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DATE/ 2024.09.03

引き取り手のいない空き家はどうなる?

 最近の住宅問題として、マンション価格の高騰や住宅ローン金利の上昇などが話題に上がることが多いですが、一方で空き家の増加が深刻な社会問題になっていることをご存知でしょうか。

空き家の定義と、対策不可欠な現状

 そもそも空き家とは何か、まずはその定義をご説明しますと「概ね年間を通して居住やその他利用がされていない建築物」。売却のために空き家となっている物件や、賃貸に出して入居者募集中の物件、別荘のように年に数回ほど二次利用している住宅は空き家ではありません。1年以上住人の居住実態がなく、維持管理がされていない住宅が「空き家」と定義されています。

 2023年10月時点の住宅・土地統計調査(総務省)では、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.8%に。前回の2018年の調査から0.2ポイント上昇し、この5年で空き家は50万戸増の899万戸と過去最多になりました。

 空き家が増加した原因は様々ありますが、住人の高齢化、人口減少や少子化、相続問題、管理・活用難などによりこの先も増加すると見られています。住宅の10軒に1軒以上が空き家になっていると考えると、これは他人事とは思っていられない状況ですし、少なくとも持ち家である実家がある人なら誰しも空き家問題に向き合う可能性があるのです。

空き家放置が招く恐ろしいデメリット

 空き家を放置していると以下のような様々なデメリットがあることを認識しておかなければなりません。

・倒壊や火災など、災害の危険性
・野生生物が棲みついたり、害虫トラブルの発生
・ゴミの不法投棄による異臭や衛生面の問題
・街の景観の悪化
・地域の防犯性の低下

 近隣への迷惑や損害を与えるリスクにより事件や損害賠償請求等に発展すれば、空き家の持ち主は責任を免れません。このような放置されたリスクの高い空き家「特定空き家」に対して国が介入措置を取る「空家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年に施行され、その後の令和5年に一部が改正された法律で、このままでは特定空き家になりかねない「管理不全空き家」に対しても、地方自治体が勧告措置を取る法律が施行されました。「特定空き家」、または勧告をしても改善しない「管理不全空き家」に認定されると、住宅保有時の優遇特例から除外され固定資産税が6倍となり、行政の改善命令に背けば数十万円の罰金を請求される行政処分となってしまいます。空き家の放置は、経済的なデメリットも甚大なのです。

これも知っておきたい、空き家の制度や法律

 もし空き家を相続することになった場合、以下のような制度や法律も理解しておくとトラブルやデメリットが減らせます。

・相続土地国庫帰属制度
 資産にならないような空き家を相続して負担が増え、売却もままならないなら引き取りたくないという人も多いと思います。そんなケースに対しては相続土地国庫帰属制度(令和5年4月27日施行)が利用できます。しかしどんな土地でも引き取ってくれるわけではなく、古家を自費で解体し土地を更地にし、土壌や境界の調査をして問題があれば改善しなければ引き取ってもらうことはできません。また維持管理や活用が難しい条件の悪い土地は引き受けてもらえないことも。さらに制度利用時には手数料や20万円程の負担金も納める必要があります。

・各自治体による補助金制度
 空き家の解体・撤去、改修(リフォーム)に補助金制度を設けている地方自治体も増えています。相続したものの、空き家の改善、管理に掛かる諸費用に困って放置している人は、住まいの地域の自治体の補助金制度を調べて負担を減らすための相談をしてみるのが早いです。

・相続登記の義務化
 上記の法律や制度のように所有者や相続人が明確な場合はまだいいのですが、空き家の増加には「所有者不明土地」という管理者のわからない土地建物が増えていることも関係しています。住宅の相続登記義務がなかった時代が長く続き、所有者の死後も登記の変更をせずに何代も経過してしまい所有者不明で行政が撤去や措置を取れないケースも。そのため令和6年4月より相続登記が義務化されました。これにより責任の所在が明らかになり、相続後3年以内に登記をしなければ10万円以下の過料(ペナルティ)の対象に。ちなみに、昨今何かと話題の地面師に狙われやすいのも、このような登記が更新されていない不動産なのだそう。

 空き家の相続をした場合、適正な価格でスピーディーに売却したり所有者が有意義に活用できれば、それは財産となり資産を増やすことも可能です。しかし空き家が所謂「負動産」だった場合、相続者の負担は大きいもの。だからと言ってそのまま放置していれば金銭的な負担は増大し、手続きなどもどんどん煩雑になり、結局空き家を寝かせた分だけ手間も時間もお金も何倍にも膨らんでいきます。もし住む予定のない実家や不動産を相続する可能性があるのなら、親や親族と早いうちから話し合って方向性を決め、スピード感を持って対処することが肝心です。

<参考サイト>
放置している空き家の活用法は?そのままにすることで起こるリスク│大東建託
https://www.kentaku.co.jp/estate/navi/column01/post_285.html
令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 │総務省
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf
空き家対策ってなに?│国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html
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