テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.02.05

投資するよりもお得!「確定拠出年金」の節税効果

 個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」が、2018年の法改正で変わることになりました。2017年までは毎月1回同じ額を積み立てるのがルールでしたが、2018年1月からは年1回以上積み立てればOKとなるようです。すでにiDeCoに加入している人、これから加入を考えている人も、メリットを把握して活用していきましょう。

「iDeCo」って何かをサクッと振り返る?

 国が運用する年金に対して、個人で加入できる年金として登場したのが「iDeCo」です。自分で掛け金を決め、定期預金や投資信託などで積み立てしていくため、運用次第で受取金額が決まります。自分用にカスタマイズできる年金として注目を集めていますが、もうひとつのメリットは節税効果です。

 このiDeCo、2017年1月から60歳未満で公的年金制度を利用している人であれば誰でも加入できるようになっています。専業主婦も、公務員もOK。企業年金を実施している企業に勤めている人も、企業が規約で加入を認めていれば大丈夫です。

2018年からは年単位への変更で、より柔軟な運用ができる

 個人型確定拠出年金は、加入者の立場によって月単位で拠出できる上限額が決まっています。今回、限度額が月単位から年単位に変更になることで、

・引き落とし口座に残高がなくても、後から拠出できる
・余裕がある月に多く掛け金を積み立てることができる

ようになりました。サラリーマンなら、ボーナスの時期のみに拠出するなど、マネープランが立てやすくなります。

 2017年までは、毎年3月頃など年1回拠出する額を決定し、1年間はその金額で拠出するようになっていました。途中で変更したくても、変更月を待つ必要があったのですが、2018年からは年間限度額内であればフレキシブルに変更することができます。

組み立て自由な投資+節税で、老後の資産形成を

 そもそもiDeCoは老後の資産形成のために自由に投資先を選択できるツールです。半分を定期預金、半分を投資信託にすることもできますし、元本割れが怖いという方は100%定期預金にまわすこともでき、逆に100%投資信託にまわすことも。

 さらに、iDeCoの最大のメリットとも言われているのが、拠出時、運用時、受取時の3つの段階で税制優遇が受けられること。拠出時の掛け金全額が所得控除されることは所得税・住民税の現在効果にもつながります。また、運用時の利益が非課税のため、複利効果で効率よく資産が増やせ、受取時控除は、退職時の税負担を軽くする効果があります。

 運用によって受給額が変わるものの、将来の自分に投資して安心できる老後を過ごすために積立ができる、そのついでに節税があると考えると、とても魅力のある制度であることがわかります。

公式アプリもチェック!

 これまでiDeCoの泣きどころは認知度の低さでしたが、確定拠出年金普及・推進協議会では、ゆるキャラの「イデコちゃん」を投入し、6月末には公式アプリ(無料)を発表しました。2017年には毎月ほぼ3万人ずつ加入者が増え、10月末現在では68.86万人。対象者の増えた1年足らずの間にほぼ倍増した計算です。

 ホームページも分かりやすく、無料相談を受け付けている金融機関もありますが、まずはアプリをダウンロードして、「iDeco運用シミュレータ」を体験してみてはいかがでしょうか。
※2017年12月更新

<参考サイト>
・iDeCoガイド
http://www.ideco-guide.jp/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に

世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
2

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景

国際的に見て、政府の債務残高が大きい日本。その背景には、バブル崩壊後の財政赤字を取り戻せていないことがあった。その一方で、預金残高も高い日本。所得が低いのに預金が多い日本の謎を解説する。(全4話中第2話)
※...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
3

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
4

「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実

「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実

戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌

日本の陸軍は第二次世界大戦を「100年戦争」であると見なした。勝てる見込みは少なかったにもかかわらず、天皇と国民の一体性という精神主義によって、総力戦になだれこんでいった。石原莞爾が満州事変を起こした時に描いたスト...
収録日:2020/02/26
追加日:2020/08/04
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
5

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家