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強盗は約9割!犯罪の検挙率は?
これまで日本は世界的にも治安の良い国として知られてきました。犯罪検挙率も他国に比べて高いイメージがあります。ただし最近は強盗のニュースなどを目にすることが増え、やや不安を感じている人もいるのではないでしょうか。現在、日本国内での犯罪発生状況にはなにか変化が起こっているのでしょうか。ここでは警察庁が発表している資料をもとに、日本の犯罪発生状況と検挙率の現状について見てみます。
その後は一貫して減少し、令和3年(2021年)には戦後最小の56.8万件(人口千人あたり4.5件)と、ピーク時のおよそ5分の1まで減少しています。また平成14年(2002年)から令和3年(2021年)までの19年間、刑法犯の認知件数は一度も上昇することなく下降しています。これが令和4年(2022年)には60.1万件(人口千人あたり4.8件)と上昇に転じました。
では令和4年(2022年)は令和3年(2021年)年に比べてどういった犯罪が増えているのか、という点を見てみましょう。一つには「街頭犯罪」が前年比およそ14.4%増となっている点が目立ちます。「街頭犯罪」の定義は「路上強盗、ひったくり、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、車上ねらい、部品ねらい及び自動販売機ねらいのほか、強制性交等、強制わいせつ、略取誘拐・人身売買、暴行、傷害及び恐喝のうち街頭で行われたもの」となっています。
また「街頭犯罪」かどうかとは異なる視点から言えば、「重要犯罪」が増加しています。重要犯罪とは「殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐・人身売買及び強制わいせつ」です。特に「強制性交等」が令和3年(2021年)に1,388件だったものが令和4年(2022年)には1,656件とおよそ19%増となり、「強制わいせつ」が4,283件から4,708件とおよそ10%増となっています。この他の重要犯罪を見ると以下の通りとなっています。左の数字が令和3年(2021年)、右の数字が令和4年(2022年)のもの、パーセンテージはおおよその増減率です。
放火 749件→781件 4.2%増
強盗 1,138件→1,148件 0.8%増
略取誘拐・人身売買 389件→390件 0.2%増
殺人 874件→853件 2.4%減
また特殊詐欺に関してもみてみましょう。認知件数は令和2年(2020年)に13,550件だったものが令和3年(2021年)には14,498件(前年比6.9%増)、令和4年(2022年)には17,520件(前年比20%増)と、2年連続で増加しています。また令和4年(2022年)の被害額は361.4億円となり8年ぶりに前年比増(28.2%増)です。また企業や団体が狙われるランサムウェア(身代金要求型ウイルス)被害に関しては、230件で前年比57.5%増となっています。
まずは刑法犯全体で見てみましょう。令和3年(2021年)の犯罪認知件数が568,104件であるのに対して検挙件数は265,485件、つまり検挙率は全体で見ると46.6%となっています。この前年の令和2年(2020年)の検挙率は45.5%だったので1.1%上昇しています。次に重要犯罪の検挙率に絞って少し詳しくみてみましょう。以下は検挙率の高い順から一覧です。
殺人 101.0%
強盗 99.3%
強制性交等 95.8%
略取誘拐・人身売買 93.8%
強制わいせつ 90.3%
放火 88.7%
重要犯罪については9割以上が検挙されていることがわかります。特に殺人の検挙率は100%を越え、過去の犯罪についても時間を経て検挙されています。このように、特に大きな犯罪に対する数字を見ると、日本でこれらの大きな罪を犯せば、ほぼ確実に捕まります。この点から見れば、日本の犯罪検挙率はかなり高いと言っていいのではないでしょうか。
2022年は19年ぶりに刑法犯が増加
まず、犯罪認知件数を見てみます。警察庁のウェブサイトには平成元年(1989年)から令和4年(2022年)までの犯罪に関する資料が掲載されています。これによると、刑法犯の認知件数は平成14年(2002年)の285.4万件(人口千人あたり22.4件)が平成以降のピークでした。その後は一貫して減少し、令和3年(2021年)には戦後最小の56.8万件(人口千人あたり4.5件)と、ピーク時のおよそ5分の1まで減少しています。また平成14年(2002年)から令和3年(2021年)までの19年間、刑法犯の認知件数は一度も上昇することなく下降しています。これが令和4年(2022年)には60.1万件(人口千人あたり4.8件)と上昇に転じました。
