社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
今じゃあり得ない!昔はタバコが吸えた場所5選
いろいろな場所での禁煙はいつから?
2020年4月の健康増進法改正でタバコに関するルールが厳格になり、いろいろな場所での禁煙が義務化されました。喫煙者には肩身が狭い世の中になったかもしれませんが、非喫煙者とともに気持ちよく過ごすためにも、このような配慮は大切ですよね。この健康増進法改正から4年が経ち、飲食店や商業施設などの全面禁煙表示も日常風景になりました。もちろん、タバコによる健康被害は法改正以前から指摘されており、自主的に禁煙や分煙を実施していた施設もあります。このような流れが本格的になり、法改正にいたったといえるでしょう。
かつてはこんな場所もタバコOKだった
実は、今になって昭和時代を見直してみると、「今だったらあり得ない」と驚く場所でもタバコが吸えたのです。そんな意外な場所を振り返ってみましょう。・病院:喫煙できた意外な場所の筆頭格といえば病院でしょう。昭和の病院の待合室には普通に灰皿が置かれていて、病人や妊婦のすぐそばでタバコを吸っても特に問題ありませんでした。なかにはタバコ片手に診察する医師もいたようです。
・飛行機:現在では健康被害だけでなく、火災防止のためにも全席禁煙となっている飛行機。昭和には喫煙席が設置されており、一応分煙の意識はあったようですが、仕切りなどはなかったので煙が機内に充満することも珍しくありませんでした。
・新幹線:飛行機と並んで長距離移動の主な手段である新幹線は、全席が喫煙席でした。禁煙席は非喫煙者の強い希望で設置されましたが、当初は1両のみだったのです。向かい合わせのボックス席がある電車も喫煙可能で、肘掛けに灰皿がついていました。
・駅:駅構内はすべてが喫煙所だったといえます。ホームはもちろん、階段や改札でも喫煙できました。朝夕のラッシュ時にタバコを吸っていても特に問題はなく、電車が来たらホームに吸い殻をポイ捨てして乗る人も少なくなかったのです。
・映画館:密閉された映画館でも全席喫煙席が普通でした。席の背もたれの裏側に灰皿がついていたり、灰皿がついていないと吸い殻を館内にポイ捨てする人もいたりしたようです。喫煙者が多いと、煙でスクリーンがよく見えないこともあったとか。
今では信じられない場所ばかりですが、裏を返せばどこでもタバコが吸えたといえます。昭和には喫煙できないオフィスのほうが珍しかったですし、学校の職員室でも喫煙者の教師は普通に自分の席でタバコを吸っていました。路上喫煙も特に問題なかったのが昭和という時代なのです。
タバコ規制はどうやって進んでいったの?
昭和から令和にかけて、タバコをとりまく環境は大きく変わりました。昭和40年代には男性の約8割が喫煙者でしたが、令和に入ると男性の喫煙者は3割以下になっており、男女合計では2割を切っています。ここまで減少した理由はやはり、法律を含んだ禁煙の推奨が大きいでしょう。それではどのようにして、タバコ規制の気運が高まっていったのでしょうか。北アメリカが原産地のタバコは、室町時代に日本に伝わったといわれます。江戸時代には庶民の嗜好品として広く流通し、明治時代に入ると政府の財源として国の専売品とされました。タバコは太平洋戦争の戦時中も敗戦後も日本財政を支える財源となったため、国をあげて推奨する必要があったのです。
この一方、海外では20世紀前期からタバコによる健康への悪影響の科学的分析が進んでおり、1995年に世界保健機関(WHO)が「たばこ規制枠組条約」の必要性を提言しました。日本もこれに賛同し、2005年2月に発効されます。日本は2000年に国民の健康づくり運動である「健康日本21」もスタートしており、21世紀初頭から本格的なタバコ規制に乗り出しました。この活動が2020年の健康増進法改正へとつながるのです。
日本は長くタバコを推奨してきたので愛煙家が多く、すぐに社会全体の価値観を変えるのは難しいことでした。それでも非喫煙者の声を改めて拾い上げていくなどして昭和時代の喫煙習慣を塗り替え、平成時代をかけて喫煙率を下げていったのです。令和のこれからの時代は、さらに健康的な喫煙習慣が推奨されていくでしょう。
<参考サイト>
・ソニー健康保険組合 禁煙豆知識・タバコの歴史
https://www.sonykenpo.or.jp/member/health/nonsmoking/nonsmoking_mame02.html
・東洋経済オンライン 「たばこはカッコいい」が通用した昭和の記憶
https://toyokeizai.net/articles/-/265060
・Rien pipe 昔はよかった!?喫茶店・電車・新幹線…タバコが自由だった昭和の日本と変化の歴史
https://rienpipe.jp/contents_info/1131/
・厚生労働省 なくそう!望まない受動喫煙。 事業者のみなさまへ
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/business/
・e-ヘルスネット たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-04-003.html
・ソニー健康保険組合 禁煙豆知識・タバコの歴史
https://www.sonykenpo.or.jp/member/health/nonsmoking/nonsmoking_mame02.html
・東洋経済オンライン 「たばこはカッコいい」が通用した昭和の記憶
https://toyokeizai.net/articles/-/265060
・Rien pipe 昔はよかった!?喫茶店・電車・新幹線…タバコが自由だった昭和の日本と変化の歴史
https://rienpipe.jp/contents_info/1131/
・厚生労働省 なくそう!望まない受動喫煙。 事業者のみなさまへ
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/business/
・e-ヘルスネット たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-04-003.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
「虚実篇」から学ぶ優秀なリーダーの役割と戦略の重要性
『孫子』を読む:虚実篇(1)いかに主導権を握るか
今回から開始となる『孫子』シリーズの第6編「虚実篇」。虚実とは空虚と充実であり、空虚とは手薄、充実とは手厚いことだと田口氏は説く。また、虚偽と真実という虚実もある。これらはいったい何を意味しているのか。虚実篇では...
収録日:2020/05/21
追加日:2022/01/03
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
サヘル地域をはじめとして、近年、世界各地で多発しているクーデター。その背景や、クーデターとはそもそもどのような政治行為なのかを掘り下げることで国際政治を捉え直す本シリーズ。まず、未来の“if”として台湾でのクーデタ...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/04
中国の「国進民退」に危機感…これからの日中関係を読む
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(5)日本外交の進むべき道
日本周辺での有事の可能性が叫ばれる中、日米関係を重視しながらも、隣国・中国とはどうやって関係を築いていくべきか。習近平政権以前の中国の在り方から振り返りながら、これからの中国との付き合い方を考える。また、シリア...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/10/03
経済発展から「国家の安全」へ…転換された国家戦略目標
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(2)国家戦略目標の転換
「習近平中国」における内政において、最も重要な特徴は国家戦略目標の転換だと垂氏は言う。鄧小平時代の経済発展から国家の安全へ舵が取られ、「富より安全」を社会秩序の根底とするのが習近平中国の方向性となる。国家安全委...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/02
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
人の成長にとって、弱点の克服よりも重要なのは強みを伸ばすことだ。ではいかにして自分の強みに気づいていけばいいのか。指導者はどのようにしてそれを気づかせ、支援していけばいいのか。ピーター・ドラッカーの話をはじめ、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/10/01