんでしたが、昼食代を削って何とかお小遣いをやりくりしている、というのは容易に想像がつきます。

 冒頭のエデンレッドジャパンの調査とは対象が異なるため同列に比較することはできませんが、新生銀行の調査では平均昼食代は男性が649円、女性が590円でした。勤務地によっても平均的な昼食の代金は変わるでしょうが、600円台では定食を頼めないケースも多いことでしょう。最近は物価高騰により値上げをする飲食店も多いので、これもまた胃袋への影響がありそうです。

 ローソンストア100のウインナー弁当(216円)が話題になるなど、物価高騰の反面、安価な選択肢が増えている側面もあります。午後の仕事をしっかりとやりきるためにも、昼食はしっかり取ってもらいたい。「ビジネスパーソンのランチ実態調査」の昼食抜きの回答をした人たちに伝えたいものです。

<参考サイト>
・エデンレッドジャパン、全国のビジネスパーソンに聞いた「ビジネスパーソンのランチ実態調査」を発表 - 株式会社エデンレッドジャパン
https://edenred.jp/pr/20220127/
・男性会社員のお小遣い額は昨年比微減の 38,710 円、女性会社員は微増の 34,398 円 -「2021 年サラリーマンのお小遣い調査」結果について
https://www.shinseibank.com/corporate/news/pdf/pdf2021/210629_OkozukaiSurvey_j.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授