テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.09.30

曖昧になりがち?おさらいしたい交通ルール

 はじめは気をつけていたことでも、時間が経つとだんだん気が緩んでいくのは人間の常です。物事によってはそれでも問題はないこともありますが、こと交通ルールに至っては大きな問題です。また場合によっては、取り返しのつかない事故につながることもあります。ここでいくつか大事なポイントを再確認しておきましょう。以下の見出しはそれぞれ、基本的にやってはいけない行為と言えます。

サンダル・ヒール・スリッパなどでの運転

 ヒールなど踵の高い靴で運転するとブレーキやアクセルの操作に支障をきたします。またすぐに脱げてしまうようなサンダルも要注意です。咄嗟の動きが必要な事態になったとき、ヒールが引っかかったり、サンダルが脱げたりすると、すぐにブレーキが踏めないリスクがあります。またもし踏めたとしても必要な強さで踏みこむことができないかもしれません。

 これらは特に道路交通法で禁止されているわけでないですが、各都道府県などの自治体が道路交通施行細則でルールを定めています。具体的に見てみると、東京都や神奈川県では、げた、スリッパ、木製サンダルなど、脱げやすいものや靴底が厚かったり、滑りやすかったりするようなものなど形状から運転に支障をきたす可能性のある履物は、取り締まりの対象となっています。

対向車がいる状況でのハイビーム走行

 夜間で歩行者や対向車のいないような場所での走行はハイビームが基本です。ただし、道路交通法第52条第2項では、「車両等が、夜間、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」とされています。つまり、対向車がいるときには「ロービーム」に切り替える必要があります。

 同様に交通量の多い市街地などでもロービームに切り替えます。またハイビームは遠くの歩行者を見つけるには有効ですが、近くに歩行者がいる場合、その視界を遮ることになります。特に歩道と車道がしっかりわかれていないような道ではより危険かもしれません。歩行者が近くにいる際にはロービームにする配慮も必要です。

エンジンをつけたまま離れる

 エンジンをつけたまま車を離れる行為は、道路交通法第71条5で「車両等を離れるときは、その原動機を止め、完全にブレーキをかける等当該車両等が停止の状態を保つため必要な措置を講ずること。」とされています。また、道路交通法71条5の2では「自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること」と記されています。

 つまり、車が勝手に動かないようにすること、また他人が勝手に運転できない状態にすることは、道路交通法においてはドライバーの責任に帰するのです。ちょっとトイレ、ちょっとコンビニ、ちょっと自販機、といったときであっても必ずエンジンを切った上で、車をロックする必要があると言えます。

挨拶でクラクションを鳴らす

 クラクションについては道路交通法第54条の第2項によると「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」とされています。

 法律上、クラクションを使用できる場面は、「見通しのきかない交差点や、道路の曲がり角」、「危険を防止するためやむを得ない場合」、「『警音鳴らせ』の道路標識等により指定された場所」の3つのみです。スピードの遅い車や青になっても進まない車にクラクションを鳴らして知らせるのは、実はNGです。また挨拶やお礼でのクラクションも基本的には違反です。

「歩行者に水をはねる」「横断歩道に人がいても止まらない」などなど

 ほかにも「歩行者に水や泥を跳ねてしまう」「横断歩道に人がいても止まらない」「高速道路でのガス欠を起こす」「ヘッドレストを外して走行する」「ランプが切れた状態で走行する」「追い越し車線を走り続ける」「必要な車間距離をとらない」「運転中にゴミをポイ捨てする」といった行為は違反です。これらのルールは、歩行者や他の自動車への配慮という意味合いだけでなく、自身が大怪我を負わないためのものでもあります。

 細かいものであっても交通ルールはドライバーも歩行者も、生活するあらゆる人間が安全に暮らすために必要なものです。この先は、AIや通信技術が進歩し、自動運転などももっと普及するでしょう。そうなれば交通ルールに変更が加わる部分は多分にあると思われます。しかしルールは必ずその必要性があって決められています。交通ルールがあるところには、なにかしらの危険があるのだという意識は持っておきましょう。

<参考サイト>
サンダルでの運転は交通違反になる?|ZURICH
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-driving-shoes/
ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止|警察庁
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/highbeam.html
クラクションの正しい使い方とは?鳴らすべき場所やルールについて|大人の自動車保険
https://www.ins-saison.co.jp/otona/oshiete/car/sound-horn.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
2

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
3

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査

現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
4

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
5

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す

ヒトは、そもそもの生き方であった狩猟採集生活でも子育てを分担してきた。それは農業社会においても大きくは変わらなかったが、しかし産業革命以降、都市化が進み、貨幣経済と核家族化と個人主義が浸透した。ヒトが従来行って...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/09/14
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長