テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.09.05

世界で最も多く売れている「車」とは?

 トヨタのカローラは1966年に初めて発売されてから、2021年で55周年を迎えました。2005年には自動車販売史上初の3000万台を達成し、ギネス記録となっています。そこからも売れ続け、2021年には新車販売台数で5000万台を突破しました。現在まで、世界で最も売れている「車」はトヨタカローラです。いまなお新車販売台数では毎年上位にランクインするこのカローラですが、この人気の秘密はどこにあるのでしょうか。

1960年代、時代の波に乗って登場

 カローラが初めて世の中に登場した1966年の日本は、高度経済成長期まっただなかです。この年はビートルズが初めて来日した年として、テレビ番組などでは時折映像が紹介されます。人々が熱狂している映像を見たことがある人も多いのではないでしょうか。このエネルギッシュな時代、お菓子のポッキーや柿の種、S&Bゴールドカレーなどなど、今でもトップを走り続けているさまざまな商品が世の中に放たれました。

 また、1950年代後半は「白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫」が「三種の神器」とされて人々が求めるものでした。ここからさらに豊かになった1960年代半ばには、「3C」と呼ばれる「カラーテレビ・クーラー・カー(自家用車)」が人々の憧れとなります。この需要に応えるように、カローラは大衆向けの車として世の中に登場します。

 カローラが誕生する前には、1961年に発売されたシンプルな構造と高い生産性で低価格を実現した「パブリカ」という車がありました。この車を技術改良して、一歩先を見据えた車として発売されたのがカローラです。大衆車として求められる「性能」や「経済性」などをバランスよく整えながら、「曲面ガラス」や高速走行を意識した「5ベアリングのエンジン」を採用するなど、この先を担う若者に向けた一歩先のデザインや性能も追求されています。

「+アルファ」の発想

 カローラは開発当初から、大衆車として多くの人の需要にマッチするように作られています。しかし、単にコストを抑えた平均的な車ではありません。大衆車として求められる平均的な性能に加えて、必ずその時々の「+アルファ」が意識されています。豊田章男社長は、トヨタの広報サイト「トヨタイムズ」にアップされている動画の中で、カローラを運転しながら「時代のちょっと先の大衆車」という表現でカローラを語っています。

 同サイトによると、当時開発責任者だった長谷川龍雄が込めたコンセプトは「80点主義+α」とのこと。大衆車としてのバランスを第一に、さらに突出した性能も持ち合わせるという意識です。この+αの発想があることにより、常に時代のニーズの先を捉えて進化することができる車であると言えるでしょう。

 2022年6月にトヨタの欧州部門で発表された2023年モデルの最新のカローラは、全車でハイブリッド性能を刷新するとのこと。2023年モデルは日本での発売予定は未確定ですが、欧州仕様に準じたエクステリアデザインの変更や1.8リッターハイブリッドシステムの搭載およびエンジンラインナップの再編などなどさまざまな大幅な変更が入るようです。この先もまだまだカローラは現役でトップを走り続けるのではないでしょうか。

<参考サイト>
半世紀以上のロングセラー、カローラを時代背景とともに振り返る|トヨタイムズ
https://toyotatimes.jp/report/corolla_50million/052.html
いつの時代も、良品良日。Everyday Good COROLLA|トヨタ
https://toyota.jp/info/corolla_50million/
First car to sell 30 million units|GUINNESS WORLD RECORDS
https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/first-car-to-sell-30-million-units
カローラシリーズが登場3年で大がかりなマイナーチェンジ! 日本仕様はどうなる?|ベストカーWeb
https://bestcarweb.jp/feature/column/450198
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

権威主義とポピュリズムへの対抗…歴史を学び、連帯しよう

民主主義の本質(5)民主主義を守り育てるために

ポピュリズムや権威主義的な国家の脅威が迫る現在の国際社会。それに対抗し、民主主義的な社会を堅持するために、国際社会の中で日本はどのように振る舞うべきか。議論を進める前提として大事なのは「歴史から学ぶ」ことである...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/04/23
橋爪大三郎
社会学者
2

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や...
収録日:2019/09/06
追加日:2019/10/31
池上英洋
東京造形大学教授
3

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

OpenAI創業者サム・アルトマンとはいかなる人物なのか

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(1)ChatGPT生みの親の半生

ChatGPTを生みだしたOpenAI創業者のサム・アルトマン。AIの進化・発展によって急速に変化している世界の情報環境だが、今その中心にいる人物といっていいだろう。今回のシリーズでは、サム・アルトマンの才能や彼をとりまくアメ...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/19
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割

江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
堀口茉純
歴史作家
5

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授