社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.07.13

謙遜に聞こえない!いき過ぎた「身内けなし」をしていませんか?

うちの人なんて

 友人同士でもなかなかすべてを本音で語るのは難しい。たとえば女性同士で話しをする場合、よく思われようと思って、旦那さんや彼氏を悪く言ってしまう。そんな経験をしたことはありますか。

 実はそれ、かえって人間関係を悪くしているかもしれません。今回は、謙遜のつもりが行き過ぎてしまった「身内けなし」について考えていきたいと思います。

謙遜は美徳?

 昔から謙遜は、傲慢さを抑えへりくだる美しい精神とされてきました。キリスト教では高慢な気持ちをおさえ、自分の罪を認めること、儒教では兄弟(弟)に財産を譲ることを指しました。武士道では相手との正しい関係において自分の意志を損なわず、礼儀を重んじることを良しとしました。

 おごりたかぶる傲慢な人を好きになるのは難しいことだと思います。自分もそうでありたくないという気持ちにもなりますね。しかし、謙遜も行き過ぎると、歪んでいってしまいます。そのひとつの形が、身近な異性をけなす行為なのでしょう。

 たしかに、「うちの~なんて」と言いたくなる気持ちはわかります。でもそれが本心であり、深刻な問題の場合は、ちゃんとした「相談」で解決すべきであり、軽い気持ちで言ってしまうのはおすすめできません。

言ったことはホントになる

 旦那さんや彼氏の「けなし」を本人が聞いていたとしましょう。「自分はこれほどにまで認められていないのか」という気持ちにさせてしまいます。すると自信をなくし、本当によくないところが顕著になるのではないでしょうか。

 人はなかなか、けなされて改善しようという気を起こさないもの。けなす側も、改善してもらおうとまでは思っていないかもしれません。ただ自分は謙遜しただけ、友人の機嫌をとろうとしただけではないでしょうか。でも、そうした行為が相手を傷つけているかもしれないと自覚しましょう。

 また、「けなす」もまた、それが癖になってしまいます。人前だと旦那さんも彼氏も何も言えません。するとそれが許されてしまったかのように勘違いをして、本当に些細なことが気になって、「不満」へと変わっていってしまうのです。これではうまくいくはずがありませんね。

聞く人も良くとらえてくれない

 人の自慢が好きではない人はいると思います。とはいえ、あまりにひどいけなし方をする人を見ると、言っている人の印象も下がってしまいます。自分のことならまだしも、旦那さんも彼氏もあくまで他人なのです。人様を悪く言う人間性であるとみられてもおかしくないのです。あなた自身が優しく善良であっても、こんなところでマイナス印象を抱かれるのは悔しいですよね。ラブラブぶりを見せつける必要はないのですから、どんなに恥ずかしくても、けなしすぎないということを心がけてください。

褒めるもけなすも控えめに

 外国では恋人をほめちぎって、赤面させるだとか、自慢のしあいになって、それで関係が良好になるとかいう文化もあるそうです。しかし、日本人は何もそこまでする必要はないでしょう(もちろん、そのスタイルが良ければ貫けば良いのです)。日本には日本の文化があり、人との接し方、距離感も人それぞれ。でもだからこそ、へりくだることだけが正しいと思わないことが大事。

 極端なことを避け、自信は適度に持ち、時にやんわりと謙遜する。緩急をつけて接すれば、旦那さんも彼氏も、この人といつまでも一緒にいたいと思ってくれるのではないでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由

徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題

半世紀ほど前、松下幸之助に経営者の条件について尋ねた田口氏は、「運と徳」、そして「人間の把握」と「宇宙の理法」という命題を受けた。その後50年間、その本質を東洋思想の観点から探究し続けてきた。その中で後藤新平の思...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/24
2

チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響

チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件

トランプ政権は、国防総省を戦争省に名称変更した。そのことは、国益を最優先として、指揮系統を軍隊的にすることを意味している。そして、その変更直後に起きたチャーリー・カーク暗殺事件。これも今後の政権の動向に大きな影...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/05
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
4

なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法

なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法

エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性

人的資本経営で非常に大事なのが人事評価制度である。しかし、正解はなく、会社や環境に応じて、形を変える必要がある。ポイントは、短期評価と長期的人材育成を踏まえた二本立ての評価制度設計をすること。たとえばクリエイテ...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/11/04
水野道訓
元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役CEO
5

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授