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DATE/ 2015.11.06

住宅ローンやリフォームからでも増税分を取り戻す!

 住宅は高価な買物だけに、節税で大幅に差がつきます。取得時、消費税の値上げ前に駆け込めずに泣いた人にとっては今が取り戻すチャンスです。夫婦いずれも働いている場合は、どちらかが住宅ローン減税を受け、医療費控除などはもう一方という使い分けをすれば、「取り戻し」こぼしがなくなるのです。

「住宅ローン」減税、どう変わった?

 住宅ローンを支払っている人は、その年末残高の上限1%(年間20万円まで)が所得税や住民税から10年間還付されます。会社の先輩などからそう聞いている人は多いでしょう。しかし、アベノミクス改革に伴い、この金額は大きく変わっているので注意が必要です。

 2014年以降に入居した住宅については、借入金の年末残高の限度額が2000万円から4000万円に引き上げられ、控除限度額も20万円から40万円までに増額されています(ただし消費税を8%払った場合に限る)。10年間では200万円の差額というわけです。あわせて住民税の住宅ローン減税も上限9万7500円が13万6500円(2021年12月まで)に引き上げられています。

リフォームローンの場合は?

 家の改修に住宅ローンを利用した場合も、100万円以上の工事費の場合、住宅ローン減税の対象となります。

 ただし、バリアフリーや省エネのための改修では別の減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)を適用したほうが有利になる場合もあります。こちらは250万円を限度として、2%の控除(年間5万円まで)が5年間認められるというもの。さらに固定資産税の軽減措置もあり、1年間に限り税額の3分の1が減額されます。

 介護を目的としたリフォームでは、介護保険からの支給も併用できます。手すりの取付、床段差の解消、すべり防止のための床材変更や開き戸から引き戸への変更、和式便器を洋式に取り替えるなどの項目は、その費用が各20万円までなら、9割が支給されるのです。介護保険に加入している40歳以上の被保険者なら、この制度が利用できます。

三世代同居リフォームにも税額控除制度が適用

 「一億総活躍社会」の実現は、安心して生活できる住居の確保から、ということでしょう。三世代同居に対応するための住宅リフォームに対する優遇税制が平成28年4月より導入されています。具体的な対象工事は、キッチン、バス、トイレ、玄関のうち、少なくとも一つを増設する工事を含む増築、改築、修繕や模様替えとなっています。

 こちらは工事費用の合計額が50万円を超えることが条件。自己資金でリフォームを行った場合は、限度額250万円以内で最大25万円が控除できます。ローンを利用した場合は、限度額250万円にかかる借入金の年末残高の2%相当額を5年間(最大62.5万円)にわたって税額控除できます。

親から相続した家を放置していると!

 2015年5月、倒壊の恐れや衛生上問題のある空き家(「特定空き家」)に対して、自治体が撤去や修繕などを命令できる「空き家法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。国土交通省の調べでは、2017年3月末までに市区町村などが特定空家と指定して助言・指導を行ったのは6405件、うち勧告に至ったのは267件、命令は23件、代執行が11件でした。

 これまでは税法上、住宅が建っていれば固定資産税が最大で6分の1、都市計画税が最大3分の1、減額されていました。しかし、特定空き家に指定されると、税金軽減措置の対象外となります。また命令違反をしてしまうと、最大50万円以下の罰金が科せられるので、要注意です。ただし、不適切な箇所を改善すれば解除され、6倍の固定資産税を払う必要はなくなります。

 空き家放置は許されない時代にシフトしてきたわけですが、2016年4月の税制改正で、空き家を売却した際の譲渡所得に対する特別控除が導入されることになりました。相続により生じた空き家であること、旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修を行ったり更地にして売却した場合、譲渡所得が1億円以下であれば3000万円が特別控除されます(譲渡期間:2016年4月1日~2019年12月31日)。また、空き家の撤去費用についても、区によっては補助金を出すところも出ています。

相続税をスリム化したい

 住宅の相続については、税制上有利なしくみもあります。結婚後20年以上の夫婦は、互いに居住用の不動産を贈与しても2000万円までは非課税になるのです。贈与税の基礎控除を加えると、合計2110万円の贈与が無税でできます。さらに、こうした夫婦共同名義の不動産を売却した場合、夫・妻それぞれ3000万円までは非課税になります。夫が自分の死後に発生する相続税を見越して、自宅を妻との共同名義にするのは、家庭円満だけでなくよい効用を生むのです。
※2017年12月更新

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