テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.06.21

社会人必読!TVで見せた元SMAP中居正広の「傾聴力」

 不倫騒動が原因で休養していたタレントのベッキーさんが、5月13日に放送されたTBSの「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」 でテレビ復帰しました。その中で称賛を浴びたのが元SMAP・中居正広さんが見せた包容力のある話術です。そこには、ビジネスマンにとっても欠かせない能力である「傾聴」のテクニックがふんだんに盛り込まれていました。

ベッキーさんが本当の自分を再認識

 傾聴とは、<ナビゲート ビジネス基本用語集>によると「もともとカウンセリングにおけるコミュニケーション技能の1つ。傾聴の目的は相手を理解することにある。それにより、話し手が自分自身に対する理解を深め、建設的な行動がとれるようになるようサポートする」こと。つまり、今回のケースで言うと、聴き手である中居君(親しみを込めて、一般的な呼び方である「中居君」を使わせてもらいます)が、ベッキーさんを理解することにより、ベッキーさんが自分の本当の思いを再認識することを手伝う、ということになります。

 具体的にどのような点が優れていたでしょうか?

 番組後半、中居君とベッキーさんは囲炉裏を囲み、1対1でじっくり話し合います。『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』(古宮昇著、ナツメ社)で説明されている「傾聴の実践テクニック」を見てみると、中居君の振る舞いはまさに理想的だということがわかります。

インタビュアーとしても一流の中居君

 まず1つ目は「大きくうなずく」ということ。ベッキーさんの言葉1つ1つに対し、メリハリをつけながら相づちを打つことで、話しやすい雰囲気が作り出されています。そして「キーワードを繰り返す」ベッキーさんが言う「傷つけてしまった」「間違った恋」「好きだった」など話の要点となるフレーズを的確に繰り返すことで、焦点が絞られていきます。

 共感、すなわち「相手の世界をあたかも自分自身のことのように感じること」というアプローチも見られます。ベッキーさんが不倫相手の男性について「好きじゃないです」と繰り返したものの、その言葉の裏を読み取った中居君は「すっげぇ好きだったんだね」とポツリ。奥底に隠していた気持ちを突き止められたベッキーさんは涙ながらに「…それは好きでした。ごめんなさい」と絞り出すのが精いっぱいでした。

 記者会見のような形ではなく、言ってみれば番組に守られた形でのベッキーさんの復帰には賛否両論あります。ただ、中居君とひざ突き合わせて話すという形を取ったことにより、記者会見では出なかったであろう答えが出てきたことも事実でしょう。司会者として現在のテレビ業界で屈指の実績と力を持つ中居君ですが、インタビュアーとしての能力も見せつける出来事でした。

<参考文献・参考サイト>
・『プロカウンセラーが教える はじめての傾聴術』(古宮昇著 ナツメ社)
・ナビゲート ビジネス基本用語集
https://kotobank.jp/dictionary/business/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授