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お金はどんな「素材」でできているのか?
日本では現在、1円、5円、10円、50円、100円、500円の硬貨と、1,000円、2,000円、5,000円、10,000円の紙幣(日本銀行券)が発行されています。それぞれ、いったいどんな素材でできているかご存じでしょうか。
今回は硬貨と紙幣、それぞれの素材や特徴を解説します。
銅は金や銀より安価であるのはもちろんですが、何より優れた抗菌作用があり、錆びにくく、清潔を保ちやすいのが最大の特徴。そのため硬貨をはじめ、ドアノブや手すりなど、大勢の人の手に触れられるものと相性が良い素材です。
また、銅は加工がしやすく融合性にも優れているため、ほかの金属との組み合わせがしやすい面も、硬貨の原料として重宝されているゆえんです。のちに登場する「黄銅」や「白銅」は、それぞれ銅と亜鉛、銅とニッケルを合わせた合金(銅合金)です。
それでは各硬貨の成分を見てみましょう。
【品位(千分中)】銅750、ニッケル125、亜鉛125
【量目】7.1g
【直径】26.5mm
【発行年】2021年(令和3年)
旧500円玉にはニッケル黄銅のみが使われていましたが、2021年に発行されたばかりの500円玉には、ニッケル黄銅、白銅、銅の3種類の銅が使われています。
新500円玉をよく見ると、中央が銀色、そのまわりが黄金色と、2色になっていますね。これは「白銅・銅・白銅」の3層構造になった中央のコア部と、リング状にしたニッケル黄銅を組み合わせた「バイカラークラッド」と呼ばれる技術を使用しているためです。
黄銅は真鍮(しんちゅう)とも呼ばれる「銅と亜鉛」の合金です。亜鉛が加わることで適度な硬さと加工のしやすさ、また金色に似た美しい色合いを得ることができます。そのため雑貨やインテリアなどの日用品、アクセサリーや仏具・お寺の宝飾、金管楽器といったデザイン性の高いもの、精密機器の部品にいたるまで、実にさまざまな場面で使用されています。
白銅は「銅とニッケル」の合金です。特に酸や海水への耐食性(錆びにくさ)と、高い耐熱性が特徴で、ナイフやフォークといったカトラリー類に多く使用されています。ニッケルも同様に、高い耐食性と強度が特徴。アメリカの5セント硬貨はニッケルでできており、現地では5セント硬貨を「ニッケル」と呼んでいるそうです。
【品位(千分中)】銅750、ニッケル250
【量目】4.8g
【直径】22.6mm
【発行年】1967年(昭和42年)
100円玉には、前述した銅とニッケルの銅合金・白銅が使われています。100円玉が初めて発行された1957年(昭和32年)は、なんと「銀」が使用されていました。しかしのちに銀が高騰したため、似た色である白銅が使われることになりました。
【品位(千分中)】銅750、ニッケル250
【量目】4g
【直径】21mm
【孔径(穴の大きさ)】4mm
【発行年】1967年(昭和42年)
50円玉も100円玉と同様に白銅でできています。100円玉と区別しやすくするため大きさは100円玉より小さく、さらに穴(孔)をあけています。
実は発行当初は穴がなく、100円(銀貨)とよく間違えられたそう。また当初は50円玉にはニッケルが使われていましたが、100円玉が銀→白銅となるタイミングにあわせて、50円玉も白銅に変更となりました。
【品位(千分中)】銅950、亜鉛40~30、スズ10~20
【量目】4.5g
【直径】23.5mm
【発行年】1959年(昭和34年)
赤っぽい見た目からしてまさしく銅、といったイメージの10円ですが、100%純銅ではなく、亜鉛とスズが若干量含まれている銅合金・青銅でできています。純銅では硬貨としての強度が足りないため、亜鉛やスズを加えることで、強度を高めているのです。
ちなみに赤茶色なのになぜ「青銅」といわれるかというと、時間の経過とともに現れるサビの色「緑青(ろくしょう)」が由来と考えられます。サビとは言いますが鉄のサビとは違い、銅の上からコーティングするように現れるため、腐食を防ぎ、逆に銅の耐久性をアップさせるという効果があります。
なお緑青は一時期、猛毒であると広くその認識がされていましたが、現在は人体には無害であることが明らかになっています。
【品位(千分中)】銅600~700、亜鉛400~300
【量目】3.75g
【直径】22mm
【発行年】1959年(昭和34年)
5円玉には、500円玉でも使われていた黄銅が原料です。50円玉と同じく穴が開いていますが、1948年に5円玉が発行された当初は、穴はなかったといいます。
穴が開いた理由は、同時期の1円玉が、5円玉と同じく黄銅でできており、サイズも見た目も似ていたため。そこで1年後の1949年には穴が空けられましたが、そのきっかけであった1円黄銅貨も、黄銅の価格高騰により製造コストがはねあがったため、1953年に流通が廃止されてしまいます。
