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『東大発!ハマるおうち読書』でハマる、楽しい読書教育
子どもがなかなか本を読んでくれない、という思いを持つ親は多いかもしれません。現代はスマホやタブレットで、いつでもどこでも動画を見ることができます。またスマホやオンラインのゲームに夢中という場合もあるでしょう。画面を開けばすぐに刺激が得られる時代です。本に向かうためのハードルは以前よりも高くなっているといえます。
一方で本を読む習慣ができれば、勉強への苦手意識が軽減されたり、言葉を知ることで思考の幅が広がったり、人の気持ちを理解したりできるようになるかもしれません。ただし、放っておいても自然と読書家になる子どもは多くはありません。それは、本のハマり方を適切に教えられていないからではないでしょうか。
そこで、「読書は教えるものである」という視点で、本のハマり方を解説する本が今回紹介する『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(笹沼颯太著、Discover)です。
著者の笹沼颯太さんは、筑波大付属駒場中・高を卒業後、2018年東京大学教養学部文科二類入学します。そして、在学中に株式会社Yondemy(ヨンデミー)を設立。Yondemyでは「読書は一生モノの習い事」をテーマに、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を開発・運営し、AIやアプリを通して子どもの読書教育を行っています。
一つ目のポイントは適切な「レベル」です。知らない漢字や言葉にぶつかると一気に難しくなって、ハードルが上がってしまいます。子どもは日々成長しているので、その段階にピッタリフィットする本を選ぶ必要があります。このとき気をつけるポイントは「○歳向け」「○年生向け」の表記をあてにしないことです。これらが想定しているのは、「読書が好きで本を読むのが得意な子ども」だからです。
次に二つ目のポイントは「好み」です。人気の本が全ての子どもの心に響くわけではありません。ファンタジーなのか、学園ものなのか、登場人物の性格が好奇心旺盛なのかクールなのか、こういった点が読者、つまり子どもの好みに合っているかどうかはとても大事です。
そこから、「つまみ食い」をしてみることが推奨されています。子どもとともに図書館の本棚をめぐり、できるだけジャンルがばらけるように本を5~6冊選びます。このとき、子どもが「面白そう」「読んでみたい」と選んだ本があれば、どんな内容でも候補にいれます。そうして、机に並べて冒頭の部分だけを読んでみます。5分読んだら次の本へ。あとは「続きを読んでみたい」と思った本だけを読めばいいのです。
また、このとき、つまみ食い用の本の選び方がわからない場合は、なんとなく2冊選んで表紙を見せ、どちらの本なら読んでみたいか聞きます。ここで傾向が少し見えてくるそうです。ただし、どちらか一冊を読むという前提のプレッシャーをかけないことも大事。このときには「どっちなら読んでみてもいいと思う?」「どっちの本が面白そう?」と聞くといいのです。
つまみ食いして読んだ本の一言記録をつけることも効果があります。ちょっと読んでみて面白いと思った本、ハズレと思った本、それぞれ一言でいいので記録していくと好みの傾向が見えて、次の本探しに役立ちます。子どもに感想を聞きながら一緒に書き込んで記録しましょう。
また、「1日1冊」ではなく「1日10分」といったように、時間で決めることも推奨されています。あえて中途半端なところで読むのをやめることで、「続きを読みたい」という気持ちを刺激するのです。
本のレベル判定の材料には「長さ」と「難しさ」がありますが、おススメとしてはまず長さへの対応力を伸ばすことで、本に没頭している状態であれば、少しくらい長い本でも勢いで突破できる可能性があります。
こうして、負荷がかかりすぎないようにして読める本の幅を広げていくと、「楽しく、たくさん、幅広く」読書することにつながるのです。
それから、子どもの身近な出来事と絡められるような工夫について、たとえば「今日の晩ごはんのカレーは『◯◯』の本に出てきたものと似ているね」であるとか、「先週の家族旅行は『◯◯』の物語みたいだったね」といった例が挙げられています。このように、どんな些細なことでも子どもと本をつなげて問いかけてみると、より広がりのある話ができるようになるのではないでしょうか。
ということで、本と出会い、接しかたを学び、楽しさを知ること。そこから会話をして、楽しさを共有していくことが、読書を習慣化する第一歩です。本書では、子どもを楽しい読書体験へと導くために家庭でできる読書教育のコツがポイントごとにわかりやすく解説されています。本書を読むと、子どもと図書館に行って本について話してみたくなります。いちどお試しください。
一方で本を読む習慣ができれば、勉強への苦手意識が軽減されたり、言葉を知ることで思考の幅が広がったり、人の気持ちを理解したりできるようになるかもしれません。ただし、放っておいても自然と読書家になる子どもは多くはありません。それは、本のハマり方を適切に教えられていないからではないでしょうか。
そこで、「読書は教えるものである」という視点で、本のハマり方を解説する本が今回紹介する『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(笹沼颯太著、Discover)です。
著者の笹沼颯太さんは、筑波大付属駒場中・高を卒業後、2018年東京大学教養学部文科二類入学します。そして、在学中に株式会社Yondemy(ヨンデミー)を設立。Yondemyでは「読書は一生モノの習い事」をテーマに、子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を開発・運営し、AIやアプリを通して子どもの読書教育を行っています。
