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DATE/ 2016.08.16

実は怖い「しゃっくり」長引いたら病気のサインかも…

 何の前触れもなく、突然「ヒック、ヒック…」。職場で、電車の中で、しゃっくりが出始めて気まずい思いをしたことがある人も少なくないと思います。

 誰しも日常的になる現象ですが、長引くようだったらもしかすると病気を疑ってみてもいいかもしれません…。

2~3日以上に続くようなら病気の可能性も

 しゃっくりの原理から見てみましょう。しゃっくりとは、何らかの原因で横隔膜がけいれんしてしまう現象のことです。横隔膜とは肺とお腹の間にある、呼吸運動に関する筋肉です。焼き肉でいうところのハラミですね。食べ過ぎや飲み過ぎ、熱いものや辛いものの摂取などがよくある原因で、特に何をしなくてもなることや、笑い過ぎて引き起こされる、なんてことも。通常は数分から数十分、長くても数時間程度で止まります。

 ただ、2~3日以上にわたり続くようであれば、単なる食べ過ぎ、飲み過ぎなどではなく、病気が原因ということもあり得るのでご注意を。「メルクマニュアル医学百科 家庭版」によると、脳卒中や脳腫瘍、肺炎、腎不全、食道ガンなどがしゃっくりの原因となることもある、としています。

 また、しゃっくりは3つに分類することができ、横隔膜の刺激によって起こる「横隔膜性しゃっくり」(食べ過ぎ飲み過ぎ、刺激物摂取、腎不全など)、脳をはじめとした中枢神経の刺激で起こる「中枢性しゃっくり」(脳腫瘍、脳卒中、アルコール中毒など)、末端神経の刺激で起こる「末梢性しゃっくり」(首の病気、呼吸器系の病気など)があります。

 考えようによっては、病気になっていることを教えてくれる「体からのSOS」とも言えます。ほかにも肺炎特有の症状が出ていたら呼吸器科、脳卒中の疑いを感じていれば脳神経外科など自覚があれば対応した科の診察を受ければ良いですが、しゃっくりが続くもののどこが悪いかわからないという場合は総合病院の内科へ行くほうがいいでしょう。

しゃっくりの止め方を紹介

 病気が原因の場合は無理やり止めようとしても止まるものではありませんが、深刻な原因がない場合の止め方も紹介しましょう。

 まずは息を一定時間止めるという方法。10秒ほど息を限界まで吸い、10秒止め、また10秒かけて全て吐き出す、というローテーションを何回か続けてみるというものです。他にも舌を30秒~1分間ほど引っ張る、耳に人差し指を入れ1分ほど軽く抑える、コップの反対側から水を飲むなどありますが、いろいろ試しているうちに気がついたら止まっていた、ということが多いのではないでしょうか。

 ちなみにしゃっくりを100回、あるいは100万回すると死ぬ、などという迷信もありますが、ギネス記録は何と約4億3000万回!アメリカのチャールズ・オズボーンという男性は1922年から1990年まで68年間止まらなかったとのこと。しゃっくりが止まった翌年に97歳で亡くなってしまったそうなので、しゃっくりをたくさんしたら死ぬどころか、逆に寿命を延ばしていたのかもしれませんね。

<参考サイト>
・メルクマニュアル医学百科 家庭版
http://www.merckmanuals.jp/home/index.html
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