【品位】純アルミニウム
【量目】1g
【直径】20mm
【発行年】1955年(昭和30年)
1円玉の素材には軽くてさびにくい、アルミニウムが100%使われています。アルミはご存じの通り、アルミホイルや窓のサッシなど、我々の身近なところで生活を支えている素材です。
本来であれば他の硬貨同様、抗菌効果がある銅を素材にすべきところですが、前述の歴史から1円黄銅貨は廃止され、代わりにより安価のアルミニウムで作られるようになりました。銅よりは安価でできるものの、コスト的には約3円かかっているそうです。
ミツマタは日本の伝統的な和紙の原料で、光沢があり、虫が付きづらいという特徴があります。そしてアバカはバナナに似たバショウ科の植物で、原産地はフィリピン。葉の繊維は強靱で弾力があり、ローブなどの織物や、紅茶のティーバックなどに使用されています。
お札の紙はミツマタを主原料、アバカを補助原料としています。
この2つの植物繊維を使用したお札は、パルプ原料の一般紙よりも破れにくく、耐水性にも優れます。さらには透かしなど高度な加工もしやすいという、お札ならではの特性も。また一般の紙では表現できない、和紙独特の風合いや手触りは、偽造防止にも一役買っています。
いかがでしたか。普段何気なく触っているお金ですが、その素材に目を向けてみると、さまざまな工夫が施されていることがわかります。今まで以上に、大切に使いたくなりますね。
今回は硬貨と紙幣、それぞれの素材や特徴を解説します。
硬貨に使われる主な素材は「銅」
有名な「和同開珎」「寛永通宝」のような古銭からも分かるように、古来より硬貨には銅が使われてきました。現在の硬貨でも、1円玉以外にはすべて銅が使用されています。銅は金や銀より安価であるのはもちろんですが、何より優れた抗菌作用があり、錆びにくく、清潔を保ちやすいのが最大の特徴。そのため硬貨をはじめ、ドアノブや手すりなど、大勢の人の手に触れられるものと相性が良い素材です。
また、銅は加工がしやすく融合性にも優れているため、ほかの金属との組み合わせがしやすい面も、硬貨の原料として重宝されているゆえんです。のちに登場する「黄銅」や「白銅」は、それぞれ銅と亜鉛、銅とニッケルを合わせた合金(銅合金)です。
それでは各硬貨の成分を見てみましょう。
500円
【素材】ニッケル黄銅、白銅、銅【品位(千分中)】銅750、ニッケル125、亜鉛125
【量目】7.1g
【直径】26.5mm
【発行年】2021年(令和3年)
旧500円玉にはニッケル黄銅のみが使われていましたが、2021年に発行されたばかりの500円玉には、ニッケル黄銅、白銅、銅の3種類の銅が使われています。
新500円玉をよく見ると、中央が銀色、そのまわりが黄金色と、2色になっていますね。これは「白銅・銅・白銅」の3層構造になった中央のコア部と、リング状にしたニッケル黄銅を組み合わせた「バイカラークラッド」と呼ばれる技術を使用しているためです。
黄銅は真鍮(しんちゅう)とも呼ばれる「銅と亜鉛」の合金です。亜鉛が加わることで適度な硬さと加工のしやすさ、また金色に似た美しい色合いを得ることができます。そのため雑貨やインテリアなどの日用品、アクセサリーや仏具・お寺の宝飾、金管楽器といったデザイン性の高いもの、精密機器の部品にいたるまで、実にさまざまな場面で使用されています。
白銅は「銅とニッケル」の合金です。特に酸や海水への耐食性(錆びにくさ)と、高い耐熱性が特徴で、ナイフやフォークといったカトラリー類に多く使用されています。ニッケルも同様に、高い耐食性と強度が特徴。アメリカの5セント硬貨はニッケルでできており、現地では5セント硬貨を「ニッケル」と呼んでいるそうです。
100円
【素材】白銅【品位(千分中)】銅750、ニッケル250
【量目】4.8g
【直径】22.6mm
【発行年】1967年(昭和42年)
100円玉には、前述した銅とニッケルの銅合金・白銅が使われています。100円玉が初めて発行された1957年(昭和32年)は、なんと「銀」が使用されていました。しかしのちに銀が高騰したため、似た色である白銅が使われることになりました。
50円
【素材】白銅【品位(千分中)】銅750、ニッケル250
【量目】4g
【直径】21mm
【孔径(穴の大きさ)】4mm
【発行年】1967年(昭和42年)
50円玉も100円玉と同様に白銅でできています。100円玉と区別しやすくするため大きさは100円玉より小さく、さらに穴(孔)をあけています。
実は発行当初は穴がなく、100円(銀貨)とよく間違えられたそう。また当初は50円玉にはニッケルが使われていましたが、100円玉が銀→白銅となるタイミングにあわせて、50円玉も白銅に変更となりました。