「○歳向け」「○年生向け」をあてにしないこと
勉強もそうですが、読書も強制されれば苦手になります。あくまで楽しいと感じてもらうことが大事。このためには、大きく2つのポイントがあります。一つ目のポイントは適切な「レベル」です。知らない漢字や言葉にぶつかると一気に難しくなって、ハードルが上がってしまいます。子どもは日々成長しているので、その段階にピッタリフィットする本を選ぶ必要があります。このとき気をつけるポイントは「○歳向け」「○年生向け」の表記をあてにしないことです。これらが想定しているのは、「読書が好きで本を読むのが得意な子ども」だからです。
次に二つ目のポイントは「好み」です。人気の本が全ての子どもの心に響くわけではありません。ファンタジーなのか、学園ものなのか、登場人物の性格が好奇心旺盛なのかクールなのか、こういった点が読者、つまり子どもの好みに合っているかどうかはとても大事です。
「つまみ食い」で好きを探り、一言記録をつけて傾向を把握
ではこれらはどのように探ればよいのでしょうか。笹沼さんは「トライ&エラーを繰り返しながら、くじ引き感覚で気負わず楽しむ」と言います。また、「百発百中を狙をうとしない」ことも大事です。たとえば、15冊の本を借りてきたとしても、子どもの心にささる本は2~3冊あるかどうかといった程度と考えておく必要があるとのこと。そこから、「つまみ食い」をしてみることが推奨されています。子どもとともに図書館の本棚をめぐり、できるだけジャンルがばらけるように本を5~6冊選びます。このとき、子どもが「面白そう」「読んでみたい」と選んだ本があれば、どんな内容でも候補にいれます。そうして、机に並べて冒頭の部分だけを読んでみます。5分読んだら次の本へ。あとは「続きを読んでみたい」と思った本だけを読めばいいのです。
また、このとき、つまみ食い用の本の選び方がわからない場合は、なんとなく2冊選んで表紙を見せ、どちらの本なら読んでみたいか聞きます。ここで傾向が少し見えてくるそうです。ただし、どちらか一冊を読むという前提のプレッシャーをかけないことも大事。このときには「どっちなら読んでみてもいいと思う?」「どっちの本が面白そう?」と聞くといいのです。
つまみ食いして読んだ本の一言記録をつけることも効果があります。ちょっと読んでみて面白いと思った本、ハズレと思った本、それぞれ一言でいいので記録していくと好みの傾向が見えて、次の本探しに役立ちます。子どもに感想を聞きながら一緒に書き込んで記録しましょう。
「1日1冊」ではなく「1日10分」の読書
子どもが「楽しい」と感じていたら、その読み方を尊重することが大事です。たとえば、飛ばし読みをしていても、楽しそうにしていればそのままでよく、読書する気になれない日は、簡単に読めそうな本をサクッと心地よく読むことも大切です。また、「1日1冊」ではなく「1日10分」といったように、時間で決めることも推奨されています。あえて中途半端なところで読むのをやめることで、「続きを読みたい」という気持ちを刺激するのです。
本のレベル判定の材料には「長さ」と「難しさ」がありますが、おススメとしてはまず長さへの対応力を伸ばすことで、本に没頭している状態であれば、少しくらい長い本でも勢いで突破できる可能性があります。
こうして、負荷がかかりすぎないようにして読める本の幅を広げていくと、「楽しく、たくさん、幅広く」読書することにつながるのです。
読んだ本について少しずつ会話すること
また、「◯◯の後に読書する」という習慣をつけることも効果があるとのこと。そして、読んだ本について話すこともおススメです。ちなみに、「おもしろかった」としか言わなかったとしても、決して否定しないこと。「本についての会話を楽しむ」といったスタンスが大事なので、はじめは「Yes」「No」で答えられることでお話をしてみる。たとえば「好きなキャラクターはいた?」など。そこから少しずつ「どんなキャラクターだったの?」と聞いていくと、少しずつ深くなります。それから、子どもの身近な出来事と絡められるような工夫について、たとえば「今日の晩ごはんのカレーは『◯◯』の本に出てきたものと似ているね」であるとか、「先週の家族旅行は『◯◯』の物語みたいだったね」といった例が挙げられています。このように、どんな些細なことでも子どもと本をつなげて問いかけてみると、より広がりのある話ができるようになるのではないでしょうか。
ということで、本と出会い、接しかたを学び、楽しさを知ること。そこから会話をして、楽しさを共有していくことが、読書を習慣化する第一歩です。本書では、子どもを楽しい読書体験へと導くために家庭でできる読書教育のコツがポイントごとにわかりやすく解説されています。本書を読むと、子どもと図書館に行って本について話してみたくなります。いちどお試しください。
<参考文献>
『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(笹沼颯太著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-3021-0
<参考サイト>
笹沼颯太氏のX(旧Twitter)
https://x.com/souta_sasanuma
ヨンデミーのX(旧Twitter)
https://x.com/YondemyEdu
『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(笹沼颯太著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-3021-0
<参考サイト>
笹沼颯太氏のX(旧Twitter)
https://x.com/souta_sasanuma
ヨンデミーのX(旧Twitter)
https://x.com/YondemyEdu
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