では令和4年(2022年)は令和3年(2021年)年に比べてどういった犯罪が増えているのか、という点を見てみましょう。一つには「街頭犯罪」が前年比およそ14.4%増となっている点が目立ちます。「街頭犯罪」の定義は「路上強盗、ひったくり、自動車盗、オートバイ盗、自転車盗、車上ねらい、部品ねらい及び自動販売機ねらいのほか、強制性交等、強制わいせつ、略取誘拐・人身売買、暴行、傷害及び恐喝のうち街頭で行われたもの」となっています。
自転車盗と特殊詐欺は前年比20%増
この街頭犯罪について細かく見ると、「自転車盗」が令和3年(2021年)の106,585件から128,891件とおよそ20%増、傷害(街頭)は同5,721件から6,581件でおよそ15%増、暴行(街頭)が8,552件から9,364件とおよそ9%増となっています。また「街頭犯罪」かどうかとは異なる視点から言えば、「重要犯罪」が増加しています。重要犯罪とは「殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐・人身売買及び強制わいせつ」です。特に「強制性交等」が令和3年(2021年)に1,388件だったものが令和4年(2022年)には1,656件とおよそ19%増となり、「強制わいせつ」が4,283件から4,708件とおよそ10%増となっています。この他の重要犯罪を見ると以下の通りとなっています。左の数字が令和3年(2021年)、右の数字が令和4年(2022年)のもの、パーセンテージはおおよその増減率です。
放火 749件→781件 4.2%増
強盗 1,138件→1,148件 0.8%増
略取誘拐・人身売買 389件→390件 0.2%増
殺人 874件→853件 2.4%減
また特殊詐欺に関してもみてみましょう。認知件数は令和2年(2020年)に13,550件だったものが令和3年(2021年)には14,498件(前年比6.9%増)、令和4年(2022年)には17,520件(前年比20%増)と、2年連続で増加しています。また令和4年(2022年)の被害額は361.4億円となり8年ぶりに前年比増(28.2%増)です。また企業や団体が狙われるランサムウェア(身代金要求型ウイルス)被害に関しては、230件で前年比57.5%増となっています。
重要犯罪での検挙率は9割超
次に刑法犯の検挙状況について見てみましょう。ここでは警察庁が公表している令和3年(2021年)の資料をもとにします。ここでの検挙率とは「検挙件数(当該年の前年以前に認知した事件の検挙も含む)割る「当該年の認知件数」で算出されるものです。つまり過去の事件を検挙することによって、100%を超えることがあります。まずは刑法犯全体で見てみましょう。令和3年(2021年)の犯罪認知件数が568,104件であるのに対して検挙件数は265,485件、つまり検挙率は全体で見ると46.6%となっています。この前年の令和2年(2020年)の検挙率は45.5%だったので1.1%上昇しています。次に重要犯罪の検挙率に絞って少し詳しくみてみましょう。以下は検挙率の高い順から一覧です。
殺人 101.0%
強盗 99.3%
強制性交等 95.8%
略取誘拐・人身売買 93.8%
強制わいせつ 90.3%
放火 88.7%
重要犯罪については9割以上が検挙されていることがわかります。特に殺人の検挙率は100%を越え、過去の犯罪についても時間を経て検挙されています。このように、特に大きな犯罪に対する数字を見ると、日本でこれらの大きな罪を犯せば、ほぼ確実に捕まります。この点から見れば、日本の犯罪検挙率はかなり高いと言っていいのではないでしょうか。
<参考サイト>
犯罪情勢|警察庁
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation-reports.html
刑法犯に関する統計資料|警察庁
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jousei.html
【解説】 刑法犯20年ぶり増加…「日本の治安」悪くなった? 狙われる「電動自転車バッテリー」|日テレNEWS
https://news.ntv.co.jp/category/society/a624d6102bad44a6b08017a7f0da7bec
犯罪情勢|警察庁
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/crime/situation-reports.html
刑法犯に関する統計資料|警察庁
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jousei.html
【解説】 刑法犯20年ぶり増加…「日本の治安」悪くなった? 狙われる「電動自転車バッテリー」|日テレNEWS
https://news.ntv.co.jp/category/society/a624d6102bad44a6b08017a7f0da7bec
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