10円
【素材】青銅【品位(千分中)】銅950、亜鉛40~30、スズ10~20
【量目】4.5g
【直径】23.5mm
【発行年】1959年(昭和34年)
赤っぽい見た目からしてまさしく銅、といったイメージの10円ですが、100%純銅ではなく、亜鉛とスズが若干量含まれている銅合金・青銅でできています。純銅では硬貨としての強度が足りないため、亜鉛やスズを加えることで、強度を高めているのです。
ちなみに赤茶色なのになぜ「青銅」といわれるかというと、時間の経過とともに現れるサビの色「緑青(ろくしょう)」が由来と考えられます。サビとは言いますが鉄のサビとは違い、銅の上からコーティングするように現れるため、腐食を防ぎ、逆に銅の耐久性をアップさせるという効果があります。
なお緑青は一時期、猛毒であると広くその認識がされていましたが、現在は人体には無害であることが明らかになっています。
5円
【素材】黄銅【品位(千分中)】銅600~700、亜鉛400~300
【量目】3.75g
【直径】22mm
【発行年】1959年(昭和34年)
5円玉には、500円玉でも使われていた黄銅が原料です。50円玉と同じく穴が開いていますが、1948年に5円玉が発行された当初は、穴はなかったといいます。
穴が開いた理由は、同時期の1円玉が、5円玉と同じく黄銅でできており、サイズも見た目も似ていたため。そこで1年後の1949年には穴が空けられましたが、そのきっかけであった1円黄銅貨も、黄銅の価格高騰により製造コストがはねあがったため、1953年に流通が廃止されてしまいます。
1円
【素材】アルミニウム【品位】純アルミニウム
【量目】1g
【直径】20mm
【発行年】1955年(昭和30年)
1円玉の素材には軽くてさびにくい、アルミニウムが100%使われています。アルミはご存じの通り、アルミホイルや窓のサッシなど、我々の身近なところで生活を支えている素材です。
本来であれば他の硬貨同様、抗菌効果がある銅を素材にすべきところですが、前述の歴史から1円黄銅貨は廃止され、代わりにより安価のアルミニウムで作られるようになりました。銅よりは安価でできるものの、コスト的には約3円かかっているそうです。
紙幣
日本の紙幣は共通して「ミツマタ」と「アバカ(マニラ麻)」という植物の繊維が原料となっています。ミツマタは日本の伝統的な和紙の原料で、光沢があり、虫が付きづらいという特徴があります。そしてアバカはバナナに似たバショウ科の植物で、原産地はフィリピン。葉の繊維は強靱で弾力があり、ローブなどの織物や、紅茶のティーバックなどに使用されています。
お札の紙はミツマタを主原料、アバカを補助原料としています。
この2つの植物繊維を使用したお札は、パルプ原料の一般紙よりも破れにくく、耐水性にも優れます。さらには透かしなど高度な加工もしやすいという、お札ならではの特性も。また一般の紙では表現できない、和紙独特の風合いや手触りは、偽造防止にも一役買っています。
いかがでしたか。普段何気なく触っているお金ですが、その素材に目を向けてみると、さまざまな工夫が施されていることがわかります。今まで以上に、大切に使いたくなりますね。
<参考サイト>
・現在製造している貨幣(造幣局)
https://www.mint.go.jp/operations/production/operations_coin_presently-minted.html
・お札の特長(国立印刷局)
https://www.npb.go.jp/ja/intro/tokutyou/index.html
・硬貨や紙幣はどのような素材からできているの?お金の豆知識をご紹介(三菱UFJ信託銀行)
https://magazine.tr.mufg.jp/90131
・銅のすごい力(日本銅センター)
http://copperbook.jp/kodomoday/kodomoday_top.html
・現在製造している貨幣(造幣局)
https://www.mint.go.jp/operations/production/operations_coin_presently-minted.html
・お札の特長(国立印刷局)
https://www.npb.go.jp/ja/intro/tokutyou/index.html
・硬貨や紙幣はどのような素材からできているの?お金の豆知識をご紹介(三菱UFJ信託銀行)
https://magazine.tr.mufg.jp/90131
・銅のすごい力(日本銅センター)
http://copperbook.jp/kodomoday/kodomoday_top.html
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